AWS User Notifications の通知パターンについてまとめてみた

AWS User Notifications の通知パターンについてまとめてみた

AWS User Notifications の集約と重複排除の仕組みを、マルチアカウント環境での具体例を交えて整理します。AWS管理通知とユーザー設定通知で異なる挙動を、図表を用いて詳しく解説しました。
2026.07.14

はじめに

AWS Organizations 配下のマルチアカウント環境で AWS Health の通知を運用していると、「同じイベントの通知が各アカウントから飛んできてノイズになる」「メールが多すぎて見られていない」という悩みが出てきます。

AWS User Notifications には 集約(Aggregation)重複排除(Deduplication) という仕組みがありますが、これらは「AWS管理通知」と「ユーザー設定通知」で意味も挙動も異なります。本記事では、この2つの通知タイプの挙動を、マルチアカウント構成での具体例を交えて整理します。

この記事でわかること

  • AWS User Notifications の2つの通知タイプ(AWS管理通知 / ユーザー設定通知)の違い
  • AWS Health の「アカウント固有イベント」と「パブリックイベント」の違い
  • AWS管理通知の集約・重複排除の仕様と条件
  • ユーザー設定通知の集約の仕様
  • マルチアカウント(Organizations)での宛先の決まり方と通知の飛び方

前提知識:2つの軸を分けて考える

AWS User Notifications を理解するには、混同しやすい2つの軸を分けて考えるのがポイントです。

  • 軸1:通知の「仕組み」 … AWS管理通知 / ユーザー設定通知
  • 軸2:Healthイベントの「種類」 … アカウント固有イベント / パブリックイベント

軸1:通知の仕組み

項目 AWS管理通知 ユーザー設定通知
設定方法 デフォルトで有効(無効化不可) 手動で作成
アカウント内リソース 作成されない EventBridgeマネージドルールが作成される
対象サービス AWS Health のみ EventBridge対応サービス全般
対象Healthイベント アカウント固有のみ(4カテゴリ) アカウント固有・パブリック両方
宛先の決め方 アカウント連絡先に自動配信 設定作成時に配信チャネルを指定
集約 同一イベントを組織横断でまとめる 時間枠内のイベントをまとめる
集約のカスタマイズ 不可(時間枠固定) 可能(5分/12時間/なし)
重複排除 あり(同一メールアドレス時のみ) なし
マルチアカウント 全アカウント対象(選択不可) OU単位/組織全体を指定可能

軸2:Healthイベントの種類

種類 説明 eventScopeCode
アカウント固有イベント 自分のアカウント・リソースに影響する個別イベント(例:EC2メンテ、証明書ローテーション) ACCOUNT_SPECIFIC
パブリックイベント 特定アカウントに紐づかないサービス/リージョン全体の情報(例:リージョン障害) PUBLIC

事前作業:User Notifications への信頼されたアクセスの有効化

AWS管理通知の集約・重複排除、およびユーザー設定通知の OU 単位/組織全体の通知設定を利用するには、AWS Organizations で AWS User Notifications への信頼されたアクセス(Trusted Access) を有効化する必要があります。

有効化手順は以下のとおりです。

  1. 管理アカウントで AWS マネジメントコンソールにサインインし、User Notifications コンソールを開く
    AWS User Notifications 信頼されたアクセス有効化手順_1
  2. ナビゲーションペインで「組織設定」を選択
    AWS User Notifications 信頼されたアクセス有効化手順_2
  3. 信頼されたアクセスを有効にする」を選択
    AWS User Notifications 信頼されたアクセス有効化手順_3

必要に応じて、同じ画面の「委任管理者」から委任管理者アカウントを登録できます(最大5アカウント)。委任管理者は管理アカウントと同様に、組織横断の集約通知の受信や通知設定の作成が可能です。

https://docs.aws.amazon.com/notifications/latest/userguide/uno-orgs.html

補足:宛先の決まり方の違い

  • AWS管理通知:アカウント連絡先(ルート / 代替連絡先)への配信がベース。カテゴリ(Security等)ごとに、「どの連絡先タイプをオンにするか」を設定する。さらに必要に応じて、追加の「配信チャネル(Slackや任意メール等)」をカテゴリ単位で紐づけることができる。
  • ユーザー設定通知:通知設定を作るときに、イベントの条件(ルール)と一緒に配信チャネル(メール / Slack等のチャットツール / モバイル)を明示指定する(※アカウント連絡先のオン/オフという概念はなし)。

AWS管理通知の集約

集約の意味

組織内の複数アカウントで 同じイベント(同一 Communication ID) が発生したとき、管理アカウント/委任管理者が「1通の集約通知」にまとめて受け取る 機能です。その1通に、影響を受けた全アカウントの情報が含まれます。

