『みんなではじめるデザイン批評』〜批評は作っているものをもっと良くしたいと思う全ての人のもの〜

『みんなではじめるデザイン批評』〜批評は作っているものをもっと良くしたいと思う全ての人のもの〜

『みんなではじめるデザイン批評』は、仕事上で欠かすことのできないプロセスの一部である「批評」についての理解を深めることができます。目的に沿ったより良いデザインへ向かうための有益なヒントが詰まっています。
Clock Icon2023.03.02

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UIデザイン勉強中のアシスタントデザイナーのくぼです!

今回はデザインを人に見てもらう上で欠かせない「批評」についてまとめられている『みんなではじめるデザイン批評」』をご紹介します!

 

この本について

批評はなんのためにするのでしょうか?

それは、「今あるものをより良くするため」です。シンプルですね。

デザインプロセスにおける「批評」の重要性と、その効率的な使い方についてまとめられている本です。

そもそも批評ってなんなのか?効率的な批評ってどうやるの?批評についての大切な心がまえについて、などなど詳細に書かれています。

 

目次紹介

第一章 批評を理解する

第二章 批評とはどのようなものか

第三章 文化と批評

第四章 批評をプロセスの一部にする

第五章 批評のファシリテーション

第六章 扱いにくい人々、やっかいな状況

第七章 サマリー:批評は素晴らしい協働の中核をなす

 

 

内容について

本書は「デザインについて語れることはデザイナーの必須スキル」の一言から始まっています。

様々な人の様々な意見が飛び交う中、デザイナーはどのように『プロジェクトにおける最適・最良のデザイン』を見出せばいいのか?その方法の一つとして本書では「批評」について解説しています。

批評とは目標達成に向けて正しい方向に進んでいるかの理解を促す分析です。その批評を効果的にプロジェクトに組み込むための必要な知識について、本の内容からいくつか抜粋してご紹介します。

 

建設的な議論を始めやすくするためには、工夫が必要

批評の前にデザイナー自身がプロジェクトの目的などを理解できていないと、集めたメンバーに説明することができません。

ゴールを見据えた説明をするとともに、具体的な答えではなくなぜ自分がそう考えるのかの「視点」を告げることを念頭においておく必要があるのです。批評は作っているものをもっと良くしたいと思う全ての人のものであり、ライフスキルになることを覚えてきましょう!

批評の依頼を出す際には「何についてのフィードバックが欲しいのか?」を具体的に説明することが重要です。

フィードバックはデザインプロセスの重要な部分ですが、その意味は幅広く、相手のフィードバックも提示されたものに対する直感的反応に過ぎない可能性もあります。

フィードバックとは何か、どう活かすべきかを理解すれば会話の質を向上させることができるのです。

 

フィードバックには3つのタイプがあり、重要なのは「クリティカルシンキング」

フィードバックには3つのタイプがあります。

  1. 反応型:個人的な価値観による批評
  2. 指示型:ソリューションはこうあるべきだという批評者自身の期待に沿ったデザインにするための批評
  3. 批判的思考(クリティカルシンキング):意見を聞いて正誤を判断するプロセスを踏んだ批評

本当に必要なのは3つ目のクリティカルシンキングです。デザインしているものをそれを作る目的と照らし合わせて検討することが、良い批評の鍵となるのです!

こうした批評によって共有の言語が確立され、チームでのコミュニケーションは円滑になります。

批評の中で述べられた情報や視点を活用し、デザインを修正して強化しようという心構えがなければ批評の効果は発揮されないことを心構えとして持っておきましょう。

また、批評はスキルであるため、繰り返し練習が必要です。コミュニケーション能力が向上してからではいつまで経っても始まらないため、まずメンバーの中に支援者や見方を見つけ、人と協力し、作業の成果や見解を安心して共有できるようにするための措置を講じるべきです。

 

批評はデザイナーのスキルや専門知識を評価するものではない

批評はデザインをより良くするためのものであり、それを作ったデザイナーのスキルや専門知識を評価しているものではないことを理解しておくことは重要です。

作っているものが定めた目標の実現に向かって進んでいるかどうかを分析するプロセスの一部なのです。もらったフィードバックをネガティブに受け取っていてはもったいないです。相手は自分のことを信頼していくれているからこそ、フィードバックしてくれています。

信頼と尊敬は良い批評に繋がるため、指摘してくれるのは相手が自分を尊敬し信頼してくれているからであることを心に留めておきましょう。

批評は何かを発展させ改良するために使う「分析ツール」なのです。批評の主たる利用価値はイテレーションの促進であるため、デザインのプロセスに積極的に組み込んでいきましょう!

