[レポート]SAP&業務システムのフルクラウド化~3年運用してみてわかったそのインパクト~ #AWSSummit
こんにちは、城内です。
今回は、 AWS Summit Tokyo 2016の6/3(金) P3A1420セッションのレポートです。
セッション情報
- セッション名:【日光ケミカルズ様登壇】SAP&業務システムのフルクラウド化 ~ 3 年運用してみてわかったそのインパクト~
- スピーカー:長谷川 昌之氏(日光ケミカルズ株式会社 取締役総務部長)
セッション内容
AWSへの移行プロジェクト
- 2004年導入、R3(FI/CO PP/GM MM/SD/WM)フルモジュール
- 2006年SAP ERPアップグレード
- 2011年にDCからAWSに引っ越し
- 2013年に移行完了
課題
- DR/BCP対策(3.11の影響)
- コストダウン
- サポート要員不足、運用負荷軽減
サービスとパートナー選定
数社で比較検討した結果、AWSにもリスクはあったがメリットが大きかった。
- A社:関西方面のDCに夜間バックアップデータを運ぶ
- B社:北海道のDCで地盤が強固
- AWS:首都圏3か所にあるDCに自動バックアップ
為替変動によるリスク、データ転送量による料金変動が課題としてあった。
→予算が組みづらい
選定のポイント
- バックアップ課題を解決できるサービスがあった
- 高いスペックのリソースを時間課金で利用できる
- ハードウェアの障害を気にしなくていい(人員工数不足)
- 基幹システムでの運用実績が少ないことを逆手にとって、優位に立てる
- AWSの利用企業が多かった
- セキュリティはクラウド>オンプレである
上海以外の拠点は、AWSに集約した。
導入時の不安
- クラウドの理解があまり進んでいなかったため、大丈夫なのか?
- スペックがAWSのコンピューティングで、大丈夫なのか?
- データセンターの所在が分からないけど、大丈夫なのか?
- 米国愛国者法に対する不安→2015年6月に失効
- ネットワークの帯域、経路が不安
- 従量課金による予算化が困難→ISIDを挿むことで解消
- リソース共有による性能劣化やセキュリティホールに対する不安
- ファーストサーバという会社でのデータ消失があり、不安
- 費用が高くつくと困る
信頼性
物理DCの所在不明
- 自分たちでの管理がなくなり運用負荷が軽減
データ消失の危険性
- 自社の運用レベルに比べればはるかにセキュア
安定性
クラウドサーバは不安定
- 現状業務影響が出た障害はない
- 不安定動作もない
事業継続性は?
- Multi-AZによる可用性
- オンプレ時代にはなかった安心感
性能
AWSサーバは遅い?
- 移行によって42%高速化
コスト
オンプレDCに比べて高い?
- 45%減少(DRなしで)
- 値下げによる還元がある
想定外の効果と困ったこと
- グループ会社間の合併時のシステム移行が容易にできた
- 上海オフィスのファイルサーバを統合できなかった(グレートファイアーウォール)
WorkSpaces
- 2014年~VDIの導入
課題
- 情報漏えいリスク
- クライアントPCの入れ替え作業コスト
- OSアップデートによる作業コスト
- 上海で利用できない
PCとの比較
単価ではPCの方が少し安いかもしれないが、それ以外のスケーラビリティや可用性、セキュリティ面でメリットを感じている。
- データ漏えいリスクがなく社外作業ができる
- ウィルスリスクなく自宅PCから基幹システム、ファイルサーバにアクセスできる
- グレートファイヤーウォールを突破できる
- Windows Update後にログインできない
- 接続場所によっては動作がもっさり
まとめ
グローバル規模での情報収集と共有が必要であるという要望に対して、AWSが最適解であると考えている。
感想
具体的なお話を聞けて、これからAWSを利用していこうと検討されている方などにとっては、とても有用な内容だったかと思います。
未知のものに対する不安はいろいろあるのかもしれませんが、たいていは解消できる内容ですよね!
すごいぞ、AWS。