FlutterのThemeの基本的な使い方、ダークモード対応とカスタマイズ

FlutterのThemeについて書きました。内容は基本的な使い方とカスタマイズの方法です。
2020.04.15

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CX事業本部の田辺です。Themeについてドキュメントを読み手元で動かしたりダークモードに対応させたりしながら学んだ内容を記事にします。

Theme とは

子以下のWidgetにテーマを適用するためのクラスです。ここでいうテーマはA theme describes the colors and typographic choices of an applicationです。アプリケーションの色やテキストの表現方法に統一性をもたせて管理できます。

基本的な使い方

手元に最低限の機能を持ったToDoアプリがあります。このアプリのコードはThemeを使っておらず、個別にスタイルを指定しています。

統一感を持たせるかは現状だと個別のスタイルの指定次第です。

このアプリにThemeを使ってみます。

基本的にThemeはMaterialAppのコンストラクタ引数themeにThemeDataを指定することでアプリ全体にテーマが適用されます。

import 'package:flutter/material.dart';
import 'package:provider/provider.dart';

import 'models/task_data.dart';
import 'screens/tasks_screen.dart';

void main() => runApp(MyApp());

class MyApp extends StatelessWidget {
  final String data = "Top Secret Data";
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return ChangeNotifierProvider(
      create: (context) => TaskData(),
      child: MaterialApp(
        home: TasksScreen(),
      ),
    );
  }
}

上記のコードを以下のようにします。

class MyApp extends StatelessWidget {
  final String data = "Top Secret Data";
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return ChangeNotifierProvider(
      create: (context) => TaskData(),
      child: MaterialApp(
        home: TasksScreen(),
        theme: ThemeData(primaryColor: Colors.purple), // コンストラクタ引数themeにThemeDataを渡す
      ),
    );
  }
}

ThemeDataについて

ThemeDataはマテリアルデザインのテーマの色とtypographyを保持します。現在のテーマを取得するには、Theme.ofを使用します。

ドキュメントは以下になります。

ThemeDataの各プロパティに値をコンストラクタ経由でセットすることでスタイルの調整ができます。

ThemeDataのソースコードを読むとfactory Constructorが定義されています。コンストラクタ引数には@requiredがついていないので省略可能です。省略された場合はFlutter側で値をセットしてくれます。使用者は適宜変えたい所だけ変更すれば良いだけです。少しだけコードを貼ります。長いので省略してかつコメントを挿入しています。

factory ThemeData({
    Brightness brightness,
    MaterialColor primarySwatch,
    Color primaryColor,
    Brightness primaryColorBrightness,
    Color primaryColorLight,
    Color primaryColorDark,
    Color accentColor,
    Brightness accentColorBrightness,
    Color canvasColor,
    // 以下大量のコンストラクタ引数の列挙   
  }) {
    // コンストラクタの中身がこちら。
    // このコンストラクタの引数に値が渡されなくてもFlutter側でよしなにThemeDataを作ってくれていることがわかる
    brightness ??= Brightness.light;
    final bool isDark = brightness == Brightness.dark;
    primarySwatch ??= Colors.blue;
    primaryColor ??= isDark ? Colors.grey[900] : primarySwatch;
    primaryColorBrightness ??= estimateBrightnessForColor(primaryColor);
    primaryColorLight ??= isDark ? Colors.grey[500] : primarySwatch[100];
    primaryColorDark ??= isDark ? Colors.black : primarySwatch[700];
    final bool primaryIsDark = primaryColorBrightness == Brightness.dark;
    toggleableActiveColor ??= isDark ? Colors.tealAccent[200] : (accentColor ?? primarySwatch[600]);
    accentColor ??= isDark ? Colors.tealAccent[200] : primarySwatch[500];
    accentColorBrightness ??= estimateBrightnessForColor(accentColor);
    final bool accentIsDark = accentColorBrightness == Brightness.dark;
    canvasColor ??= isDark ? Colors.grey[850] : Colors.grey[50];
    scaffoldBackgroundColor ??= canvasColor;
    bottomAppBarColor ??= isDark ? Colors.grey[800] : Colors.white;
    cardColor ??= isDark ? Colors.grey[800] : Colors.white;
    dividerColor ??= isDark ? const Color(0x1FFFFFFF) : const Color(0x1F000000);

    // Create a ColorScheme that is backwards compatible as possible
    // with the existing default ThemeData color values.
    colorScheme ??= ColorScheme.fromSwatch(
      primarySwatch: primarySwatch,
      primaryColorDark: primaryColorDark,
      accentColor: accentColor,
      cardColor: cardColor,
      backgroundColor: backgroundColor,
      errorColor: errorColor,
      brightness: brightness,
    );

ThemeDataのプロパティはかなりたくさんあるのでデフォルト設定を利用しつつ個別に必要な所のみ変更することになるのかなと思っています。

ThemeDataを子Widgetで利用する

MaterialAppのTHemeに指定しても直接色を指定している部分はThemeが反映されません。

@override
  Widget build(BuildContext context) {
    return ListTile(
      onLongPress: longPressCallback,
      title: Text(
        taskTitle,
        style: TextStyle(
          decoration: isChecked ? TextDecoration.lineThrough : null,
        ),
      ),
      trailing: Checkbox(
        activeColor: Colors.lightBlueAccent, // 直接指定しているのでThemeが反映されない
        value: isChecked,
        onChanged: checkboxCallback,
      ),
    );
  }

ListTileはタスク一覧画面で使用しています。チェックボックスに直接色を指定しているのでこれを削除します。するとMaterialAppのコンストラクタで指定したThemeに基づいてスタイルが設定されます。チェックボックスのスタイルが変更されているのが確認できます。

