「ケーススタディで学ぶ企業運営〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜」という話をしました #devio2020

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はじめに

本日より、クラスメソッドの年次技術イベント「Developers.IO 2020 CONNECT」を開催しております!期間は2020年6月16日(火)から7月7日(火)、テーマごとに7日間の日程に分けて開催、セッションはなんと合計100本以上!

Developers.IO 2020 CONNECT

そして私は、初日のライブセッションの1本目を担当し、「ケーススタディで学ぶ企業運営〜クラスメソッドの新型コロナ対応〜」という話をさせて頂きました。

世界中を覆い尽くした未曾有の危機である新型コロナウイルス。その感染拡大によって、多くの企業が影響を受け、そして難しい判断を迫られました。クラスメソッドも例外ではなく、刻々と変化する情勢を注視しながら、従業員の安全性の維持と働きやすさの向上、そしてお客様に提供するサービスレベルの維持のために、検討と施策の実施を重ねてきました。本セッションでは、このコロナ禍に対してクラスメソッドが実施した施策と、その判断に至る経緯について、そしてそれを支えた組織とカルチャーについて、包み隠すことなくご紹介いたします。

登壇資料

動画

言いたかったこと

この半年間、多くの企業運営者の皆様が困難な課題に直面されたことと思います。我々クラスメソッドも例外ではありません。しかし、全社員で共有している企業カルチャーがあることで、共通認識の元で判断や施策の実施を行うことが出来ました。企業の運営は経営メンバーのみで行うものではなく、全社員で行うものだと私は考えています。その時に同じ思考、同じ優先順位で判断が出来ることは、企業にとって大きな強みになります。今回、クラスメソッドが行った施策、その判断の根拠、そしてそれを支えた企業カルチャーについてご紹介させて頂きました。

Q&A

Q. 会社的には既にリモートワークに慣れていたとのことですが、リモートワークに不慣れな中途社員の方が入社した後のサポートやオンボーディングについて心がけている事があれば教えて下さい

実際にリモートワークには慣れ不慣れがあると認識しています。クラスメソッドではチャットツールとしてSlackを利用しており、大半のコミュニケーションは文字によって行うのですが、SNS等の文字コミュニケーションに慣れている若い世代は抵抗がない人が多く、普段からSNSを使っていない人は文字コミュニケーションが難しいと感じることが多いようです。しかし、弊社では企業カルチャーとしてアウトプットを重要視しており、採用時にもアウトプットが出来る人を採用しているため、文字によってどうアウトプットしていくかをフォローすることで、多くの人は課題をクリアしています。

Q. エンジニアもリモートで仕事できているとのことですが、どういうPCとサービスとインフラ構成をつかっていますか?特にPCがシンクラかどうか、シンクラじゃないとしたら「もしシンクラの場合でもエンジニアは仕事できそうかどうか」も知りたいです

弊社では全社員にPCを支給しています。MacBook ProかSurface Proです。しかし、今年4月に入社した海外新卒メンバーについては新型コロナウイルスの影響でPCの調達と送付が出来ず、私物PCからAmazon Workspacesを使ってもらいました。最近になってようやく状況が落ち着いてきたため、海外新卒メンバーについても準備PCを送付しています。用途次第にはなりますが、Amazon Workspacesで大半の業務は実施可能だと思います。

Q. 完全テレワークに移行しても業務に影響ないとのことでしたが、「影響なし」というのはどのように判断されましたか?何かしらのKPI(例えば消費ストーリーポイント等)はありましたか?また、事前に「XX日後にXXXだったら影響なしと判断する」というような決めはありましたか?

