【レポート】 AWS で宇宙からのデータを一括管理! 小型 SAR 衛星による準リアルタイム地球観測プロジェクト #AWSSummit
2020年9月8日から30日まで開催されるAWS Summit Onlineのレポートです。
本記事で取り上げるセッションは下記となります。
セッション情報
スピーカー
株式会社QPS研究所 プロジェクトマネージャー/工学博士 上津原 正彦 氏
概要
宇宙開発ベンチャー「株式会社QPS研究所」では世界でもトップクラスの高分解能を持つ小型SAR衛星の開発に成功。さらにはその衛星を36機打ち上げてコンステレーションを構築し、平均10分間隔で地上の定点観測を可能にする「準リアルタイムマップ」プロジェクトを進行中です。ここでしか聞けない、ベンチャーの衛星開発の現場や、そしてどうやって宇宙からの膨大なデータを管理するのか、AWS上のシステムの役割についてご紹介します。
動画はこちら
セッションレポート
QPS研究所とは
- 2005年に福岡で創業した宇宙ベンチャー企業
- 九州で宇宙産業を目指して創業された
- Q-shu Pioneers of Space
- 九州に宇宙産業を根付かせたい
現在、取り組んでいるプロジェクト
- リアルタイムに更新される地図を作ること
- たくさんの人工衛星が飛んでいるが、まだ実現できていない
- 現在の人工衛星では、光学式カメラを使用しているものが多く、撮影できないタイミングがある
- 十分な光がない夜間
- 雲に遮られているとき
- 合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)を使ったSAR衛生なら、地球上を観測できる
- SAR衛生は、たくさんの電力を使う
- 大型になる
- コストも高くなる
- 1基の衛星が観測できるのは、1日に数回と限定的
- リアルタイムに観測するなら、数十基の衛星が必要になる
- それだけで国家予算を超えるぐらいになる
- リアルタイムに観測するなら、数十基の衛星が必要になる
世界初の100kg以下、小型SAR衛生を開発
- この衛生を36基打ち上げる計画を考えた
- 世界中のほぼ全域を、約10分に1回、撮影できる
- まずは、準リアルタイムのデータ提供サービスの改修を2025年を目標に考えている
準リアルタイムの観測データとは?
- 例えば、災害が起きたとき、夜でも雨が降っていても、10分以内に状況が確認できる
- 社会の効率化
- 農業・漁業の生産性向上
- 建物や線路等のインフラの劣化を早期発見
- 国・地域の経済予測
- 交通状況、人の動きから地域の経済状況を予測
- 自動運転の実現をサポート
- 高精度3Dマップの実現
- 都市状況をリアルタイムに把握・予測
準リアルタイムの実現に必要なもの
- 小型SAR衛生
- 地上局(中継局)
- クラウド
小型SAR衛生
- QPS研究所が地場企業の方と協力うして開発した
- 高分解能
- 解像度は1メートル
- 超軽量
- 100kg以下
- 低コスト
- 従来比で1/100
- 高分解能
- 1号機(イザナギ)の打ち上げは成功し、現在も安定運用を続けている
- 2号機は、2020年12月以降に打ち上げ予定
地上局(中継局)
- 衛星と通信をするアンテナがある施設
- イザナギとは1日あたり5〜6回の通信が可能
- 1回あたりの通信可能時間は約10分
- 約90分後に再度通信ができる(周回時間が約90分)
クラウド
- 毎日、衛生から膨大なデータが地上に送信されている
- 地上では、安全に保存する仕組みが必要になる
- 地上側の仕組みも、衛生の開発期間(1年弱)に合わせる必要がある
- エンジニアも少ないため、AWSに着目した
- データの安全な保管管理が、すでにあるサービスで実現できる
- クラウドが得意な外部パートナーと協力できる
- エンジニアも少ないため、AWSに着目した
今後の展開
- まずは2号機の打ち上げ
- 2号機の打ち上げが終われば、一気に36基の打ち上げ体制になる
- 36基の衛星をコントロールする中継局やクラウドの仕組みが必要になる
- ユーザからやってくる観測リクエストを迅速に対応し、観測実行し、結果を素早くダウンロードする
- このような仕組みをAWSを使って実現していく
- 地上局の選定についても、AWS Ground Stationなどを活用したい
QPS研究所が目指す先
- 宇宙が持つ可能性を広げ、人類の発展に貢献する
- 世界を驚かせ、ワクワクさせる挑戦を続けたい
感想
実現したい未来に向かって着実に進んでいる様子が伝わってきました。 AWSも宇宙や衛生に関連したサービスを開始していますし、活用できると良いですね。