【レポート】CUS-25:金融市場インフラのデジタルトランスフォーメーションへの挑戦 #AWSSummit
こんにちは、CX事業本部の夏目です。
今回はAWS Summit Onlineのオンデマンドセッション 「CUS-25:金融市場インフラのデジタルトランスフォーメーションへの挑戦」 についてのセッションレポート(文字起こし)になります。
導入
- 日本取引所グループのCIO横山です。本日は、金融市場インフラのデジタルトランスフォーメーションの挑戦と題しまして、我々取引所が今取り組んでいるいろんな取り組みにつきまして、お話をしたいと思います。
- それでは、資料の説明に入らせていただきます。
タイトル
日本取引所グループの概要
- 取引所いいましても、なじみのない方がたくさんいらっしゃると思いますんで、概要について少し、このスライドで説明をしたいと思います。
- 日本取引所グループは、2013年に東京証券取引所と大阪証券取引所が経営統合して誕生しました。
- その後、昨年の10月にTOCOM、東京商品取引所の子会社化しまして、いわゆる総合取引所化に実現するというようなそんなグループになっています。
- ご覧いただきますように傘下に三つの取引所を持っています。
- 一つは現物を中心とした東京証券取引所、デリバティブを中心とした大阪取引所、そして商品取引先物デリバティブを中心とした東京商品取引所です。
- 今月、金属のデリバティブ等が大阪取引所に商品化されまして、いよいよ総合取引所がスタートすると、こんな形になっています。
- 次のスライドですが、取引所というものは、ある種独占企業的なものをイメージをお持ちの方が多いと思うんですけれども、今は非常に大きな環境変化にさらされています。
- ビジネス面、IT面、両方あると思うんですけれども、それは相互に非常に影響し合っています。
- IT 環境の変化は、このセミナーをお聞きの皆さん、言わずもがなだと思いますけれども、例えばクラウド化であるとか AI だとか、そういった動きですね、それらが相互に影響し合って、ビジネス環境の中でも新しいプラットフォームが台頭したり、あるいはデータビジネスが多様化し、といったような形で大きな変化に取引所もさらされています。
- その中で特にその IT を担当している私としまして考えなければいけないというふうに思ってますのは、こうした影響を受けたベンダーのビジネスモデルの変化という面です。
- これまでは我々がオンプレミスでベンダーに開発をお願いしてシステムを構築し、それを使っていくというような形でビジネスをしていたわけですけれども、クラウド化すると、それを利用料という形でベンダーさんにお支払いするようになります。
- こうした変化は、ベンダーのビジネスモデルに大きな影響を与え、ひいては我々のその ITの開発、運用、そうした面にも大きな影響を与えるというふうに考えました。
- そうしたことから、これらの環境変化に対応するために、取引所の IT部門としてどう考えるべきかということで、2018年一昨年ですけれども、ほぼ1年をかけまして、 JPX が10年後どんな IT として目指すべき姿を追求してったらいいだろうということで、中長期ロードマップというものを策定しました。
- この間様々なステークホルダーの人とも議論を交わしました。
- 数多くのベンダー、国内国外を問わずですね、そうした方とも議論をいたしました。
- これも IT 部門の将来像ということになるわけですけれども、これを取引所の経営計画と融合させなければいけません。
- そうしたことで、中期経営計画とIT マスタープランという形で、これらを統合するというんですかね、この中に溶け込ませるといったようなことを次に行いました。
- 我々3年ごとに中期経営計画、これは JPX 全体視点の事業計画ですけれども、これを作っております。
- 今、ちょうど第3次中期経営計画の2年目ということなんですが、昨年これを策定したときに、 IT の考え方など相当いろいろ議論をしまして、取り入れております。
- 例えば見ていただきますと次世代に向けた市場の形、これは今我々のビジネスは、マーケットというものは IT なしではできないというようなこともありますのでこうしたことを取り入れたりしています。
- で、この融合した結果として、 IT 部門が具体的にこの3年間に何をやらなければいけないかということを、 IT マスタープランの方に落とし込んでいます。