定性的な数値はほとんど持っておりません。プロジェクトや案件の進捗状況、営業における受注率/失注率、それから各個人からのフィードバックによって、総合的に判断しています。

Q. 今回のセッションで紹介されいた施策は経営メンバーからの発案のものが多いのでしょうか?

半々です。最終的な判断は経営メンバーが行っていますが、社員がSlackやSNSに書いたものから発案したものもありますし、個別に提案を受けたものもあります。

Q. 失敗したら取り下げればよいとのことですが、今回のコロナ対応で失敗した施策があれば聞いてみたいです。

現時点では失敗したと考えているものはありませんが、コロナ対応は今後も続きますし、施策の振り返りをこれから行うものもあるので、将来失敗だったと判断する施策はあるかも知れません。

Q. テレワーク、Web会議での業務だとたばこ部屋的コミュニケーション、出会いによる発想の広がり、みたいなところが不足しがちになると思いますが、そういうところに対する施策はありますか。

個人的に言えば、たばこ部屋的コミュニケーションの存在を私は肯定していません。情報は基本的にオープンな場でディスカッションされるべきであり、弊社の場合ではSlackのオープンチャンネルがそれに当たります。仮に少人数でクローズな場で議論したものがあったとしても、それはオープンな場に出されるまではあくまでプライベートの範疇であり、オープンな場でディスカッションが始まって初めて業務に繋がるものだと思います。弊社は様々な地方にオフィスがあり、住んでいる場所も様々なので、常日頃からオープンなオンラインスペースで(Slackで)議論をすることが基本になっているため、オフラインのほうが議論の優位性があるとは思っていません。ただし、これはあくまで業務に関してであり、コミュニケーションとしてはオフラインが優位だと考えています。

Q. とても素敵な文化だと感じましたが大企業で同様のことを進める場合、どのような点がポイントだとかアドバイスがあれば教えてください。

これはクラウド導入も一緒なのですが、一番重要なのは強力なトップダウンです。企業カルチャーにしても、施策にしても、トップがしっかりとメッセージを出して実施しないと浸透しません。企業運営を他人事だと思っているトップはいないと思いますが、やはりトップが強い意志を持って実行することが大事だと思います。

Q. 海外のメンバーも増えていますが、チャットや会議では英語が基本になってるのでしょうか?

現時点ではほとんどのメンバーが日本語を使えるため、日本語が基本になっています。しかし、今年10月にはインド人新卒メンバーが入社するのですが、このメンバーは日本語スキルが高くないため、今後は英語でやり取りする機会は増えるし、英語専用のSlackチャンネルもどんどん出来てくるだろうと考えています。とても楽しみです。

Q. 通常PCで在宅勤務をされているということですが、情報流出といったセキュリティ面はどのように対策されていますでしょうか

一般的な情報漏えい対策を行っています。例えばSSLやVPNの利用、外部媒体の利用禁止、個人情報のローカル保存禁止、などです。しかし、結局の所、一番重要なのは教育と規則だと考えています。

Q. 家にいる時間が格段に増えたと思います。家での家族との時間の過ごし方はどうでしたが。家族からのリアクションはどうでしたか

人それぞれなので一般論は言えませんが、私個人で言えば、通勤や出張に使っていた時間を料理や家事に使えるため、とても充実した日々を過ごしており、結果として夫婦仲がこの20年間で一番良いです。

Q. フィードバックはどのような手段でなさっているのでしょうか?フィードバックの依頼・回収(もしくはそのセット)それぞれで、おすすめの方法やツールがあれば教えてほしいです。

Slackで直接メッセージを頂くこともありますし、Google Spreadsheetなどを使ってフィードバックを募集することもあります。またSlackやSNSに書かれたコメントを見て、こちらから打診してフィードバックの時間を頂くこともあります。ほかは1on1やチーム週報会の議論がエスカレーションされるなどです。一番重要なのは情報がオープンにやり取りされる風土で、それが定着していればツールは何でも良いのではないかと思います。

Q. エンジニア初心者がいきなりAWSを学ぶのは敷居が高いでしょうか。

高くはありません!コンピュータやネットワークの基礎強要はある程度必要としますが、現在はオンラインでも媒体でも、様々な学習コンテンツが揃っていますので、最初の一歩が踏み出しやすくなっています。是非チャレンジしてみてください!

さいごに

本内容が、企業運営に関わる皆様に少しでもお役にたてば幸いです。

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