ベルリンにおけるビザ申請準備のススメ & 会社経由で申請するには
ドイツで滞在して仕事をするには、滞在許可証(通称ビザ)を発行してもらう必要がありますね。これは外国人局(LEA)と呼ばれる役所で発行してもらいますが、役所仕事が遅いことで有名なドイツにおいてビザ発行は最初の難題の一つです。
今回は、これまで私が日本人の新入社員をサポートする中で培った、ベルリンのビザ申請の流れや会社経由で申請する方法をご紹介します。
トピック
ここでは、滞在許可証のうち会社従業員に関するものに対象を絞っており、また一つ一つの申込要件や必要書類の内容については詳しく取り扱いません。
また、対応の早さは担当者や時期、申請する滞在許可証の種類によっても異なりますので、あくまでご参考程度に。
ベルリンでビザ申請
ドイツ内でもダントツで人口流入が激しく、絶賛成長中の首都ベルリン。
一般的に滞在許可を申請する方法はとても難しく、最近では書類を提出しても4ヶ月音沙汰なしといった話も聞きます。
就労ビザの種類
就労許可に関するビザには主に以下のようなものがあります。
必要書類を電子で提出した後、対面のアポに出向いて各種確認を行い、問題がなければ即時承認されて後ほどカードを受け取ります。
Residence permit for qualified skilled workers with an academic education | 職歴がない人の労働許可証 |
Residence permit for qualified skilled workers with vocational training | 職歴がある人の労働許可証 |
Blaue Karte EU | 一定の高収入を満たす場合に申請できる労働許可証(最終的に永住権を取るのに有利) |
正規の申請ルート
今ある正規の方法は、上記の各説明ページの末尾に「Termin buchen (Make an appointment)」をクリックして進むオンライン予約ページからアポを取ります。
が、必要事項を選択して日付選択画面に進もうとすると、「空きがありません」と出ます…
この攻略方法は、以下のようにして既存の予約キャンセルを待つしかありません。
- 朝いちにウェブサイトを開く
- 一日中かけてページ更新を繰り返す
いや、おかしいやろ…!!
この方法が機能していないため、担当窓口のお問い合わせフォームに直接書類を提出して、返信を待つというのも一般的に併用されている手法です。
以前は窓口メールアドレスも公開されていましたが、それはやめたようです。なにせやり方がコロコロ変わって分かりづらい、いや分かりづらくしているのかもしれません…。
外国人局の窓口
次に、労働許可証に関する窓口は次のように分かれています。
部門 | 説明 |
---|---|
B1 | 労働許可証; 名字の一文字目がA-G |
B2 | 労働許可証; 名字の一文字目がH-Or |
B3 | 労働許可証; 名字の一文字目がOs-Z |
B6 | Business Immigration Service (BIS) |
先述の一般ルートはB1-B3に割り当てられますが、それとは別に法人課であるB6というのが存在します。
弊社クラスメソッドはこの法人課(BIS)に会社として登録しており、社員のビザ申請を会社経由で申し込むことができます。
BIS経由で申し込むことで一般より早く着手してもらえる印象があります。就職先が決まっていたら、担当者に会社がBISに登録しているか尋ね、ビザ申請をサポートしてもらうと良いでしょう。
法人課での申込手順
以下にBIS専用のお問い合わせ・申込ページがあります。
Sie haben eine Frage oder möchten einen Antrag stellen? - Berlin.de
オンライン申込フォームで会社の登録情報や本人の基本情報を入力し、最後に必要書類を添付しますが、ここで注意点があります。
- すべての書類をPDFフォーマットにまとめる(ZIPにはしない)
- ファイルは白黒スキャンされたもので、写真はNG
- 1つのファイルサイズは最大 10MBまでで、書類がまとまり切らない場合は3つまでに分けていいが、合計16MB以内であること
最後に入力内容を確認して送信すると、申込完了画面とともに受付番号が表示されます。メールではこの通知は届かないので、先方から連絡が来るまでに問い合わせる場合に備えてこの時点で番号を控える必要があります。
その後、個別の担当者からメールで連絡が届きます。場合によっては追加書類が求められ、これもPDF形式での添付が求められます。
書類が認められると、待合番号(受付番号とは異なる)とともに予約案内が届き、あとは本人が当日頑張るのみです。
書類準備のススメ
なるべく早く処理してもらうためには、いかに書類を分かりやすく丁寧に揃えて良い印象を与えるかも重要(だと思います)!各々の状況によって追加書類を求められることも多々あるので、早く予約が取れるようにやり取りはなるべくスムーズに完結させたいですね。
署名、会社スタンプを忘れない
フォーマットの決まっている申請書では、たいてい末尾に本人の署名欄・雇用主の署名および会社のスタンプ欄があります。署名は基本中の基本、すべて忘れず入力しましょう。
PDFは一つにまとめる
スキャナがない場合は、写真でなく Lens などスマホアプリを使って白黒PDF出力しましょう。
一通りの書類を揃えたら、Mac の場合は Finder でファイルを複数選択し、Quick Actions > Create PDF でファイル順に一つにまとめたPDFファイルを作成できます。(名前昇順にしておけばその順番でPDFページが構成されて超便利)
カバーレター
これはもちろん任意ですが、送信フォームの備考欄は限られていますし、提出書類の一覧をカバーレターにまとめておけばスムーズなコミュニケーションにつながるでしょう。以下のようなWordファイルを作成し、PDFファイルの1ページ目に挿入しました。
ドイツ語のやり取り
恐らく近年は英語のできる担当者も多いでしょうが、やはりメールのやり取りをする際にはドイツ語の方がスムーズです。完璧なドイツ語を書くために、ChatGPTに手伝ってもらいましょう。実例は以下のブログにて:
弊社の実例
最近BIS経由で申請した実例をご紹介します。
実例1: 通常の労働許可証(2023年2月時点)
- オランダからドイツに移住する新規社員が、一ヶ月間ほぼ毎日、一般窓口のアポ取得を試みるが、空きがない状況
- BISに連絡し、不足書類の提出を含む約1ヶ月のやり取りの末、正式な許可証なしで仕事開始を認める一時的な証明書を発行してもらった
- さらに一般窓口にプッシュしてもらい、本予約も取れ、約3ヶ月後に無事に許可証を取得
実例2: 永住権(2023年5月時点)
- BISへ既存社員のEU永住権を申請(既存ビザはまだ1年以上の猶予あり)
- フォームで「Verlängerung eines bisherigen Aufenthaltstitels」(既存ビザの更新)を選択
- 提出してから1ヶ月弱で最初の返信が届いた
- 追加書類の提出後、2営業日(4日)で2ヶ月半後の予約が取れ、無事に永住権を取得
実例3: 労働許可証の簡易証明(2023年8月時点)
- 月末に本帰国する社員が、月初に労働許可証(カード型)を紛失(※本帰国でEUから出る際にビザの証明が必要)
- 一般窓口で再発行について問い合わせるも10日以上返信なし
- BISへ事情を説明して問い合わせすると、当日中に翌週明けで予約が取れ、無事にシール型の許可証を当日再発行
おしまい
以上、ベルリンのビザ申請について紹介しました。
なお外国人局は住民登録している土地で行う必要があり、また州によって全然違うので、例えばデュッセルドルフの場合にはお金を払って弁護士を通すのが有効な方法だということです。
https://dev.classmethod.jp/articles/immigrate-to-germany/#toc-8