- これをすごくぐっとぐっと丸めてお話をしますと、この円で書かれている二つの領域ですね、これをやらなければいけないということになります。
- 一つは、着実な推進を求められる領域です。我々もインフラ産業といいますか、インフラの会社ですので、例えばマーケットを運営するシステムが止まっては大変なことになります。
- 従ってこういう着実な推進を求める領域ということでどちらかというと信頼性ですね、可用性、こうしたことを追求することをしっかりやらなければいけない。
- もう一つは変化にいち早く対応する領域ということで、先ほど申し上げました急激な事業環境 IT 環境の変化にどうやって素早く対応してったらいいかということです。
- どちらもやはりデジタル技術ということがキーワードになります。
- 特に着実な推進を求められる領域におきましても、これは同じことを踏襲すればいいというふうに考えがちなんですが、先ほど申し上げましたベンダーさんのビジネスモデルの変化を考えると、同じことをしていったら、絶対に将来大変なことになるというふうな認識もございます。
- こうした IT 部門に求められる対応を具体的にデジタル化、デジタル技術を使って加速していくということで、これはちょっとチープな言葉になりますけれども、 DX、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みというものを始めることとしました。
- 当面、先ほど申し上げましたように中長期ロードマップでは10年後なんですが、当面具体的に変化への対応力を上げるための技術テーマを五つ設定しました。
- クラウドの積極的導入、コンパクトなシステム、いわゆるマイクロサービスの構築推進、自動化効率化、ビッグデータの活用、そして一番大事で一番難しいDX 人材の育成という人材面ですね、この五つのテーマを選定しました。
- そしてこれらを推進するための組織体としまして、2019年にデジタル化推進委員会というものを設置しました。
- 当時は私が委員長を務めまして、基本的には IT 部門を中心として委員会の活動を動かしていって、それを経営層に報告すると、そういう形で推進しました。
- 1年間活動して IT 部門の中でのいろんな情報共有、それから経営層との対話というものは進んだんですけれども、ビジネス部門との距離感というものが、なかなかちょっと縮まらなかったという反省がありまして、今年度からは、ビジネス部門も参画いたしまして、 DX 本部ということで名称を変更していきます。
- 過去デジタル化推進委員会という形では1年間活動したんですけれども、昨年度までにですね、ここで書いてるように先ほど言った技術要素としてクラウドとか自動化といったようなものを少し細分化して、計15分野でですね、35本PoCを実施しました。
- できるだけPoCとどまらないということを念頭に置きながらですね、進めてきた結果として、実業務で活用するようなところまで達した案件が5本実現したということになりましてこれは、多いか少ないかあるかと思いますけども、それなりの成果が出てきたかなということで、外部サービスに提供した事例も含んで5ほんの実用化まで1年間で達成したということになります。
- 次のスライドからはそうした実現したですね、外部のサービスが実現した事例などを少しご紹介したいと思います。
- まず第一の事例が J-NETポータルということで、ちょっとこの言葉は少し置いておきまして、取引上、先ほど申し上げましたように我々は取引所業、市場運営というものをメイン事業としてやっている会社なんですけれども、そのメインの取引システム自体はですね、いわゆる伝統的なウォーターフォールで作って、プロジェクトの開始から2年、長いもので3年かけて作り上げるというようなことで、ある意味ちょっと重厚長大なシステムになっていますが、外部にいろいろな競争相手が出てきている中では、2年3年かけてその基幹システムを作って運営していくというやり方ではもう追いつかないということで、もう少し小回りの利くシステムを、その大きなシステムの外側に作って、外のニーズ変化したニーズを取り込もうというような意図で作ったシステムです。
- これはクラウド、プライベートクラウドを基盤として使っているんですけれども、そうしたことなどそれから少しアジャイル的な開発の仕方もですね、要素として取り入れたということで、だいたい8ヶ月ぐらいでですね、検討開始からサービスインまでこぎつけたということで、先ほど言った、今までの我々の経験が2年3年かけてシステムを作ることだったということと比較しますと、非常に短納期で実現できたということで、また我々が今までなじみがなかった外側のニーズというものも一定程度取り組めたかなあというふうに考えています。
