【レポート】AI/ML を活用した顧客接点改革〜 4つの AWS サービスで顧客データの分析実装パターンの実例をご紹介 〜(AWS-43) #AWSSummit

AWS Summit Onlineのセッション「AI/ML を活用した顧客接点改革〜 4つの AWS サービスで顧客データの分析実装パターンの実例をご紹介」の模様をご紹介します。
2022.06.02

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データアナリティクス事業本部コンサルティングチーム新納(にいの)です。

2022年5月25、26日の2日間でAWS Summit Onlineが開催されました。(6月30日までオンデマンド配信を行っています。)

本エントリは表題セッションのサマリーとなります。セッションのアーカイブも公開されていますので、詳細はそちらをチェックしてください。

セッション情報

概要

AWSには、顧客データを分析するための様々な方法があります。本セッションでは、小売に関する顧客データに対して、実際に Redshift ML/Neptune ML/QuickSight ML Insights/SageMaker Canvas の4つのサービスを用いた実際の分析をお見せした上で、どのような分析ユースケースに対してどのような方法論・サービスが適しているかについてご紹介します。

スピーカー

AWS エンタープライズ技術本部 流通小売・消費財ソリューション部 シニアソリューションアーキテクト 多田 雅哉 氏

このセッションを聞いていただきたい方

  • AI/MLによるデータ分析を検討・実施している方
  • 機械学習パイプライン構築の効率化を行いたい方
  • 顧客データ分析の最適なユースケースを知りたい方

セッションレポート

AI/MLを活用した顧客接点改革

3つのユースケースを元に、AWSサービスを使っての実現方法を紹介します。

  • 売上のトレンド予測
  • リアルタイムのレコメンド
  • リテンション(既存顧客の維持)対策

売り上げのトレンド予測

売上の異常検知により、トレンドを予測できる環境の構築例の紹介です。

  • アーキテクチャ
    • Amazon S3などに保存された売上データをAWS GlueでETL処理し、Amazon AthenaからQuickSightにアクセスして可視化する
    • Amazon QuickSight ML Insights
      • 機械学習を活用して異常検出、予測などが可能になる
    • Amazon Quick Sight Q
      • 自然言語でビジュアルを呼び出す
  • ポイント
    • Amazon QuickSight ML Insightsを使用することでユーザー自身がモデルを構築せず数分で分析や予測が可能となる
    • Amazon QuickSight ML Insightsで得られた結果を既存のダッシュボードにも追加可能

リアルタイムのレコメンド

ユーザーが商品をスキャンしたら購買履歴から分析された商品のクーポンが表示されるといった、リアルタイムのレコメンドを実現する方法の紹介です。

  • アーキテクチャ
    • AWS LambdaからAmazon Neptuneへグラフのトラバーサルを行い、Neptuneは推論結果を返す
    • Amazon Neptune ML
      • グラフ構造のデータを機械学習する
  • ポイント
    • Amazon Neptuneへ拡張クエリを使って操作ができ、モデル選択やトレーニングをAmazon Neptune MLが引き受けてくれる
    • 問い合わせ検索やナレッジグラフ、不正検知などにも応用可能

リテンション(既存顧客の維持)対策

サブスクリプションサービスのサービス利用状況から離反を予測し、利用の継続につながるようなオファーを出すリテンション対策を実現する方法を2つのユースケースから紹介します。

データのインプットから予測結果を出すまで素早く実現したい

  • アーキテクチャ
    • Amazon SageMaker Canvasを使用してGUI操作のみで分析を実施
    • バックエンドではAmazon SageMaker AutopilotやAmazon Forecastでデータの前処理やハイパーパラメータチューニング、モデルの選択をを実施
  • ポイント
    • データの可視化やモデルのプロトタイプの作成を素早く実施することで、次のアクションの決定を迅速に行える
    • 手作業の介入によるバグを考慮せず、緻密なモデルのチューニングをする前のベースラインの精度を出すことも可能

慣れているSQLと既存のデータで予測したい

  • アーキテクチャ
    • Amazon Redshift MLを使用し、SQLを使った機械学習モデル作成・予測を実施
  • ポイント
    • SQLでモデル作成や予測が可能なため、普段からSQLに慣れ親しんでいるユーザーにとっては使いやすい
    • Amazon Redshift Spectrumを使用してAmazon S3上のデータも使用可能
    • BYOM(Bring Your Own Model。独自のモデルを持参すること)により、外部でトレーニングされたモデルを使用可能

まとめ

  • 小売業からよく挙げられる要望(トレンド予測・リアルタイムレコメンド・リテンション対策)を解決するために機械学習によるデータ分析が求められている
  • Amazon NeptuneやAmazon Redshiftなどといった、使い慣れたAWSサービスのインターフェイス上で機械学習モデルの作成、予測分析が可能

所感

AWSが提供する機械学習関連サービスを使用し、顧客接点を改善する実装パターンを紹介するセッションでした。

セッション動画では実際の機械学習モデル構築や分析のデモもあり、中にはGUIベースでクリック操作だけで分析を行えるものもありました。昨年末のAWS re:Inventでもあった「機械学習の民主化」という言葉にピッタリで、様々なユーザーに機械学習の門戸が開かれているように感じました。

セッション付録に今回紹介された各種サービスのハンズオン資料がまとめられていますので、早速試してみたい方はアーカイブ動画をぜひご覧ください!(2022年6月末まで視聴可能です)