引き継ぎ業務には2on1が効果的な3つの理由

2023.09.22

業務支援グループ内製化支援チームで内製化支援コーチをしているガオリュウです。内製化支援のサービスを立ち上げて2年経ちますが、実践のノウハウも溜まり、お客様の状況に合わせて提供内容も少しずつ変わりながら進めさせてもらってきました。「2on1」は、クライアント側の2名とクラスメソッド側のファシリテーター1名が組む3人体制で、クライアントの抱える課題やテーマを中心に、効果的かつ効率的に内製化を進めていくサービスです。ファシリテーターの専門的なスキルを活かし、2人のクライアントが最大のアウトプットを得られるようサポートするものです。

今回はシチュエーション別に解説をして、2on1へのイメージを強めていただけたらと思い「引き継ぎ業務」を題材にお伝えしていきます。2on1がそもそもなぜ生まれたかなどはこちらのブログで書いていますので、良かったら読んでください。 >>>内製化支援からたどり着いた2on1というアプローチ

「引き継ぎ」の構造

仕事の中での引き継ぎ業務は、引き継ぎ元と引き継ぎ先の2つの立場が発生する業務です。私も引き継ぎした経験がありますが、引き継ぎ元と引き継ぎ先の両者の関係性は非常になんというか微妙なバランスで出来上がっていて、なるべく時間かけずに引き継いでもらいたい引き継ぎ元と、なるべくいろいろサポートしてもらいたい引き継ぎ先というフラットではない関係性になっていることが大半だと思われます。そもそも引き継ぎ元の人がすでに会社に居ない…なんてこともありますよね。その場合はどうにもならないのですけど…。

引き継ぐ先の心理としては「具体的なリスク」というよりは、引き継いだ情報に不足があるかもしれないし、ないかもしれないし…といった「漠然とした不安」が多く、引き継ぎ元は、多少はサポートしたいと思っていても、ずっとは無理というのだったり、引き継ぐ情報を全部事前に用意するのはかなりの工数になることが多いのと、長い期間のプロジェクトだった場合はすでに記録も抜けてたりするので、「用意した引き継ぎ資料はこれで全部ですか?」と聞かれるのは恐怖でしかないでしょうね。

この状態は心理的安全性のある場には程遠いように思えました。そしてお互いにいつも話していたりする訳でもないので、お互いの今の仕事状況などもわからないので、配慮もしずらい、長い時間も取らせるのも申し訳ないが、引き継ぐ側は全体までは見えていないことが多く、能動的に動くこともしずらい。双方になんとなく曖昧なまま時間切れを迎えるケースもあるのではないでしょうか。そこで2on1という間を繋ぐ存在を設けて、ファシリテーション部分は任せられるとどうでしょうか?

2on1が効果的な3つの理由

 1.引き継ぎのための関係性の再構築または心理的安全性の上での対話ができる  2.引き継ぎ元の伝えたい量と引き継ぎ先の受け取れる量をバランスよくできる  3.引き継ぎ先が把握できていないことに対して言語化しやすくする

この3つを以下に詳細に書いていきます。

1.引き継ぎのための関係性の再構築または心理的安全性の上での対話ができる

対立…とまではいきませんが、上下関係ができている可能性があるので、まずはお二人の関係性について教えてもらいます。二人きりの場だと、わざわざ「自分のことどう思っています?」ってなかなかハードルの高い質問だと思いますが、二人を知らない第三者のファシリテーターが状況を知るために質問するのは自然な流れではないでしょうか。お互いの自己紹介をしてもらうときにも、二人を繋げられるようなポイントがあれば、共通項として認識できるようにお伝えして「関係性」をトピックとして取り上げます。引き継ぐ先の人が遠慮している感じがある場合は、代弁してあげるなどして、本音に近い部分が出せるようにします。さらに、あくまで「引き継ぎ」という業務をするための場として役割と期待を明確にして、仕事上の役割での関係性も意識してもらいます。

2.引き継ぎ元の伝えたい量と引き継ぎ先の受け取れる量をバランスよくできる

引き継ぎ元の方が情報を持っているので、伝える量は引き継ぎ元になりやすいですが、よく考えると引き継ぎ先の人の方が、その情報をどう使うか、どう使えるかを考えるのが必要です。有用な情報であると認識できれば、欲しい情報も見えてきます。受けて取れる情報量を伝える側から引き出すやり方にすると、事前に引き継ぎ元が完全な全体情報を用意しなくても引き継ぎが始められるという利点もあります。継続性から考えても必要な情報を必要な分量だけ用意する方がお互いの時間的負担は減ります。業務的にログが存在して、それらを活用する場合にも、ログがどこにあって、どう活用できるかのみに絞れば、話も発散しすぎませんし、お互いにイメージできるリアルな状況での情報が引き継げます。

3.引き継ぎ先が把握できていないことに対して言語化しやすくする

引き継ぎ先の人が、その引き継ぐ仕事、業務について、どの程度理解しているかは測ることができません。その時に「知らないので…」という感じで卑下することなく、自身でどう把握しているかを語ってもらい、双方で「度合い」を共有する。そして、その状態に対して欲しい情報から与えてもらう。伝える引き継ぎ元の人も、分からないことが分からない人に教える難しさを緩和することができます。どこまで知っていて、どこがわからないのか、もしくは、これからxxxx業務を行うのにxxxxxの部分があいまい、と言った具体性を持った内容を聞き、伝えてもらった時に、ファシリテーターから「これが分かったことで、引き継ぎ内容の別の機能だったり、同じような機能だったり理解の範囲ってどこでしょう?」と問いかけることで、抽象化したり、「分かった領域」を共通認識にします。

イメージ図

 

まとめ

ここまで「引き継ぎ」というシチュエーションについて書いてきました。日々の業務が忙しい人にこそ2on1を利用してほしいと思っています。一人で明確にやることが全部わかっているという場合は必要ないのですが、曖昧さが多い業務というのは、明確な課題よりも漠然とした不安が多く、それは一人で向き合うには厳しいものがあるので、2on1で最初から仲間というか、自分以外にもう一人の存在が社内や、チームに居る状態で、その二人がその漠然とした不安を具体的にしたり、不安を回避したりしながら進めるのに利用してみませんか?

ご興味をお持ちになった方は、2on1のデモも提供させていただいていますので、こちらのサイトからお問い合わせください。 >>>クラスメソッド:内製化支援