Aurora Serverless v2 プラットフォームバージョン4がリリースされました
2026年4月21日、Aurora Serverless v2 のプラットフォームバージョン4がリリースされました。
主なポイントは以下の通りです。
- 前バージョン(プラットフォームバージョン3)比で最大30%のパフォーマンス向上
- ワークロードを理解するスマートなスケーリングアルゴリズムの強化
- ゼロへのスケールダウン継続対応
- 追加コストなし
AWSブログの別記事ではベンチマーク結果も紹介されています。
| ベンチマーク | v3比 完了時間 | v3比 ACU消費 | v2比 完了時間 | v2比 ACU消費 |
|---|---|---|---|---|
| Sysbench read heavy | 27%高速 | 28%削減 | 41%高速 | 42%削減 |
| Sysbench write only | 32.9%高速 | 5.1%削減 | 42.4%高速 | 24.6%削減 |
今回、東京リージョンで Aurora Serverless v2 新規クラスターを作成し、プラットフォームバージョンや搭載CPUアーキテクチャなどの確認を試みる機会がありましたので、紹介します。
プラットフォームバージョンの概要
Aurora Serverless v2 には、エンジンバージョン(Engine Version)とプラットフォームバージョン(Platform Version)という2つのバージョン概念があります。エンジンバージョンはデータベースエンジンのバージョン(MySQL 8.0互換の 3.10.3 等)、プラットフォームバージョンはその下で動作するインフラ基盤の世代です。この2つは独立しており、同じエンジンバージョンでもプラットフォームバージョンが異なる場合があります。
公式ドキュメントに記載されているプラットフォームバージョンの一覧です。
| プラットフォームバージョン | ACU範囲 | 性能 |
|---|---|---|
| 1 | 0–128 | ベースライン |
| 2 | 0–256 | ベースライン |
| 3 | 0–256 | v2比 最大30%向上 |
| 4 | 0–256 | v3比 最大30%向上 |
プラットフォームバージョン1のみACU上限が128で、バージョン2以降は256です。なお、実際に利用できるACU範囲は、エンジンバージョンとプラットフォームバージョンの組み合わせで決まります。
確認方法
プラットフォームバージョンはクラスター単位で管理されています。AWSコンソールのインスタンス設定セクション、またはCLIで確認できます。
aws rds describe-db-clusters \
--db-cluster-identifier <クラスター名> \
--query 'DBClusters[0].{
Cluster: DBClusterIdentifier,
EngineVersion: EngineVersion,
PlatformVersion: ServerlessV2PlatformVersion
}' \
--output table
-------------------------------------------------------------
| DescribeDBClusters |
+-------------------+---------------------------+------------+
| Cluster | EngineVersion | PlatformVersion |
+-------------------+---------------------------+------------+
| my-cluster | 8.0.mysql_aurora.3.10.3 | 4 |
+-------------------+---------------------------+------------+
新規クラスターでの検証結果
新規クラスターを作成した場合、プラットフォームバージョンはどうなるのでしょうか。異なるエンジンバージョンで検証しました。
※ 以下は検証アカウント(ap-northeast-1)での確認結果です。
aws rds create-db-cluster \
--db-cluster-identifier test-pf-v4-check \
--engine aurora-mysql \
--engine-version 8.0.mysql_aurora.3.10.3 \
--manage-master-user-password \
--master-username admin \
--no-deletion-protection \
--serverless-v2-scaling-configuration MinCapacity=0,MaxCapacity=2 \
--db-subnet-group-name <サブネットグループ名>
aws rds describe-db-clusters \
--db-cluster-identifier test-pf-v4-check \
--query 'DBClusters[0].{Engine:EngineVersion, PlatformVersion:ServerlessV2PlatformVersion}' \
--output table
| エンジン | エンジンバージョン | プラットフォームバージョン |
|---|---|---|
| Aurora MySQL | 8.0.mysql_aurora.3.10.3(最新) | 4 |
| Aurora MySQL | 8.0.mysql_aurora.3.04.0(初期のServerless v2対応) | 4 |
| Aurora PostgreSQL | 17.4 | 4 |
エンジンバージョンに関係なく、新規作成時は一律でプラットフォームバージョン4が割り当てられました。公式ドキュメントにも以下の記載があります。
All new clusters, database restores, and new clones launch with the latest platform version available in your AWS Region.
