[iOS 8] HealthKitを実装する(4) HealthKitが創るミライ
HealthKitの登場で何が変わるのか
壮大なタイトルを付けていますが、筆者がHealthKitをいじってみて感じたことのまとめです。
個人的な所感が大いに含まれています。HealthKitを実装する時やアプリの企画を立案する時に、気に留めておくとちょっとだけ得をするかもしれません。
今までのiOSアプリケーションで、複数のアプリケーションとデータを共有しようとするには、サーバーサイドで管理するのが一般的でした。サーバーサイドでデータを管理することで、ユーザーに関する情報はアプリケーションという域を超えて、シームレスに集積することも可能です。企業の管理者による手運用や、バッチ処理による自動運用などを考えた場合は、こちらを選択する事が必然となります。
このように、ユーザーから得た情報を管理者が選別して、ユーザーに利便性のある情報にして提供するのが一般的でした。
しかし、HealthKitの登場によって、ユーザーが任意でアプリケーションの域を超えた管理が出来るようになりました。
HealthKitは、管理者よりもiPhoneユーザーに直接、かつ包括的な利便性を提供しています。
iPhoneには健康に関するデータを計測する機能は、現在は一部しかありません。HealthKitの性質上、短距離無線通信が可能なハードウェアと連携をする事が必要です。(ホームボタンや背面にセンサーを埋め込めれば面白いですが・・・。)例えば、ユーザーがiPhoneと連携出来る体温計(短距離無線通信の行えるサーモセンサー)を常に身につけることで、毎日の体温管理を意識することなく集計することが可能です。
ハードウェアのみを販売して、ユーザーに「ヘルスケア」アプリでデータを手入力させる事も出来ますが、あまり良い方法ではありません。ハードウェアとHealthKitアプリケーションで連携し、取得したデータを永続化する事がベストプラクティスでしょう。
また、ハードウェアを作成するにも、アプリケーションを作成するにも、通信手段にBluetoothを用いれば、Bluetooth SIGの採択済み仕様に則って作成することで、円滑に作成する事が出来ます。いずれかが開発時に手元になくても、「iPhoneアプリケーションから操作できるハードウェア」・「対応ハードウェアからデータを集計出来るアプリケーション」として、それぞれ独立したサービスを展開する事が可能です。
データの共有や追加・更新に関する権限は、全てユーザーが選択でき、いつでも「ヘルスケア」アプリで変更が出来ます。
今後、ユーザーが自主的に集積した、心拍や血圧の情報を医者へ提出することで、遠隔からの診察が出来るようになるかもしれません。また、それらを簡易的に計測するためのハードウェアや医療分野の窓口が出てくる事でしょう。
健康に関する情報であれば、
HTTPを使った、【計測したデータ → iPhone → サーバー(データの加工や永続化) → iPhone】
から、
BLEを使った、【計測したデータ → iPhone → iPhone内のHealthStore(データの統計や永続化) → iPhone】
へ移り変わっていくと思われます。
ユーザーの健康に関するデータの流れがiPhone内で完結するので、安心して情報を蓄積することが出来るでしょう。なおかつ、HTTPからBLEへ変わることで、継続した計測を低消費電力で実現する事が可能です。iPhoneがネットワークに繋がっていない時でも利用する事が出来ます。
参照
今回のHealthKit実装例を公開するにあたって、以下の記事を参考にさせて頂きました。
HealthKitに関する情報をいち早く、かつ詳細にまとめていらっしゃって大変勉強になりました。