[セッションレポート] AWS で実現する実店舗とオンライン EC サイトの連携 #AWSSummit #AWSSummitTokyo
こんにちは。サービス部の武田です。
久しぶりのAWS Summitオフライン開催ということで、黄色いシャツを着て現地参戦しています!
今回は「AWS で実現する実店舗とオンライン EC サイトの連携」というタイトルのAWSセッションを聴講しましたのでレポートします。
スピーカー
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
デジタルトランスフォーメーション本部
インダストリーソリューションアーキテクト國田 有華子
オンデマンド動画
こちらのセッションはオンデマンド配信されています。
公開期間: 2023 年 5 月 22 日 12 時 ~ 2023 年 6 月 23 日 19 時
セッション概要
流通小売業者の皆様が抱える課題の一つが実店舗とオンラインECサイトの連携です。消費者の立場ではシームレスな連携が期待されるのは理解していても、業務として、システムとして実現するためにはいくつもの課題を解決する必要があります。この課題に対して AWS が多面的な側面で複数のソリューションを持つことをご存じでしょうか?このセッションでは、Unified Commerce という考え方に基づき、物流側面では AWS Supply Chain、顧客接点として Immersive Commerce や AWS Applications、アーキテクチャ側面として Composable Commerce などをご紹介します。
アジェンダ
このセッションでは次の3点について説明していく。
- Why? なぜ、実店舗とECの連携をするのか?
- What? 実現のために何をすべきか?
- How? どのようにして実現するか?
それらを踏まえ今日からでも実施してもらいたいこととしてNext Actionを紹介。
- Next Action 始めていただきたいこと
Why? なぜ、実店舗とECの連携をするのか?
小売事業者が直面する課題として次のようなものがある。
- 顧客
- チャネルをまたいで、顧客の体験が分断されている
- 一貫したサービス品質、ブランド価値を届けられていない
- 商品
- 複数のチャネルからの注文に対応できていない
- 店舗・チャネル・倉庫をまたいで在庫がどれだけあるかわからない
- 技術的負債
- システムの柔軟性がなく、最新の技術を取り込むことができない
- 実店舗とECのシステムの二重投資・運用負荷
顧客の購買行動は変化している。
- 46,000人の消費者の行動を調査。約73%の消費者が複数のチャネルを経由して買い物をすることを好む
- オンラインのみは7%。店舗のみは20%にとどまる
顧客の意識もまた変わっている。
- 64%の消費者が、パーソナライズされたエンゲージメントを期待している
- 67%がセルフサービス方式を好んでいる
店舗とECが連携することで得られるメリットとして次のようなものが挙げられる。
- 顧客体験(CX)の向上
- 顧客の獲得・リテンション → 売り上げ向上
- 店舗とECがシームレスにつながることで、商品の発見から購買、受け取りまで一貫した顧客体験を提供できる
- 顧客の理解
- マーケティングの最適化 → LTV(Life Time Value)の向上
- 顧客とのタッチポイントが増えるため、個々の顧客にあった、パーソナライズしたキャンペーン、サポートが可能となる
- 商品の品揃え
- 在庫の最適化 → 過剰在庫・欠品の防止
- 店舗・ECの在庫の状況を明確に把握して、豊富な品揃えを実現できる
実店舗とECが連携することで好循環が生まれるが重要。
What? 実現のために何をすべきか?
実店舗とECが連携するとは何なのか?
- UX
- 同じ購買体験である
- データ(顧客)
- 同じ顧客だと認識される
- データ(商品)
- 同じ商品として管理されている
- 同じしくみ
- 同じ機能を利用して実現している
オンラインと実店舗をまたいだ体験の事例としてPetcoの紹介。
Petco Pet Supplies, Pet Food, and Pet Products: Free Same Day Delivery!
- クロスプラットフォームモバイル ECエクスペリエンスを実現
- 柔軟性に富んだプラットフォームによりパンデミック時に6週間でカーブサイドピックアップを実装
連携時のよくある課題として「各システムが分断されてしまっており、連携が容易ではない(異なるベンダーが開発している)」といったものがある。しかし実際にはそれぞれ次のような要望がある。
- UX
- チャネルごとにフロントは俊敏に開発したい
- データ
- 顧客データ、商品データを一元管理したい
- コマース機能
- チャネル間で機能を共通化して使いたい
ここでの望ましい姿は「ユニファイドコマース」である。また技術的には「コンポーザブルアプローチ」が望ましい。チャネルとデータソースを分離し、マイクロサービスを使用してチャネル間で共通のコマース機能を使用するアーキテクチャ。
アナリストの見解の紹介。
- 新しいコマース機能の50%が、APIを中心としたSaaSとして取り込まれる
- コンポーザブルアプローチを採用することで競合他社を80%上回る
これらを実現するための設計思想としてMACHがある。
- Microservice
- コマースに必要な機能は、ピースにより交換可能で自由に組み立てられる
- API-first
- コマース機能とデータは常にドキュメント化されたAPIでアクセスできる
- Cloud-native
- クラウド能力を活用するために、最初からクラウド向けに構築する
- Headless
- プレゼンテーションを完全に分離し、柔軟性を高める
How? どのようにして実現するか?
AWSでは AWS Solutions としてさまざまなアーキテクチャを公開している。ここでは次の2つを紹介。
- Guidance for Unified Commerce on AWS
- MACHアーキテクチャで統一された顧客体験を提供
- Guidance for Supply Chain Control Tower Visibility on AWS
- サプライチェーンの可視性を向上させる
また AWS Applications としてベストプラクティスにのっとったさまざまな従量課金のアプリケーションを公開している。そのうちのひとつに、機械学習を活用したサプラーチェーンアプリもある。在庫状況の把握や予測、リバランスなど機械学習を活用したインサイトを取得できる。
サプライチェーンの最適化 - AWS Supply Chain - Amazon Web Services
Next Action 始めていただきたいこと
このセッションで紹介したような、小売業界の典型的な課題に対するアプローチをブログで紹介している。まずはこのブログを読んでほしい。
他にも関連ブログが多数あるのでぜひ参考にしてほしい(※資料かビデオが見られるようになったら確認してください)。
所感
実はこのセッションを聴講する前に、サンドラッグさんのセッションを聴講していました(レポートは私ではありません)。
そこでもオムニチャネルやユニファイドコマースといったアプローチで課題に取り組んでおり、新鮮な心持ちでセッションを聴けました。私自身は業務で小売などに接していませんが、弊社のプリズマティクスはまさしくこうした課題を解決しようとしているプロダクトですので、興味を持って参加できました。どちらかといえば消費者としてこうしたプロダクトの恩恵を預かる立場ですが、便利なシステムの裏側が少し知れておもしろかったです。