【レポート】MaaSにより実現される将来の生活や新しいデジタル基盤~交通事業者が実践する移動革命のケーススタディ~ #AWSSummit
DA事業本部の春田です。
AWS Summit Online絶賛開催中!ということで、本記事では「CUS-72: MaaSにより実現される将来の生活や新しいデジタル基盤~交通事業者が実践する移動革命のケーススタディ~」の内容についてまとめていきます。
セッション情報
- 小田急電鉄株式会社 経営戦略部次世代モビリティチーム 統括リーダー 西村 潤也 氏
- 株式会社ヴァル研究所 CTO 見川 孝太 氏
近年、各産業界から注目を浴びているMaaS(Mobility as a Service)。交通分野にとどまらず、不動産業や小売業などあらゆくプレーヤーが連携やサービス展開を模索している。小田急では、2018年に複々線が完成して鉄道業の根幹が整った中、MaaSによる新たなビジネスモデルの構築を目指している。昨年10月からMaaSアプリ「EMot(エモット)」の実証実験を開始、オープンなデータ基盤「MaaS Japan」も展開している。本講演では、小田急のケーススタディ、パートナーのヴァル研究所によるデジタル基盤構築に関する技術的な知見、将来にむけた他産業との連携可能性を語る。
※セッション動画は以下リンク
アジェンダ
- MaaSとは?
- MaaSアプリ「EMot(エモット)」
- MaaSアプリを支えるデジタル基盤
- MaaSの将来
MaaSとは?
- MaaS(Mobility as a Service)とは?
- 移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念(国土交通省の定義)
- 出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに一つのアプリで提供するなど
- 人が中心に、スマホを通じて様々なサービスが繋がる
- 移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念(国土交通省の定義)
- TIS社のMaaSのイメージ
- 交通以外に、東京タワーなどの目的地や建物のほか、コーヒーやメッセージ、グラフなどあらゆるものが繋がっている
- 小田急電鉄のイメージ
- 手のひらのスマホで、チケットの購入や予約などを展開
- 現代のデジタル接点 → スマホ
- クーポンなどが紙から画面へ
- スマホの登場により、さらにインタラクティブに
- タクシーの配車アプリ
- スマホを活用したモビリティーサービスの典型
- 受給に応じたアルゴリズム
MaaSアプリ「EMot(エモット)」
- 小田急の背景
- 東京の副都心新宿から、神奈川の小田原線、江ノ島線、多摩線を展開する計120.5kmの路線
- 1927年(昭和2年)に新宿-小田原間約80kmをわずか1年半で開通
- 新しい小田急への変革
- 2018年に50年来の悲願であった複々線を完成させ、「新しい小田急」へと変革
- 運輸業だけでなく、百貨店やホテルも展開
- 人工減少にともない、リアルな事業とデジタルな顧客接点の融合が肝要
- MaaSアプリ「EMot(エモット)」
- もっといい「いきかた」
- EMot(エモット)は、日々の行動の利便性をより高め、新しい生活スタイルや観光の楽しみ方を見つけられるアプリ
- 2つの生き方
- 複合経路検索
- いつもの道が「行き方」を変えるだけで新しくなる
- 電子チケット
- 移動することで心や経験が豊かになって「生き方」が変わる
- 複合経路検索
- 複合経路検索
- ヴァル研究所の新しい経路検索機能Mixwayにより、タクシーやバイクシェアなども組み合わせた経路検索も可能になった
- MovやJapanTaxi、タイムカーシェアら17の企業とAPI連携
- 電子チケット
- 観光地の交通チケットをスマホで購入できる
- サブスク型の飲食チケット、イベントチケットなども販売
MaaSアプリを支えるデジタル基盤
- ヴァル研究所とは?
- 社名: 株式会社ヴァル研究所
- 所在地: 東京都杉並区高円寺
- 従業員数: 159名(2019年7月時点)
- 創業: 1976年7月
- 45年続いている会社
- Appleと同い年
- こち亀より長く続いている
- おもな商材は「駅すぱあと」
ヴァル研究所が開発協力したMaaSプラットフォーム「MaaS Japan」
- ポイント
- 機能単位で疎結合
- もともとはEC2で構成されていて、単一障害点が課題だった
- 各機能の結合度を下げ、今後の拡張を用意に
- サーバレス(一部)
- 実装のみに集中
- 極力PaaS利用
- マネージドサービスを利用することで、運用コストを低減
- 機能単位で疎結合
- EmotはMaaS Japanを使用したアプリ
- MaaS Japan構成
- 6つのシンプルな機能
- BFF
- 認証
- アカウント管理
- 通知
- チケッティング
- 決済
- LambdaとDynamoDBが主体
- コンピューティングリソースが必要なものはFargateとAuroraがベース
- 各機能が相互に連携
- 6つのシンプルな機能
- プラットフォーム所感
- 監視対象がすくないこともあり運用負荷は低下
- Amazon EC2ベースの環境と比較して
- シンプルな機能群として整理したため、フロント実装の複雑性も低下
- フロントとプラットフォームのスコープが曖昧になりやすいという注意点もある
- 監視対象がすくないこともあり運用負荷は低下
- AWSである理由
- ビジネスの速度優先であったため早く作成できる
- 調達スピードが圧倒的に速い
- 今後の変更に柔軟に対応できる
- 開発側だけでなく、運用側も柔軟に対応できる
- ビジネス拡大にあわせてスケールできるプラットフォーム
- 我々がもっとも使い慣れたクラウド
- 社内にノウハウが蓄積されていた
- ビジネスの速度優先であったため早く作成できる
MaaSの将来
- リアルビジネス
- 利用者を奪い合う陣取り合戦から、ネットワーキングの時代へ
- 先に挙げた日本企業だけでなく、MaaS発祥の地フィンランドのwhimや、シンガポールのZipsterとも連携
- 海外のアプリでも日本の交通機関のチケットが変える
- 次世代の私鉄ビジネスモデル
- 交通サービスと生活・観光サービスとの好循環
- 移動をデジタルな接点MaaSでつなげ、需要を創出する
- 次世代の"モビリティ・ライフ"
- 移動がしっかりと都市や人を支える
- 移動によって人が都市の様々なサービスが享受できる社会