組織に根ざす問題の明確化を促す 2on2 を試してみた
こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
最近 EX Japan という従業員体験にまつわるコミュニティを他のコアメンバーと協力して立ち上げました。
Twitter のコミュニティ機能で情報交換をしていたのですが、ある日カヤックの柴田さんから
みなさん2on2ってやったことありますか?あれすごくいいと思うんですが、経験したことない人に良さを説明する方法がわかりません。社内だと経験してもらえばいいのですが、経験してもらう以外に良さが伝わる方法があればいいなーと。
という提案をもらいました。早速なので立候補して体験することにしました。
2on2 とは?
2on2 は問題について話し合うための手法です。特に「繰り返し発生しているが解決できていない問題」に最適です。
2on2 はその名の通り4人で行います。
多くの場合、組織に根ざした根深い問題に対して手っ取り早く問題を解決するために、問題を単純化し、すぐに解決策を講じようとします。書籍「 組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2 」では、この状態を「問題解決モード」とよんでいます。実際にここで必要になるのは問題を整理し、明確にすることです。整理されていない単純化された問題は問題の核を捉えていません。結局原因ではないものに対する解決策を実施してしまうことになります。結果として真因は解決されず問題は発生し続けます。
この整理のためには問題解決モードから対話モードに切り替える必要があります。対話モードに切り替える手段が 2on2 です。
書籍「学習する組織 」で紹介されている氷山モデルを明らかにする、という見方もできそうです。
- 水面から見える氷 - 出来事
- 水中の氷上部 - 行動パターン
- 水中の氷中部 - 構造
- 水中の氷下部 - 意識・無意識の前提
第三者の関与
2on2では、問題に関係のない第3者を参加者に加えます。これにより、問題を客観的に整理しやすくなります。第三者による客観的な視点を交えることにより、当事者も客観的な視点を得やすくなります。さらに、この「客観視しやすくなる」という特性によって、問題と人を切り離しやすくなります。
第三者という立場によって、関係性の深い人同士だといいにくい人の振る舞いや関係性にまつわるフィードバックをしやすくなります。例えばマネージャーの方に対して「そのふるまいはだと部下の方は怖がって意見を言いにくくなりそうです」というフィードバックをしたり、逆にメンバーの方に「マネージャーの方の周辺にあなたからは見えない制約があるだろうから、まずはそこを確認するとよさそうです」などのフィードバックをしたりできます。このあたりは当事者同士だとどうにも言いにくかったり、言ってもそのまま受け取りにくかったりするところです。
2on2 のやり方
今回は 2on2 を紹介してくれたカヤックの柴田さんがまとめてくださっている方法に沿って実施しました。
オンライン実施用の手順になっています。
詳しくはこちらを参照ください。
2on2 をやってみた
参加者
- A - てぃーびー(田部井) / クラスメソッド
- B - 氏原さん / カヤック
- C - 柴田さん / カヤック
- D - 岡田さん / サイボウズ
実施内容
前述の手順に沿って実施しました。
- A, B で実施。C, D はカメラ・マイクオフ。Aが問題について話す。Bが質問をしつつ問題を掘り下げる
- C, D で実施。A, B はカメラ・マイクオフ。C, D で問題に関わることを話す。今回はバラバラの会社の集まりということもあり、直接問題を掘り下げるというよりは、問題について各自考えることや、それぞれの会社において関わることを話しました。雑談に近い感じ
- A, B で実施。C, D はカメラ・マイクオフ。C, D のやりとりで気づいた新たな視点を踏まえつつ問題を掘り下げる
- C, D で実施。A, B はカメラ・マイクオフ。手順2と同様
- 全員でふりかえり。一人ずつ感想を話す
という感じです。
書籍「 組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2 」で紹介されているケースでは最後のステップで問題を妖怪に例えて名付け、特徴を付与し、絵にするという手順になっています。深刻な問題に対するやりとり自体を楽しくしよう、という意図です。
その他にも書籍では「反転の問いかけ」という手法も紹介されています。問題を掘り下げるためにあえて逆に問いかけをします。例えば、社員の自主学習が進まないことが課題の場合なら、「どうやったら社員がもっと自主学習をしなくなるか?」を考えるような問いです。
今回はバラバラの会社の集まりということで、問題の明確化をして名前をつけることができる状態にするところまでは取り組まずに、多様な視点で問題を眺めてみるところを扱いました。私がA役として問題を持ち込んだのですが、第三者がいるからこそ、自分では思い浮かんでいなかった視点の意見を得ることができました。たぶん、私自身はもともと客観的にものごとを捉えるのが得意な方なので恩恵が大きいか実感はなかったのですが、自分のことになるとつい客観視しにくくなり確証バイアスにとらわれがちな方や、傾聴が苦手でついつい話に割り込んでしまう人が関わる問題に関して有効に働きそうに思いました。
まとめ
問題を客観的に捉え、対話を促し、整理する2on2を体験しました。
客観視のメリットを実感したこともあり、ぜひ社内で関心がある方がいたら試してみたいと思いました。
この手法の課題として思うところとしては、少なくとも2on2のうち2名は対話・傾聴・質問力などに優れた方が必要に思いました。大枠でいうとコーチングが得意な人の特徴ですね。
柴田さん、貴重な機会をありがとうございました!
柴田さんは興味深いトピックに関する独自の考察を note で発信されているので気になる人はどうぞ。