bedrock-runtime で OpenAI GPT-5.6 が使えるようになったので試してみた
はじめに
2026年8月17日のアップデートで、OpenAI GPT-5.6(Sol / Terra / Luna)が Amazon Bedrock の bedrock-runtime エンドポイントで使えるようになりました。Responses / Chat Completions / Converse の3つの API とクロスリージョン推論を利用できます。
本記事では、GPT-5.6 を3つの API から実際に呼び出しました。あわせて、Geo と Global での処理リージョン、モデル呼び出しログの出力先、単価の違いを確認しました。
クロスリージョン推論そのものの仕様は公式ドキュメントにまとまっています。
検証内容
us-east-1 から3つの API と2種類の推論プロファイルで呼び出し、処理リージョンと、us-east-1 / us-west-2 のどちらにログが出力されるかを確認しました。
3つの API で呼び出す
bedrock-runtime エンドポイントで Responses / Chat Completions / Converse がそれぞれ通るかを確認しました。openai SDK 経由の2つは Bedrock の短期トークン、Converse は boto3 の SigV4 で認証します。
openai SDK からは、base_url に bedrock-runtime の OpenAI 互換パスを指定します。
from aws_bedrock_token_generator import provide_token
from openai import OpenAI
REGION = "us-east-1"
MODEL_ID = "global.openai.gpt-5.6-luna"
PROMPT = "Amazon Bedrockとは何ですか?2文で簡潔に説明してください。"
client = OpenAI(
base_url=f"https://bedrock-runtime.{REGION}.amazonaws.com/openai/v1",
api_key=provide_token(region=REGION),
)
# Responses API
res = client.responses.create(model=MODEL_ID, input=PROMPT, reasoning={"effort": "low"})
print(res.output_text)
# Chat Completions API
chat = client.chat.completions.create(
model=MODEL_ID,
messages=[{"role": "user", "content": PROMPT}],
)
print(chat.choices[0].message.content)
Converse は boto3 の bedrock-runtime クライアントから呼びます。
# PROMPT は前掲のコードで定義した値を使用します。
import boto3
client = boto3.client("bedrock-runtime", region_name="us-east-1")
res = client.converse(
modelId="global.openai.gpt-5.6-luna",
messages=[{"role": "user", "content": [{"text": PROMPT}]}],
inferenceConfig={"maxTokens": 300},
)
print(res["output"]["message"]["content"][0]["text"])
Responses / Chat Completions / Converse の3つとも応答が返りました。
Web Search などのサーバーサイドツールと background=true は、bedrock-runtime のエンドポイント仕様で対象外と明記されています。
Global と Geo を呼び分ける
推論プロファイルを指定するには、モデルカードの Programmatic Access に記載された ID を modelId に渡すだけです。Geo には us.openai.gpt-5.6-luna、Global には global.openai.gpt-5.6-luna を指定します。
us-east-1 から Global で6件呼び出したところ、6件すべてが呼び出し元とは別のリージョンで処理されました。同じく us-east-1 から Geo で呼んだ1件は、処理先も us-east-1 でした。
Global は複数の商用リージョンへルーティングされます。Global には専用のクォータがあります。対象は Global Cross-region model inference requests per minute for ${Model} と、トークン数に関する枠です。これらは呼び出し元リージョンで別枠として管理されます。詳細はドキュメントを参照してください。
仕様から推測すると、単一リージョンのキャパシティに縛られない構成のため、特定リージョンに負荷が集中する状況ではスロットルの緩和が期待できます。
呼び出しログの出力先を確認する
処理リージョンが分散すると、モデル呼び出しログがどのリージョンへ出るのかは運用上気になります。そこで us-east-1 と us-west-2 の両方に同名のロググループを作り、モデル呼び出しログを有効化した状態で呼び出しました。ログの有効化手順は公式ドキュメントに記載されています。
今回の7件では、ログはいずれも呼び出し元の us-east-1 側にのみ出力され、us-west-2 側にレコードは現れませんでした。ロググループ名を両リージョンで同名にしても、混在は起きませんでした。
レコードには呼び出し元リージョンの region と、処理先リージョンの inferenceRegion が別フィールドで入ります。
{
"region": "us-east-1",
"operation": "Converse",
"modelId": "<INFERENCE_PROFILE_ARN>",
"inferenceRegion": "us-west-2"
}
このうち inferenceRegion は、ログ形式のドキュメントでフィールド表に記載がありませんでした(region は記載があります)。ログの modelId には推論プロファイル ARN が入り、ARN 末尾の global. / us. のプレフィックスで Global と Geo を判別できます。
呼び出し元と処理先の対応は CloudWatch Logs Insights で集計しました。
fields modelId, region, inferenceRegion
| stats count(*) as count by modelId, region, inferenceRegion
| sort region asc, inferenceRegion asc
| 推論プロファイル | 呼び出し元(region) |
処理先(inferenceRegion) |
件数 |
|---|---|---|---|
| Global | us-east-1 | us-west-2 | 4 |
| Global | us-east-1 | us-east-2 | 2 |
| Geo | us-east-1 | us-east-1 | 1 |
検証した7件では、ログの集約先が呼び出し元リージョンに揃ったため、既存の監査やダッシュボードの構成を変更せずに使えます。処理先の分布を見たい場合は inferenceRegion を参照します。
単価を比較する
各モデルカード(Sol / Terra / Luna)の Pricing には、執筆時点の Short Context Window の入力・出力トークン単価が示されています。
以下は Standard tier・Short Context Window(272K)・100万トークンあたりの単価です。セル内は入力 / 出力の順です。
| モデル | Bedrock In-Region / Geo | Bedrock Global | OpenAI API |
|---|---|---|---|
| Sol | $5.50 / $33.00 | $5.00 / $30.00 | $5.00 / $30.00 |
| Terra | $2.20 / $13.20 | $2.00 / $12.00 | $2.00 / $12.00 |
| Luna | $0.22 / $1.32 | $0.20 / $1.20 | $0.20 / $1.20 |
Global CRIS の単価は、3モデルとも OpenAI API の価格と一致します。In-Region と Geo は同額で、Global より約10%高い単価です。
まとめ
今回のアップデートにより、Claude などを利用する既存の bedrock-runtime ワークロードでも、OpenAI GPT-5.6 をモデルの選択肢に加えやすくなりました。
Amazon Bedrock の公式ドキュメントでは、「For new applications, we recommend the bedrock-runtime endpoint.」と案内されています。クロスリージョン推論や Guardrails などの Bedrock ネイティブ機能は、bedrock-runtime で利用できます。
一方で、Bedrock ネイティブ機能を必要としない場合は、bedrock-mantle も有効な選択肢です。Web Search などのモデルネイティブ機能を利用したい場合や、bedrock-mantle でのみ提供される Grok 4.3 や Gemma 4 を併用する場合は、bedrock-mantle をお試しください。