- それから事例の2番目ですけれども、これはオルタナティブデータにも取り組みということで言っていますが、こちらは基盤にはですね、AWS S3を使って実現したものになります。
- 我々いろんな取引をしたりそれから上場会社さんの関係だとか、様々なデータが集まってきます。
- もちろん株価であるとかですね、上場会社の適時開示など、法律で決まっていてデータをディストリビューションしているというのがたくさんあるんですけれども、まだまだ眠っているデータがたくさんあるだろうということで、それビジネスに生かすというんですかね、いうことで取り組んだものになります。
- でこの例で言うと、システムの CPU とかですねゲートウェイの利用率などのデータを提供しているんですけれども、通常で言うと、先ほど言った、例えば株価配信など大きなシステムの作り方は、これもやっぱりウォーターフォールで作っていますんで、非常にその改修には時間がかかるということになるわけなんですけれども、クラウドを使いまして、まず PoC 環境を立ち上げました。
- その中に一定程度データを放り込んで、顧客に使ってもらって、このデータは扱えるこのデータは使えないといったようなフィードバックをもらって、システムを作り上げていくというような、これもそういう意味では作り方としてアジャイル的なものだと思うんですけども、最終的にはですね、 PoCで使った環境をそのまま本番移行できたということで、こちらは短くてですねだいたい4ヶ月5ヶ月程度で実現サービスインに至ったということで、実際には収益化ができているというようなサービスになります。
- こうしたいくつかのPoCからサービスインできたというような知見を得まして、いくつかの気づきがありましたんで、次のスライドから何ページか使ってですねその辺についてもご説明したいと思います。
- まず一つは、新規サービスを立ち上げする上での新しいアプローチというものが、経験値としてできてきたかなというふうに思います。
- IT部門側からの、IT部門の目線で申し上げますと、社内ユーザーあるいは外側のユーザーに対して、そうしたサービスを提供する術というものを、我々として提供できたというふうに考えています。
- 先ほど二つの事例でもご説明しましたけれども、クラウドを活用することによりまして開発期間が非常に短縮できたということになります。
- 我々の旧来の大規模システムですと、インフラを構築してテストをして、ソリューションを載っけることができるというふうになるまでにも長いものでいうと8ヶ月とか10ヶ月とかいうふうにかかっていたんですけども、本当に数ヶ月でも、実際にもっと短くできるかもしれませんがそうした形でのインフラ提供というものをできるようになりました。
- それから、下に書いてありますけれども、小さく始めるという選択肢が取りうるということになりいうことの気づきですねこうした選択肢を提供できるということがわかってきました。
- どうしてもこれまでですと、ある程度サイジングしてそれなりの規模のインフラを作っていく、というようなことだったわけですけれども、ユーザーニーズに応じてですね、後から機能拡張できるというようなことなんで、過大な機能を搭載する最初からですね、とか、あるいはニーズを、結果として読み違えて、ニーズに対して不釣合いなインフラを提供するというようなリスクを抑えるということになりますし、そういうことから結果としては、初期コストを抑えてサービスが提供できますから、収益率の面で非常に、何ですかね、収益率の高いサービス提供ができるようなこと、そうした気づきですね、これら今まで我々がやってきたサービスの提供の仕方と比べると非常に大きな違いが出てきたというふうに感じています。
- それから、少し同じような観点になりますけれどもインフラのサイズですねこれが伸縮自在だということで、流量にもう合わせてですね、大きくしたり、あるいは小さくしたりするということ、これも今までのやり方だとなかなかできませんでした。
- これはクラウドの非常に大きな特徴だと思うんですけども、この辺ですね経験を積んだことによって、下にありますように、目的に応じた使い分けというものができるということがよくわかりました。
