2020 年に読んだ本のうち、オススメをまとめてみた

januswel が 2020 年に読んだ本の中から、オススメをピックアップして紹介
2021.02.19

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デブサミ 2021 で「ITエンジニア本大賞 2021」というのをやっていたので、いい機会だと思い、去年読んだ本の書評をする「マイ IT エンジニア本大賞 2020」をやります。

ノミネート

図解でわかる!理工系のためのよい文章の書き方 論文・レポートを自力で書けるようになる方法

同様の本では「理工系のための作文技術」が良書ですが、この本ではよりわかりやすく、噛み砕いて説明しています。

ブログを書いたり、 Wiki を編集したりする際に非常に有用な知識と経験が体系的に手に入ります。誰かに書き方を聞かれたらまずこの本をオススメするくらいの良書です。

高校生からのリーダーシップ入門

リーダーシップというと、リーダーのみが備えている性質という意味が未だに日本では主流ですが、世界では leadership という言葉をそういう意味で使っていないんですよ、という本です。

Classmethod の文化である CLP にもリーダーシップがありますが、それはこの本に記述されている内容と同様のものとなっています。

高校生向けということもあり、非常にわかりやすく解説されているので、リーダーシップという言葉のアップグレードをしたい方にはオススメです。

超一流になるのは才能か努力か?

スキルは才能ではない、ということがよくわかる本です。また、スキルを伸ばすためには一人の時間が必要であることや、意図的な練習が必要であること、能力がアイデンティティとなっていくことなど、後進を育てるにあたって基礎となるべき教えが書いてあります。

注意点として、この本の主題である deliberate practice は「限界的練習」と訳されていますが、「集中的訓練」と訳している本やサイトもあり、関連情報を探す際は両方で検索してみてください。

最近、エンジニアリングマネージャーとして一歩を踏み出したこともあり、とても興味深く読むことができた本でした。

「精神科医の禅僧」が教える 心と体の正しい休め方

マインドフルネスは心身の健康を保つのみならず、仕事において良い成果を出すために注目されていますが、座禅はパッとできるものではない、というのが個人的な悩みでした。

この本には形式的な座禅だけでなく、歩きながら心を落ち着ける方法や気持ちを切り替えるための時間の使い方が書かれており、実践的な内容になっています。

また、疲れには体と脳の二種類があるだとか、マルチタスクで疲弊した脳がシングルタスクで回復するなどの、自分の体をうまく休めるための知識も散りばめられています。

失敗の本質

太平洋戦争時の日本軍とアメリカ軍の動きを事実としてまとめ、なぜ日本軍が負けたのかを事実をもとに考察するという本です。

組織学習や環境への適応といった、現在にも通じる話題が様々な事例を通して議論されています。組織の高齢化による弊害や代替手段の確保、戦略の大切さといったことにも触れられています。

エンジニアの方は SCRUM の前身となった The New New Product Development Game を発表された野中郁次郎さんが共著者のひとりである、と言えばピンとくるでしょうか。

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

日本特有の課題を踏まえた上で、どのように組織学習するかについて記述された本です。失敗から学ぶことがいかに効率的かが書いてあります。

「失敗できない」という思い込みがいかに危険か、という思いを個人的に持っていたため、この本は心にささりました。

また、 deliberate practice についても触れられていますので、前出の「超一流になるのは才能か努力か?」を脇に置いて読みすすめるのもよいでしょう。

大賞

すべて良書なので、大賞という枠でひとつ決めるのは無理がありましたが、あえてひとつ「エンジニアが読むべき本」を挙げるなら「図解でわかる!理工系のためのよい文章の書き方 論文・レポートを自力で書けるようになる方法」です。

アウトプットもスキルなのでぜひ身につけて、よりよいエンジニアライフを送ってほしい、という想いから選びました。

みなさんに響く書があればうれしいです。

また来年もやると思いますので、お楽しみに。