[嬉しい] AWS Pricing Calculator がいつの間にか MediaLive と MediaPackage に対応していたので触ってみた

MediaLive と MediaPackage の試算を手計算していた人々に朗報です
2021.03.17

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こんにちは、大前です。

たまたま AWS Pricing Calculator を眺めていた所、対応サービスとして AWS Elemental MediaLive(以下 MediaLive)と AWS Elemental MediaPackage(以下 MediaPackage)がいつの間にか追加されている事に気がつきました。


いつ追加されたのかはわかりませんでしたが、少なくとも 2019/9月時点ではなかったようです。


私自身、AWS MediaService 周りのランニングコストを試算する機会がよくあるので、個人的には非常に嬉しいです。

せっかく追加されたので、実際に MediaLive と MediaPackage について AWS Pricing Calculator を使った試算をしてみたいと思います。

試算してみた

MediaLive

MediaLive の試算ページを開くと、MediaLive のどのコンポーネントを試算するか選択する項目が確認できます。アドオンを使用するケースは少ないと思いますので、MediaLive InputsMediaLive Outputs を選択した状態にします。

MediaLive のランニングコストが発生するコンポーネントは中々理解に苦労する部分なのですが、過去にブログにまとめてありますので、よければ参照ください。

MediaLive Inputs

MediaLive Inputs を選択すると、インプットに関する費用を試算する為の項目が表示されます。

項目 説明
Number of inputs Channel あたりの入力数。入力切り替え機能を使用しない場合は 1 になります。
Active hours 1ヶ月のうち、MediaLive がアクティブ(=配信)になる時間。
Term MediaLive のリザーブド契約をしている場合、「1 Year」を選択します。
Pipeline チャネルのタイプを、Standard もしくは Single から選択します。
Input Type 該当する入力タイプを選択します。
Resolution 入力映像の解像度を選択します。
Bit Rate 該当する入力映像のビットレートを選択します。


今回は、以下の設定としました。

  • Number of inputs ... 1
  • Active hours ... 24
  • Term ... On Demand
  • Pipeline ... Single
  • Input Type ... AVC
  • Resolution ... HD
  • Bit Rate ... <10mbps

上記を入力した時点で、Show calculations からインプットに関する費用を確認できます。計算式も表示してくれるので、非常にわかりやすいです。

Active hours に入力した値を元に、アクティブな課金だけでなく、アイドルリソースとして課金される費用も算出してくれるのは結構嬉しい気がします。

MediaLive Outputs

MediaLive Outputs を選択すると、アウトプットに関する費用を試算する為の項目が表示されます。

項目 説明
Number of inputs Channel に含まれる出力の数。同じ設定の出力が複数存在する場合などに使用できます。
Active hours 1ヶ月のうち、MediaLive がアクティブ(=配信)になる時間。
Term MediaLive のリザーブド契約をしている場合、「1 Year」を選択します。
Pipeline チャネルのタイプを、Standard もしくは Single から選択します。
Output Type 該当する出力タイプを選択します。
Video Quality 動画の品質レベルを選択します。
Resolution 出力映像の解像度を選択します。
Bit Rate select 出力映像のビットレートを選択します。
Frame Rate 出力映像のフレームレートを選択します。


今回は、以下の設定としました。基本的に、Active hours や Pipeline はインプット側と同値になるはずです。

  • Number of inputs ... 1
  • Active hours ... 24
  • Term ... On Demand
  • Pipeline ... Single
  • Output Type ... AVC
  • Video Quality ... Standard
  • Resolution ... HD
  • Bit Rate select ... <10mbps
  • Frame Rate ... <=30fps

こちらも、Show calculations からアウトプットに関する費用を確認できます。 各項目を入力するだけで料金レートを決めて計算してくれるのは嬉しいですね。

Total

一通りのコンポーネントについての試算の合計を画面下部にて確認できます。 今回の設定では月に約30USD の費用が発生する事がわかりました。

MediaPackage

続いて、MediaPackage の試算ページを開いてみます。

ライブパッケージに関する Live packaging service settings、VOD に関する VOD packaging service settings、データ転送に関する Data Transfer の 3項目が確認できます。

今回はライブ配信に関する試算を想定し、Live packaging service settingsData Transfer を使ってみます。

Live packaging service settings

項目としては以下が存在します。

項目 説明
Number of inputs per channel Channel あたりの入力数。MediaLive で Standard チャネルを利用している場合などは各パイプラインから入力を受け取る為、2になります。
Total duration of live streams per month 1ヶ月のうち、ライブストリームが発生する時間を入力します。
Ingest bitrate per input (Mbit per second) 1入力あたりのビットレート。ABR 構成では合計のビットレートとなります。
Average Number of viewers per hour 平均視聴者数を入力します。
Average bitrate per viewer (Mbit per second) 視聴者あたりの平均ビットレートを入力します。
Cache/hit ratio MediaPackage の前段に CDN が存在する場合、キャッシュヒット率を入力します。

今回は上述の MediaLive の設定に合わせ、以下の設定としました。

  • Number of inputs per channel ... 1
  • Total duration of live streams per month ... 24 hours
  • Ingest bitrate per input (Mbit per second) ... 1Mbps
  • Average Number of viewers per hour ... 1000
  • Average bitrate per viewer (Mbit per second) ... 1Mbps
  • Cache/hit ratio ... 99%

Show calculations からライブのパッケージ費用を確認できます。 CDN のキャッシュヒット率とか、ビットレートからデータ取り込み量計算するのとか、手作業だと結構大変だったのでここがツールとして対応して、計算式まで出してくれるのが非常に嬉しいです...!!!

Data Transfer

項目としては以下が存在します。

項目 説明
Inbound Data Transfer MediaPackage に対するインバウンドのデータ転送量。(項目としては存在しますが、執筆時点では全て無料です)
Intra-Region Data Transfer リージョン内でのデータ転送量を入力します。
Outbound Data Transfer データ転送先と、データ転送量を入力します。

本記事の執筆時点でインバウンドのデータ転送量は無料、かつ CloudFront を CDN として使用する場合は MediaPackage としてデータ転送費は発生しません。 その為、MediaPackage から別リージョンにデータ転送する場合や、外部の CDN を使用する際にこの項目を使用する形になりそうです。

Total

各コンポーネントの試算合計を画面下部にて確認できます。 今回の設定では月に約6.8USD の費用が発生する事がわかりました。

My Estimate でみてみる

それぞれ試算した MediaLive、MediaPackage の結果を My Estimate に追加してみました。

それぞれどのような条件で試算されているかを 1画面で見れるので、非常にわかりやすいです! 今までずっとこの試算を手元で電卓を使ってやっていた身からすると、かなり感動モノです。。。

おわりに

いつの間にか AWS Pricing Calculator に対応していた MediaLive、MediaPackage について、実際に試算をやってみました。

動画配信系のワークロードは試算に必要な情報が独特でヒアリング漏れなどが発生しやすい事もありましたが、Pricing Calculator として必要な項目が定義されているおかげでかなり試算がやりやすくなった印象です。

また、個人的には細かい計算式なども表示してくれるのが嬉しいです。

今後 MediaLive や MediaPackage の試算を行う機会があれば、積極的に Pricing Calculator を使っていきたいと思います。


他 MediaServices も対応することを楽しみに待ちたいと思います。(あと、CloudFront もお願いします。。。)


以上、AWS 事業本部の大前でした。

参考