削除前

削除後

自動で各Widgetで設定される色やスタイルでなく設定したThemeData由来ではあるものの少しカスタマイズしたい場合があります。そのような時は冒頭に記載したようにTHeme.of(context)で共通のThemeDataを取得してプロパティを利用します。

今回はTheme.ofで取り出したつつこれまでどおりチェックが入った時は取り消し線が入るようにdecorationプロパティをカスタマイズしたりフォントサイズを変更したりするためcopyWith()を使います。

 @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return ListTile(
      onLongPress: longPressCallback,
      title: Text(
        taskTitle,
        style: Theme.of(context).textTheme.body2.copyWith(
              decoration: isChecked ? TextDecoration.lineThrough : null,
            ),
      ),
      trailing: Checkbox(
        value: isChecked,
        onChanged: checkboxCallback,
      ),
    );
  }
}

変更前

変更後

ダークモード対応

Flutterでダークモード対応を行う時はMaterialAppのコンストラクタ引数darkThemeに値を指定します。

Widget build(BuildContext context) { return ChangeNotifierProvider( create: (context) => TaskData(), child: MaterialApp( home: TasksScreen(), theme: kLightThemeData, darkTheme: kDarkThemeData, // ダークテーマ用のThemeDataを指定する ), ); }

それでも固定でColorを指定していたWidgetの色はこれでも切り替わらないので、そこはTheme.ofで取り出して任意の色やstyleを指定していく必要があります。

ライトモード

ダークモード

Theme.ofで取得したThemeDataから取り出したプロパティの値をカスタマイズしたい時

通常は

Theme.of(context).textTheme.body1

このような感じで必要な値を取り出していけば良いと思いますが、どうしても基本的なスタイルは踏襲しつつも色だけ変えたい等細かいカスタマイズはしたい、でも変えたいのは数箇所で全体としてのスタイルを変えたいわけじゃないというようなことがあります。

そのような時はmerge()、apply()、そして上のコードで使用しているcopyWith()などの呼び出し元のStyleから新しいStyle(TextStyle)を返すメソッドが役に立つかもしれません。

実際のコードです。

以下のTextは画面の見出しに相当するエリアのWidgetです。

Text(
  'ToDo List',
  style: TextStyle(
    color: Theme.of(context).textTheme.title.color,
    fontSize: 50.0,
    fontWeight: FontWeight.w700,
  ),
)

merge()を使うとthemeのマージ元をマージ先で上書きして返します。このメソッドのソースを見ると、TextTheme.inheritプロパティの値で挙動が変わる旨が記載されています。inheritプロパティはnull値は祖先のTextTheme(TextSpanツリーなど)の値に置き換えられるかどうかを表します。

これがfalseの場合、明示的な値を持たないプロパティはデフォルトの値がセットされます。

これを踏まえた上で merge メソッドのドキュメントを見てみます。

引数に指定されたTextStyleのinheritプロパティががtrueに設定されている場合、引数に指定されたTextStyleの値がnullのプロパティの値が呼び出し元のnullでないプロパティの値に置き換わります。

一方falseが指定されている場合は、引数に指定されたTextStyleは変更されません。

The other style does not inherit properties of this style.

と記載されています。otherは引数に渡されたTextStyleです。

以下のように使います。

Text(
  'ToDo List',
  style: Theme.of(context).textTheme.headline.merge(TextStyle(
        fontWeight: FontWeight.w700,
        fontSize: 35.0,
      )),
);

mergeとcopyWithの使い分けについてもドキュメントに記載があります。2つのTextThemesのすべてのフィールドをマージするのではなく、TextThemeの個々のフィールドをオーバーライドする場合は、copyWithを使用します。

copyWith is used instead of merge when you wish to override individual fields in the TextTheme instead of merging all of the fields of two TextThemes.

また、applyメソッドはそれぞれのフィールドに引数に与えられた設定を適用して新たなTextStyleを返します。

非数値の引数に関しては与えられた値に置き換えられてTextThemeを返します。数値の引数に関してはapplyのドキュメントに以下のように記載されています。

The numeric properties are multiplied by the given factors and then incremented by the given deltas.

例えばfontSizeに関する引数fontSizeFactorとfontSizeDeltaに値を渡してapplyを呼び出した場合(例: style.apply(fonSizeFactor: 2.0, fontSizeDelta: 1.0))はstyle.fontSize * fontSizeFactorに指定された2.0 + fontSizeDeltaに指定された1.0になります。

applyがreplaceとapplyの中のロジックに基づいて値が適用されて新たなTextStyleが返されるのに対してcopyWithは単純に与えられた値に置き換えられます。要件に応じてそれぞれのメソッドを使い分けられそうです。

まとめ

Themeについてここまで書いてきました。しかしプロパティの数が非常に多いこともあり未だThemeDataのプロパティのどこを変えるとどう変わるか全て把握できたわけではありません。

そのために良さそうなrxlabz/panache: ? Flutter Material Theme editorというツールがあります。実際のアプリケーションではベースのThemeからcopyWithで個別にカスタマイズするのがマテリアルデザインに乗っかれて良さそうだなと思っているのですが各プロパティの理解を深めたいので触ってみたいと思います。触れたら記事にするつもりです。

最後になりますが、なるべく丁寧に記事を書いたつもりですが、Flutterの学習を始めたばかりということもあり誤りや認識に間違いがあるかもしれません。なにかお気づきの際はコメントにてお気軽にご指摘ください。修正させていただきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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