AWS Use Notifications記事用

4カテゴリと集約ウィンドウ(固定・変更不可)

AWS管理通知が扱うのは Health の アカウント固有イベントのみ で、目的別に4カテゴリに分類されます。集約の時間枠はカテゴリごとに固定です。

カテゴリ 内容 集約ウィンドウ
Account-Specific Issues issue カテゴリの障害・問題イベント(可用性に影響しうる進行中の問題) 1分以内
Security セキュリティ関連 10分以内
Health Operations 運用関連 10分以内
Billing Notification 請求関連 10分以内

集約の仕様まとめ

  • 集約キーは Communication ID。IDが違えば同じカテゴリでも別通知。
  • 集約されるのは 管理/委任管理者が受け取る分だけ。各メンバーは自分の分の個別通知を受け取る。
  • 前提として信頼されたアクセスの有効化が必要(前述の事前作業を参照)
  • 集約のオン/オフや時間枠のカスタマイズは不可。

AWS管理通知の重複排除

重複排除の意味

管理(委任管理者)とメンバーが同じアカウント連絡先メールを使用している場合、メンバー側の個別メールを抑制し、管理側の集約通知のみを送信する機能です。

重複排除が機能する条件

  • 通知先が アカウント連絡先メールアドレス(ルートユーザー / 代替連絡先)であること
  • 管理(委任管理者)とメンバーで 同じメールアドレス を使用(プラスアドレス ops+xxx@ も同一扱い)

重複排除が機能しないケース

  • メンバーアカウント同士だけで同じメールアドレスを共有
  • 同一アカウント内で複数の連絡先タイプに同じメールアドレスを設定
  • 配信チャネル(Slack等のチャットツール / 通知センター等) 経由(配信チャネルは常に送信され、重複排除の対象外)

ケーススタディ:連絡先が混在する場合

前提:管理アカウントの宛先アドレスとメンバーアカウントAの宛先アドレスが同一、メンバーアカウントBは別。同じイベントがA・B両方で発生。

AWS Use Notifications記事用_AWS管理通知_重複排除

  • メンバーアカウントAの分は重複排除される(管理アカウントとメールアドレス共有のため)
  • メンバーアカウントBの分は重複排除されない(メールアドレスが異なるため)

ユーザー設定通知の集約

集約の意味

同一通知設定内で、時間枠内に発生した複数イベントを1通にまとめる 機能です。AWS管理通知と異なり、イベントの種類(Communication ID)が違ってもまとめられます

設定 説明
5分以内(推奨) 5分間隔でまとめて送信
12時間以内 12時間間隔でまとめて送信
集約しない イベントごとに即時送信

「集約」の意味の違い(比較)

項目 AWS管理通知 ユーザー設定通知
集約の意味 同じイベントの集約 時間枠内のイベント集約
集約対象 同一 Communication ID のみ 同一通知設定内(異なるイベントも可)
集約時間 サブカテゴリごとに固定(1分/10分) カスタマイズ可能(5分/12時間/なし)
重複排除 あり(メールのみ) なし

宛先を複数メールにした場合の挙動

1つの通知設定に2つのメールアドレスを登録すると、両方に同じ通知が同じ数だけ届きます(重複排除・分割はされない)。通知数は「イベントが何アカウント分発生するか × 集約設定」で決まります。

イベント種類 集約なし 集約あり(5分等)
アカウント固有(1アカウントのみ) 各メール 1通 各メール 1通
アカウント固有(同一イベントが2アカウント) 各メール 2通 各メール 1通
パブリック(2アカウントに配信) 各メール 2通 各メール 1通

関連クォータ(参考)

項目 デフォルト
通知設定数 / アカウント 50
同一サービスの通知設定数 20
サービス&イベント種別ごとの通知設定数 10
通知設定あたりのイベントルール 10
通知設定あたりのチャネル数 50
アカウントあたりのメール連絡先 500

いずれも調整不可(上限緩和申請の対象外)です。
詳細は公式ドキュメントをご参照ください。
https://docs.aws.amazon.com/notifications/latest/userguide/user-notifications-quotas.html

まとめ

  • AWS User Notifications には AWS管理通知ユーザー設定通知 があり、集約・重複排除の意味が異なる。
  • AWS管理通知:同一イベントを組織横断で集約(時間枠固定)。同一連絡先メールなら重複排除が効く(配信チャネルは対象外)。
  • ユーザー設定通知:時間枠内のイベントを集約(カスタマイズ可)。重複排除はないが、配信元を1設定に集約すれば重複を避けられる。
  • 宛先の決まり方(自動配信 / 明示指定)と集約の意味の違いを理解して設計することが重要。

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