- これまでのシステムが悪いと、全て悪いというわけではなくて、例えば売買システムで言うと、ある程度要件もわかっていますし、それから特にレイテンシの生命性能がですね重視されるシステムなので、これらを使う、そしてずっと同じような形で稼働させていくということでいうと、オンプレミスにまだまだ一日の長というアドバンテージがあるというふうに思っていますが、新規ビジネスとか、それから開発環境テスト環境に活用するという点で言えば、今まで申し上げたような知見それから特徴からするとやはりクラウドが相当程度有利と言いますか、これによって新しい大きな選択肢を得ることができたなというふうに思ってます。
- なので、これは本当に使い分けだというふうに感じていますけれども、非常に大きな気づき、我々としての経験値になったというふうに思っています。
- それからこれは付随するような話なんですけれども、たくさんのPoCをやる中でですね、デジタル技術の活用によって、いろいろな面での高度化といいますか、これらができるようになってきたなあということの気づきもございました。
- 例えば RPA なんかをですね、我々も結構早い段階から取り組んでまして、今で言うと、月間で1,000時間ぐらい、業務時間の削減ができたということですね。
- 何よりも取引所業務というのがそのミスがどちらかと許されない、いうような業務、対外的に公表しているいろんな数字が間違っては大変だ、というようなことで、プレッシャーがですねかなり実際に人間嫌ということで、それが人手から自動化されるということで心理的なプレッシャーからも開放するというような、とても良い面があったということも気づきになっています。
- それからこうした形でシステムをクイックにアジリティを上げて立ち上げて、でもその運用していかなきゃいけないというようなことがありますので、システム開発と運用というところへの、新しい技術を使った効率化高度化というものも、これは非常に大きな課題だというふうに思ってます。
- 今まさに取り組んでいるところなんですけれども、この辺は今までのウォーターフォールでオンプレて作っているシステムと、それからクラウドを使って効率的に作ってるシステムを両方持ってるわけなんで、これらをどうやって開発しテストし運用していくかというところ、これらも取り組んでいますが、ここら辺はまだまだ課題だというふうに思っています。
- 最後の、先ほど四つの技術要素とですね、もう一つ人材育成ということが一番難しく、そして一番大事だということでお話したんですけども、人材育成というのはなかなかゴールがないんですが、この1年間の取り組みのことで少しお話をさせていただきますと、一つこれはもう当たり前なんですけども、研修をすることによるいわゆる DX 人材の卵ですかね、こうしたところについてユニバースを拡大してきたということをやってきました。
- こうした研修の中には AWS のセミナーだからちょっと持ち上げるわけではないんですけれども、AWSさんが提供しているプロトタイピングというようなものも利用させていただいて、この辺は IT 部門の人間だけではなくて、業務部門の人間にもできるだけそうしたところに触れてもらうというようなことで取り組みをしています。
- もう一つ研修だけだとですねインポートインプットということだけだと、何ていうんですかね、学んだことを伝え、使う使わないということの体験がない中で、いくらインポートしても限界がありますので、どうやってそれをアウトプットをしてもらうかというようなことも、これはマネジメント側の責任なのかもしれないんですが、そうした機会を拡大するということにもできるだけ意を注いでできたということです。
- もちろんPoCなんかもそうなんですけども、我々としていろんなホワイトペーパーみないなの出してまして、例えば AI の活用だとかそうしたことについてはレポートにして外に公表していくみたいな形での取り組みもしてきました。
- 技術の理解と課題の理解というところが最後に書いてあるんですけれども、ここはよく言われる DX 人材というのは、 IT も知っていてそれから業務課題もわかっていてそれを解決するようなことに対して知恵を出せるような人材ということで、ここ一部難しいんですけれどもこの辺は意識しながらやっていかなきゃいけないということになるんですが、そうした課題の理解という点でいうと、パートナーであるベンダーさんですね、こうした方々とも同じ目線に立つということが大事だというふうに思ってまして、これは人材育成でも同じです。
