【登壇資料】「システムの運用監視の効率をAIを使って上げる」というタイトルでDevelopersIO 2025 Osakaに登壇しました #devio2025

【登壇資料】「システムの運用監視の効率をAIを使って上げる」というタイトルでDevelopersIO 2025 Osakaに登壇しました #devio2025

2025.09.10

はじめに

こんにちは!カスタマーサクセス部の奥井大和/やまとです。

2025年9月3日(水)に開催された弊社主催イベント「DevelopersIO 2025 Osaka」にて、「システムの運用監視の効率をAIを使って上げる」というテーマで登壇させていただきました。
本記事では、当日の発表内容を振り返りながら、私がこの発表で伝えたかったこと、特にAWSの環境調査におけるAI活用の可能性と、安全・高精度に使いこなすためのこだわりについて深掘りしてお話します。

DevelopersIO 2025 Osaka #devio2025 - connpass

https://classmethod.connpass.com/event/361520/

登壇資料

当日の発表スライドはこちらです。

伝えたかったこと

この挑戦の原点:「AIなら、効率的に原因に辿り着けるのでは?」

24時間365日体制でAWS環境を監視していると、アラート対応の「調査」に時間を要するという課題に直面します。ログを横断的に確認し、原因を特定する。この初動の時間を短縮できれば、最短で真っ直ぐに一直線に問題解決に時間を使えるのでは?と思いました。

そこで生まれたのが、今回のテーマの核心となるアイデアです。

「AWS CLIと、CLI操作に対応したAIエージェントを組み合わせることで、AWS環境の異常原因の特定や大まかな"アタリ付け"を自動化できる可能性があるのではないか?」と考えました。

この仮説から私の挑戦は始まりました。


AIエージェントで、何がどういう風にできるのか?

調査の初動をAIに任せるフロー

コンセプトは「調査の初動をAIに任せる」ことです。
具体的には、AIエージェントにAWS CLIを通じて調査を依頼し、人間はAIがまとめてくれた調査結果(叩き台)をレビューするところからスタートする、というフローです。

私は用途に応じて Claude CodeAmazon Q for CLI の2つのAIエージェントを使い分けています。


こだわり①:AIを"安全"に使いこなすための鉄壁のルール

AIを安全に使いこなすための鉄壁のルール

AIに調査を任せる上で、最もこだわったのが「 安全性の確保 」です。そこで私は、以下のルールを徹底しています。

  • 最小権限の徹底:AIが使用するIAMロールには、調査に必要な 読み取り専用権限(ReadOnlyAccess) のみを付与。これにより、環境への意図しない変更を物理的に防ぎます。
  • セキュアな認証:認証には必ず有効期限の短い一時的なクレデンシャルを使用します。
  • 実行ログの取得:AIが実行したコマンドは全て記録し、何を調査したかを後から追跡できるようにしています。
  • 実行前の人間による承認:もちろん、AIが各コマンドを実行する前には、必ずユーザーの承諾を求める設定を入れています。

こだわり②:AIから"高精度な回答"を引き出すための秘訣

AIから高精度な回答を引き出すための秘訣

AIのポテンシャルを最大限に引き出すため、指示の出し方にもこだわっています。

  • プロンプトは「一度で伝わる」ように「いつ」「どのリソースで」「何が」異常なのか を5W1Hで明確に記述し、AIが迷わず調査を進められるよう工夫しています。
  • ルールファイルの活用:「読み取り専用を基本とすること」といった行動方針や禁止事項を記述したファイルをAIに読み込ませ、思考の前提をインプットしています。
  • MCPサーバーによる裏付け:AIの回答に技術的な裏付けを持たせるため、AWS公式ドキュメントなどを参照できる「MCPサーバー」を用意。これにより、回答の信頼性を飛躍的に高めています。

大事なこと:AIは"パートナー"

どんなにAIが優秀でも、その回答を鵜呑みにしてはいけません。AIが提示した調査結果を人間が確認・精査し、 「確証のあるタスク」 にして初めて意味を持ちます。
AIは人間の思考を補助してくれる強力なパートナーであり、最終的な判断と責任は人間にあります。AIの提示した調査結果を人間が確認・精査し、確証のあるタスクにすることが重要です。


導入効果と展望

この仕組みによって、調査・報告にかかる時間を短縮できただけでなく、「調査の属人化解消」や「初動の心理的負担の軽減」といった多くの副次的な効果も生まれました。
そして何より、調査で短縮できた時間を使って、環境をより良くするための 「根本改善」に注力できるようになった のが最大の成果でした。

登壇の感想

AIとシステム運用は非常に親和性が高いと改めて確信しました。調査の初動をAIに任せ、人間はより高度な判断や創造的な作業に集中する。そんな人とAIの協働によって、システム運用はもっと最適かつ効率的になると思います。今後も、この分野での新たな発見や知見を記事として発信していきたいです。

今回初めて社外の皆様に向けて登壇させていただきましたが、予想以上に多くの方にご参加いただき、非常に熱心に耳を傾けていただきました。自分の経験や知見が、少しでも皆様のお役に立てたのであれば、これほど嬉しいことはありません。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

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