どの方法で行う場合にも必要な注意点としては、スタートは少人数で行うこと、話す前に考えること、参加者は慎重に選ぶことです。

 

批評には行うのに望ましいタイミングがある

本書ではそれを「スイートスポット」としています。

最初のアイディアの段階では、デザイナー自身がまだそれについての理解が不十分で、きっと批評で質問されても「わかりません」としか答えられません。人に伝えられるくらい十分にアイディアを理解している必要があります。

そして、プロジェクトには期限が必ずあるので、せっかく良い批評の場を設けることができたとしても、期限ギリギリではそれを反映することは難しいです。そのため、人に伝えられる位そのプロジェクトについて理解しており、批評での議論を反映できる位期限に余裕がある期間こそが本書で明示している「スイートスポット」です。

『みんなではじめるデザイン批評』図4-4

私はこのスイートスポットを自分で狭めてしまっていることが多いと実感しました。「この段階でフィードバックを求めても良いのだろうか…」「もっと自分で検討してからの方が…」とやっていると、どんどんスイートスポットが短くなります…。

プロダクトについて理解が進んだら、自分でずっとボールを持ち続けるのではなく、チームでキャッチボールしましょう!

 

批評のファシリテーションをする際には、基本的な枠組みを構成する4つの質問がある

以下の4つの質問とともにアクティブリスニングをすることで、相手の批評についての自分の理解が正しいかを判断することができます。

  1. デザインの目的は何か?
  2. 目的に関連しているのはどの部分か?
  3. そうした要素は目的を達成するのに効果的か?
  4. それはなぜか?

また、ファシリテーションとして「ラウンドロビン」「6つの帽子の思考法」など様々なツールやテクニックについても簡単に触れています。こうしたツールやテクニックを積極的に取り入れてみる。たとえ失敗したとしても結果どうなったかを分析し、調整を加えて、その後再び挑戦することが大切なのです!

 

扱いにくい人や、厄介な状況にはどう対処するか?

これについては、チームはスキルやバックグラウンドなど違った様々な人で成り立っていることを前提として取り組むべきと本書で書かれています。

多様性はクリエイティブな協働にとって重要な要素であり、違いが見られることは幅広い可能性からインスピレーションを得られるということ。つまり、解決しようとしている問題の革新的な新しいソリューションを見出すチャンスが広がるのです!そう捉えるとワクワクしますね!

ただし、人をまとめるためには多様性によって生じる問題を知り、それに対処できる準備をしておく必要があります。

結局会話や準備にどれだけ労力をかけようと物事が計画通りにいかない状況は発生するため、重要なのはそういった状況がいつどこで起きているのかを特定し、原因を明らかにして、相手が何を伝えようとしているのか理解する努力をすることなのです。

 

心構えが批評の土台をなす

批評は、批判的思考によってデザインをその目的に照らして分析するフィードバックの一つの形です。

うまく活用すれば、デザインしている製品について共通の言語を構築することができるし、コミュニケーションや協働、そして合意が実現しやすくなるそれに伴って製品のイテレーションの効果も高まります。

ただし、フィードバックの理解はスタートに過ぎません。その理解の先で『プロジェクトにおける最適・最良のデザイン』を見出していくのです。

チーム内のフィードバックにとって最善のアプローチを理解しようとするとき、重要なのは心構えが批評の土台をなすということです!

 

感想

デザインについて語れることはデザイナーの必須スキルであることは、デザイナーを志してから何度も何度も痛感したことです。

私自身、批評とは何か?何のために求めるのか?そのために何を伝える必要があるのか?など、明確に理解しきれていなかった部分があったと感じました。

本書には「その人が何を言っているのか理解しようと努めることには価値がある」という一文があります。

理解できるまで、理解しようとする努力をするということを改めて意識しようと思いました。

もらったフィードバックを活かすには、相手の言っていることを自分が本当に理解できているのかを知る必要があります。そのためにアクティブリスニングを実践します。受けたフィードバックを自分の言葉に言い換えて、こういうことで合ってますか?と確認することです。より理解が深まる上に、相手の言葉を「正確に」理解できているのか確かめられます。

 

「みんなではじめるデザイン批評」を読み、仕事上で欠かすことのできないプロセスの一部である批評についての理解を深めることができました。これはデザイン業務だけでなく、全ての仕事に通じるものなので、今後意識して取り入れていきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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