- これはちょっとあとの方のスライドでも少し触れたいと思います。
- チーム作りということになるんですけれども、ここワンチームというふうに書いてますが、我々取引所を取り巻くステークホルダーと思いますたくさんありましてそうした中で関係者の目線を合わせることが必要だというふうに、これは実感として感じています。
- 今までのやり方というのが左側に書いてあるんですけども、ビジネス部門 IT部門それからパートナーベンダーさんでこの他にステークホルダーということで、例えば証券会社さんなんかがいるわけですけども、そうしたところがですねそういう意味で言うと、連環はしてるんですけれどもそれぞれの役割ごとに仕事をするというような形ですね。
- ビジネス部門は要件を出し、 IT 部門はそれを理解して、例えば要件定義書などに落とし込んでいて、これをベンダーさんに伝えていってベンダーさんが開発するという形だったんですが、こういうやり方ですね、もちろんこういうやり方、今後続けていくんですけれども、例えば新しい技術に取り組んだり、それからアジリティを上げて、アジャイルでも同じような考え方だと思うんですけども、スピードを上げてデジタル推進をすると、デジタルトランスフォーメーションするということで言うと、右側にあるワンチームということですねもうちょっと古い言葉になってしまいましたけれども、ビジネス部門 IT 部門それからパートナーベンダーがまさにワンチームということで、その垣根を乗り越えて、ビジネスの成功、あるいは業務目標の達成ということで、単にシステムを開発するというよりそれを使って、ビジネスを成功させていくんだというような視点でですね、仕事をしていかないとこれは成功にはたどり着けないということで、これはすごく実感をしているところです。
- なのでこの中における、社内はですねもちろん、我々がいろいろとお話をしていくわけですけれども、ベンダーさんの役割というのは非常に大きくて、ベンダーさんにいかに我々のゴールというものをご理解いただいて仕事をしていくか、というようなことが大事なんではないかなというふうに思います。
- 今まで1年間 DX ということで取り組んできた事例であるとか、それから学びをお話しましたけども、少し今後の取り組みということでお話をさせていただきますと、これまで PoCを通じてあるいはその実ビジネスの展開を通じて先ほど基盤の話を少しさせていただきましたけども、今まではちょっとPoCごとにですね基盤を作ってきた、クラウド利用する場合も同じような形だったんですが、だんだんAWSだけではないのかもしれませんが、クラウド型ビジネス展開というものの特徴ですかね、こうしたものが見えてまいりまして、それを使った複数のビジネスの展開というものも見えてきたので、共通基盤というものを作ってですね、クラウドののここではAWSということになるわけですが、活用領域の拡張というものをしていきたいというふうに考えてまして、真ん中のところにマークも書いてありますけれども、 JPX 全体のAWS共通基盤というふうにちょっと名づけまして、これの構築を今進めているところです。
- ここはもちろん AWS さんにご協力をいただいて今おおよそ基盤が出来てきてですね、そこに最初のサービスを載せられるかなあ、というようなところまで来ています。ゆくゆくはできるだけ内製のスキルを上げていって我々でと運用できるようにしていきたいというふうに思ってるんですけども、今はAWSさんのお力を借りて進めています。
- ここも小さく産んで大きく育てるということだと思いますけれども、データのAPI配信どもですね、この中に載せて、外に配信したいというふうに思ってましてその話はあとのスライドで少しご紹介したいと思います。
- それから、我々のステークホルダーとのネットワークはこれまでクローズドのネットワーク構築してまして、それを我々AllowNetと呼んでいるのですけども、基幹システムのセキュリティを担保するという意味では、クローズドネットワークというものがすぐに廃れてしまうというふうに思ってないんですが、こうした世界の拡張していく将来像をみたいのを考えると、どうしてもクローズドネットワークとクラウドとの接続っていうものが必要になるというふうに感じています。
