経験学習 – 抽象的概念化
そして、新しい知識やスキルを習得する最善の方法は実践を通して経験をすることです。
個人が経験を通して学習するサイクルについて「コルブの経験学習」の概念があります。
抽象的概念化とは?
抽象的概念化に必要な要素
パターン認識
自分でパターンを見出す
自分が経験した具体的な出来事から、複数の出来事に共通するパターンを見出します。単一の出来事を経験して、複数の出来事を類推してパターンを発見することもあれば、実際に複数の出来事を経験して、共通のパターンを発見することもあるでしょう。
なお、パターンを発見する力を伸ばすためにはパターンを見出すことを繰り返し、習熟していくことが必要です。また、他者のノウハウを聞いた際に、それをどのように発見したのかを聞くことで、パターンを発見する際の視点や考え方を参考にすることができるでしょう。
巨人の肩に乗る
パターンには他者が発見したものもあります。今自分が取り組んでいる対象が多くの人がすでに取り組んだ事があるようなものだった場合、すでに誰かが発見したパターンやそれを元にした概念が存在する場合があります。そのため、「既存のパターンの存在を探す」という選択肢もあるわけです。ソフトウェア開発者的に言うのであれば「巨人の肩に乗る」ようなものです。
探すための方法としては、「インターネットでの検索」「読書」「生成AI」「人に聞く」などがあるでしょう。
アウトプットは抽象的概念化の好機
ブログや登壇の活動には抽象的概念化の要素が含まれることがよくあります。
自分が経験したこと、知っていることなどをアウトプットを見る人が活用できるように抽象化し、概念化するためです。そのため、アウトプット自体が抽象的概念化の機会になりやすく、抽象的概念化をする能力の習熟度を上げることにもつながります。
抽象的概念化の例
例えば、開発者であるAさんがSQL(Structured Query Language)についてマーケターのBさんに伝えていたが、BさんはSQL(Sales Qualified Lead)と勘違いしてしまっていた、というコミュニケーションミスがあったとします。
この経験を元にAさんは「自分の専門領域の用語は相手に伝わるとは限らない。相手との専門領域の違いを意識し、相手に合わせた伝え方が必要である」という概念として自分のノウハウにします。
まとめ
コルブの経験学習における「抽象的概念化」について掘り下げました。
長く仕事をしていると、人によってはそれなりに自分なりのノウハウを持っているものです。それは意識的に概念化した場合もあれば、無意識の場合もあります。意図的に抽象的概念化をできるようにすることで、同じ経験の量をしていても、以前よりより多くの手札を手に入れることができるようになります。
関連情報
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