みずほ銀行、三菱UFJ銀行のデジタル・トランスフォーメーションにおけるデータ利活用 #AWSSummit
現在開催されている、AWS Summit Tokyo 2019において、以下のセッションを聴講したのでレポートします。
- みずほ銀行、三菱UFJ銀行のデジタル・トランスフォーメーションにおけるデータ利活用
メガバンクでのAWS活用事例あまり表にはでてこないイメージですが、両行ともAWSを存分に活用されていて、非常にためになったセッションでした。
メガバンクAWS きたか…!! ( ゚д゚) ガタッ / ヾ __L| / ̄ ̄ ̄/_ \/ /
セッション概要
みずほ銀行、三菱UFJ銀行のデジタル・トランスフォーメーションにおけるデータ利活用
セッションスピーカー
- 株式会社三菱UFJ銀行 デジタル企画部 調査役 池内 和訓様
- 株式会社みずほ銀行 リテール・事業法人業務部 調査役 坂内 千佳様
セッション概要
お客さまの行動様式の変化や多様化、テクノロジーの変化、異業種の参入、各国当局の動向など金融機関の経営環境は従前と大きく異なりつつあります。本セッションでは、みずほ銀行様と三菱UFJ銀行様にご登壇頂き、金融機関のデジタルを活用した事業変革の取り組みにおけるITソリューションの活用について、特に、アナリティクス業務における課題・解決テーマとその実現についてご紹介させて頂きます。
引用:みずほ銀行、三菱UFJ銀行のデジタル・トランスフォーメーションにおけるデータ利活用
アジェンダ
- AWSのデータ利活用サービス
- みずほ銀行様発表
- 三菱UFJ銀行様発表
- パネルディスカッション
みずほ銀行様発表
近年のデータ利活用における課題と、クラウドによる解決方法について。課題はおもに以下に集約される。
- ビジネスで必要とする分析量の増大や、分析手法の高度化
- 既存環境のパフォーマンスやキャパシティ不足
→ 既存の利活用環境の改善、補強が必要となっている。
また、新ビジネスへのチャレンジも必要。
情報利活用の中心になるのが、データレイク。AWSのサービスではS3を利用している。S3は安価で高い可用性をもち、耐久性も高いので、S3をデータレイクの中心に据えるのは、ベストプラクティスと言える。
収集→データレイク(ETL)→分析→可視化・応用
- 周辺サービス:分析
- 標準技術、分散処理、データレイクへの透過的アクセスが全ての共通基盤。分散処理をすることで膨大なデータにアクセス可能
- Amazon Redshift
- Amazon Athena
- AWS Glue
- 周辺サービス:可視化・応用
- Amazon QuickSight
- サーバレス
- Webサイトに埋め込み
- 機械学習によるインサイト
あるいは、分析に関しては、AWSパートナー(APN)がもつ多彩なソリューションを活用するのもよい。
- みずほ銀行ではETLにAthena
- Athena+QuickSight
- 三菱UFJでは、ETLにAWS Glueを利用
- Athena+QuickSight
データ利活用における悩み
現状把握や基礎係数取得に体力を多く投下している。お客様との接点となるチャネルのデータ資産化の手法に改善の余地あり。
AWSの利用方法
- 従来環境
- Teradata、SAS
- AWS環境移行後
- Athena、S3,Redshift,QuickSight
5つのステップに分けて移行を実施。
- 業務要件整理
- AWSの仕様と確認とサービスデータ配置の検討
- 現行業務の移設と比較検証
- 言語変換・関数の網羅性検証
- データ可視化
AWSのサービス配置とデータの流れ
中間データ提供部分で、S3→Athena→S3を繰り返している、最後にRedshiftからQuickSightによる可視化を実施。
各検証ポイントにおける、業務置き換えの結果。
- 入力 → 問題なく移行できた
- コーディング → 処理確認のなれが必要
- 出力 → 全て出力成功
- 運用 → AthenaのUIが使いにくい部分はあるが、分析は最大で40倍早くなった。
ビジネス利用においてのメリット・デメリット
- メリット
- 大量データの可視化
- 処理時間短縮
- デメリット
- デフォルトは全て共有設定
速さの理由はRedshiftによる列施行処理も一因。
今後の展望とAWSへの期待
- 社内類似業務の移行
- セルフサービスBIの導入
考えるための武器として、Quicksightを利用している。また、今後は、Athenaをもっと有効活用していきたい。まだまだ活用の余地があると考えている。
三菱UFJ銀行様発表
デジタルトランスフォーメーションへの取り組み
現在、構造改革を実践中。その中に、チャット施策がある。
現在コールセンターに業務負荷がかかっている。そこでWebチャットを新設した。最初はAIが対応し、AIで対応できない場合に初めてオペレータが対応するというフローになっている。
チャットウィンドウでは個人情報を扱うことができないため、限定的ではあるが、すでに大きな効果が得られている。
新しい取り組みで効果の見通しが立てづらい中、高品質・低予算・短納期が求められるプロジェクトであった。そのため、当行における実績が豊富なAWSを最大限活用したシステムとして構築した。
- 高品質
- 銀行内でのAWS利用実績を参考にアーキテクチャを設計
- 低予算
- 極力スクラッチ開発を避け、AWS既存機能の組み合わせで対応
- 短納期
- AWSのソリューションアーキテクトに全面的に師事した
ログ収集部分は、以下のサービスを利用。だいたい1ヶ月ぐらいで構築を完了させることができた。
- Lambda
- S3
- Glue
- Athena
- QuickSight
今後の取組
- 自然言語処理技術を用いたデータ分析
- DDL-python Shellの管理を高度化
- 各種コードを運用チーム内で共有/バージョン管理
- Cloud9/Code Commitの導入を検討
- データレイクとの連携
- 別プロジェクトにてAWS上に構築中のデータレイクと連携
パネルディスカッション
両行の公演後、パネルディスカッションがありました。
「クラウドを乗りこなすのに重要なことは?」
完璧をもとめすぎないこと。オンプレだと作って終わりだけど、クラウドにおいては徐々に良くしていく姿勢が必要。ユーザー部門にとっては、作ってもらうというよりは自分たちで作っていくんだというという意識改革が重要になる。ユーザー参加型の意識があるべき。
機能が拡張していくのはおもしろい。
「クラウド上のシステムを運用するのに重要なことは?」
本部の中で自分たちが管理している検証環境を持っていた。自分たちであれこれ検証できることは、非常に相性がよい。
運用部門はIT部門ではなく、デジタル企画でやっている。プロジェクトが成功するかどうかはわからなかったので、デジタル企画でやっている。将来的に運用していく道筋がたってきたら、IT部門への移管を考えている。
「クラウドを利用する上で、難しかった・想定外だった部分はあるか?」
開発を進める上でDockerを活用しようとしてFargateの導入を考えていたが、PrivateLinkが対応してなかったので断念したという経緯があった。現在は対応しているので、改めて検証していきたい。
AWS初めてだったので、大変だった。どうやって使うのかというところを常に模索していた。
まとめ
メガバンクというある種、クラウドとは遠くにあると感じていた企業様の発表でしたが、その前向きな取り組み方は、非常に参考になりました。担当者の方の活き活きとしたパネルディスカッションでの生の声をお聞きすることができて楽しかったです。
それでは、今日はこのへんで。濱田(@hamako9999)でした。