- で今年の6月、先月ですね、からですね、一部のテスト系のサービスでAllowNetというクローズドのネットワークとAWS との接続をちょっと実験的に開始をしていまして、ゆくゆくはそれが本当に基幹系のシステムの方にも拡大していくんではないかというふうに思っておりまして、その辺の取り組みはAWSさんと協力しながらやっていきたいというふうに思っています。
- API配信の話なんですけども、これは将来事例として一つご紹介していますけれども、これまで我々の既存のデータ提供のルートというのが上の方になってまして、情報ベンダーや証券会社さんを経由して投資家の方に、例えば株価のデータなどが配信されるというようなことになっていました。
- これは公平性とか拘束性とかいろんな理由があるんですけれども他方でですね、いろんなフィンテック企業をやっぱりそういったデータが欲しいとか、それからこれまでいわゆる投資家ということではなくて、データが欲しいといったような新しいそのユーザー層というものもだんだんだんだん想定されるようになってきました。
- 上のルートだとですね、その設備にもお金をかかったりとか、あるいは配信が非常になんていうんですかね高速でかつ落ちることがないというようなこと等もあったりして情報料が高かったんですね。
- そうするとフィンテック企業だとかそれから新たな投資家層がなかなかタッチしにくいという面がありましたので、AWS使って API でこうしたことを提供して安価に情報提供ができないかというような取り組みをしているところです。
- 一応来年の春に提供開始できないかなということで、今考えているところです。
- 最後に、今の状況下ということになりますが、コロナの問題を経て見えてきた課題について少しお話をして締めくくりたいというふうに思うんですけれども、これをご覧になっている皆様も、大変な時期をもう何ヶ月も過ごしておられると思いますが、 IT の視点から言うとですね、いろんな気づきがあったんじゃないかというふうに思います。
- 我々に日本取引所グループとしてのポジティブな気づきということで、我々リモートワークを支える技術に対して一定の投資をしてきたというようなことで、こうした状況の中でもですね、まずは大事なのは市場運営ということですけれども、皆様、新聞で東京証券取引所が止まったということも、そうしたニュースもご覧になってないと思いますけれども、こうした中でも市場へ支障なく市場へを継続できたということは非常に大きな点だったかなというふうに思ってます。
- 多くの業務がリモートで対応可能だったということで、これはこれまで投資をしてきたことでこういったことが実現できたかなというふうに思っています。
- 今後の課題ということになるんですけれども、全体として業務の多くがリモートで対応できたんですけれども、本番システムのですねオペレーションなどは、そこはやはりオンサイトで出勤して対象から行けなかったということもございます。
- それから社内は大分ペーパーレスになってるんですけれども、対外的なやりとりの中では紙の書類ともまだまだ残っているということで、結局こうしたことを整備していくということはコロナ云々ということを抜きにしたとしても、いわゆる働き方改革ということになるのかもしれませんが、いろんな労務上の課題を解決できる可能性があるというようなことで、ここは社会を変化させる契機としてこの問題を捉えて、デジタル技術を活用しまして、できるだけ前向きに新しい価値を生み出していきたいというふうに考えております。
- そういう意味でまとめみたいなの話になるんですけれども、こうしたことを、我々が推進する上で、繰り返しになるんですけれども、我々だけではできないというふうに思っています。
- そこはAWSさんだけということではないんですけれども、いろんなパートナーのベンダーさんと協力をして、クラウドという視点でいうと、クラウドのエコシステムですね、証券界というふうに言ってもいいかもしれませんが、これを作ってそれを推進していきたいというふうに思ってます。
- その辺は、クラウドベンダーであるAWS Japanとも協力しながら、これは将来の課題だと思いますけれども、推進していきたいというふうに考えています。
- 以上資料の説明をこれで終わらせていただきます。
- 以上ご説明しました。
- ご清聴いいますか見ていただいてどうもありがとうございます。
- 我々日本取引所グループ、インフラ企業ですけれども、たくさんのステークホルダーの人たち、そしてベンダーの皆さんと協力しながら、こうした取り組みをなお一層加速して推進していきたいと思います。
- 今日はどうもありがとうございました。