スナップショットからのリストアやクローンも、最新のプラットフォームバージョンで起動されます。
CPUアーキテクチャの調査
プラットフォームバージョン3の公式説明には「powered by Graviton 3 processors」と明記されています。プラットフォームバージョン4で30%の性能向上が実現されているなら、Graviton 4への世代更新が行われた可能性があります。Data APIを使ってDB内部からCPU情報を取得し、確認しました。
Data APIの有効化
Serverless v2でData APIを有効化するには、aws rds enable-http-endpoint オペレーションを使用しました。
aws rds enable-http-endpoint \
--resource-arn <クラスターARN>
create-db-cluster 時に --enable-http-endpoint フラグを付与すれば、作成時から有効化することもできました。
調査結果
MySQL:
aws rds-data execute-statement \
--resource-arn <クラスターARN> \
--secret-arn <シークレットARN> \
--database mysql \
--sql "SELECT @@version, @@version_compile_machine, @@version_compile_os"
| 項目 | 値 |
|---|---|
@@version |
8.0.42 |
@@version_compile_machine |
aarch64 |
@@version_compile_os |
Linux |
PostgreSQL:
aws rds-data execute-statement \
--resource-arn <クラスターARN> \
--secret-arn <シークレットARN> \
--database postgres \
--sql "SELECT version()"
PostgreSQL 17.4 on aarch64-unknown-linux-gnu,
compiled by aarch64-unknown-linux-gnu-gcc (GCC) 10.5.0, 64-bit
MySQL、PostgreSQLともに aarch64(ARM アーキテクチャ)で動作していることが確認できました。
考察
参考までに、Graviton3と4の主な違いです。
| Graviton 3 | Graviton 4 | |
|---|---|---|
| コア | 64x Neoverse V1 | 96x Neoverse V2 |
| アーキテクチャ | Armv8 | Armv9 |
| メモリ | DDR5 | DDR5-5600 |
| メモリ帯域 | ベースライン | 75%増 |
| L2キャッシュ/vCPU | ベースライン | 2倍 |
| 公称性能差 | ベースライン | 30-40%向上 |
DB内部のクエリだけではGraviton 3か4かを直接特定することはできませんでした。しかし、以下の状況証拠からGraviton 4が採用されている可能性が極めて高いと考えられます。
aarch64= ARM/Gravitonで動作していることは確定- プラットフォームバージョン3は「powered by Graviton 3」と公式に明記
- プラットフォームバージョン4の30%性能向上は、Graviton 3→4の公称値(30-40%向上)と一致
- Amazon RDSでは2025年6月時点でGraviton 4の採用が公式ブログで確認されている
アップグレード方法と注意点
既存クラスターのプラットフォームバージョンを更新する方法を紹介します。公式ドキュメントには以下の記載があります。
When a new platform version becomes available, existing clusters on previous platform versions can be upgraded directly to the latest platform version by stopping and restarting the cluster or by using blue/green deployments.
なお、一度アップグレードするとダウングレードはできません。ステージング環境での事前検証を推奨します。
Step 1: pending maintenance の確認
まず、プラットフォームバージョン更新の案内(pending maintenance action)が届いているか確認します。
aws rds describe-pending-maintenance-actions \
--query 'PendingMaintenanceActions[*].{
Resource: ResourceIdentifier,
Actions: PendingMaintenanceActionDetails[?Action==`serverless-platform-version-update`]
}'
Step 2a: 案内が届いている場合
apply-pending-maintenance-action コマンドで適用します。
# 即時適用
aws rds apply-pending-maintenance-action \
--resource-identifier arn:aws:rds:<リージョン>:<アカウントID>:cluster:<クラスター名> \
--apply-action serverless-platform-version-update \
--opt-in-type immediate
# 次回メンテナンスウィンドウで適用
aws rds apply-pending-maintenance-action \
--resource-identifier arn:aws:rds:<リージョン>:<アカウントID>:cluster:<クラスター名> \
--apply-action serverless-platform-version-update \
--opt-in-type next-maintenance
Step 2b: 案内が届いていない場合
案内の到着を待たずに先行して更新したい場合は、以下のいずれかの方法で更新できます。
方法A: クラスターの停止・再起動
最もシンプルな方法です。再起動すると最新のプラットフォームバージョンで起動されます。
aws rds stop-db-cluster --db-cluster-identifier <クラスター名>
# stopped 確認後
aws rds start-db-cluster --db-cluster-identifier <クラスター名>
停止・再起動中はダウンタイムが発生します。所要時間はクラスター規模やデータ量によって異なるため、本番相当のデータが登録されたステージング環境で先行実施し、実際の所要時間を確認しておくことを推奨します。
方法B: Blue/Greenデプロイメント
ダウンタイムの短縮を優先し、並行稼働中のコスト増加が許容できる場合におすすめの方法です。
- Green環境は新規クラスターとして作成されるため、自動的にプラットフォームバージョン4になります
- ストレージ層はクローン(Copy-on-Write)で作成されるため、ストレージの追加コストは差分のみです
- Blue→Green間のレプリケーション(Aurora MySQLの場合はbinlog)が発生するため、Blue側のACU消費が増加する可能性があります
- Green環境が稼働している間は、そのインスタンス分のACUコストが追加で発生します
- スイッチオーバーは1分未満で完了します
詳細は公式ドキュメントを参照してください。
Step 3: 更新後の確認
更新後、プラットフォームバージョンが4になっていることを確認します。確認方法は「プラットフォームバージョンの概要」セクションを参照してください。
方法の比較
| 方法 | ダウンタイム | レプリケーション負荷 | 自動化 |
|---|---|---|---|
| pending maintenance(即時) | あり | なし | 手動実行 |
| pending maintenance(次回MW) | あり | なし | メンテナンスウィンドウで自動 |
| 停止・再起動 | あり(要事前計測) | なし | 手動実行 |
| Blue/Green | スイッチオーバー1分未満 | あり(binlog) | 手動実行 |
まとめ
プラットフォームバージョン4は、追加コストなしで最大30%のパフォーマンス向上が得られるアップデートです。パフォーマンスの向上により同じワークロードをより少ないACUで処理できるようになるため、ACU消費量の抑制とコスト削減が期待できます。
新規クラスターは自動的にプラットフォームバージョン4で作成されますが、既存クラスターは明示的なアップグレードが必要です。まずはステージング環境で動作確認のうえ、アップデートをご検討ください。
参考リンク
- 公式アナウンス: Amazon Aurora serverless: Up to 30% better performance, smarter scaling, and still scales to zero
- 公式ブログ: Aurora serverless: Faster performance, enhanced scaling, and still scales down to zero
- ドキュメント: How Aurora Serverless v2 works
- ドキュメント: Checking the platform version
- ドキュメント: Blue/Green Deployments
- ドキュメント: Maintaining an Aurora DB cluster
- AWSブログ: Leveling up Amazon RDS with AWS Graviton4







