書評「超・箇条書き」で超・わかりすい情報整理スキルを身につける
ちゃだいん(@chazuke4649)です。
「超・箇条書き」という本の所感をまとめたいと思います。
なぜ箇条書き?
現代のビジネスパーソン、また私のようなITエンジニアは日々膨大な情報量と対峙しやりあっています。限られた時間の中で、できるだけ多くの情報を処理したり、多くの知識を得たり、多くの判断を下しています。このような状況下で効率的に情報処理を行いたい場合、普段の業務の中で自然と箇条書きを多用している現状に気づきました。自分は箇条書きが大好きで、Slackでの同僚とのちょっとしたやりとりでも平然と使ってしまいます。今回自分のそのクセの謎に真っ当から回答してくれる本に出会えたので、ダイジェストで紹介したいと思います。
なぜ箇条書き?の要点
- 情報過多時代。みんな忙しいし、時間がない
- ダラダラ長い文章は相手に情報処理の負荷を強いている
- 最短で最良を目指すなら、箇条書き
- あらゆる目的で使える
- プレゼンや本の要約として
- タスクリスト、手順書として
- ロジックの整理として
- あらゆる媒体で使える
- メール、チャット
- プレゼン資料、企画書
- 議事メモ、ブログ
サマリー
- 構造化して、相手が全体像がスッと理解できるようにする
- 物語化して、相手が関心をもって最後まで読み切れるようにする
- メッセージ化して、相手がアクション・リアクションを起こしやすくする
構造化
- 「自動詞・他動詞」を使い分ける
- 「直列・並列」を使い分ける
- ガバニングを活用する
物語化
- イントロで関心を掴む
- アンサーファーストは万能ではない
- MECE崩しで山場をつくる
- 固有名詞で具体的・明確に
メッセージ化
- 「言うまでもないこと」は言わない
- 「否定」で退路を断つ
- AでなくB、AからB
- ソニーの開発18カ条
- 「数字」で彩度を上げる
- 企業のビジョンには2つの数字が欠かせない
特に良いと思った点
個人的に特に良かったと思う部分を紹介します。上記一覧の中で太字にしている箇所になります。
構造化
箇条書きで文章を整理する上で、この「構造化」の章が一番基本であり学びが多いです。
ここに書かれていることを実践すると、以下書籍にも登場する例文のように劇的に理解しやすくなります。
構造化前(ミーティング内容のダメな報告文)
- 営業の人員が足りてない
- 手強い競合商品があるため苦戦している
- コールセンターでの問い合わせ対応のトレーニングが間に合わない
- 営業部で期間限定のスタッフが増える
- それ以外のことは、営業部が経営会議に報告して打ち手を仰ぐ
構造化後(ミーティング内容のよい報告文)
- 3つの問題点が議論された
- 営業の人員が足りていない
- 手強い競合商品があるため苦戦している
- コールセンターの問い合わせ対応のトレーニングが間に合わない
- 2つの対応が決まった
- マーケティング部が営業部に期間限定でスタッフを貸し出す
- それ以外のことは、営業部が経営会議に報告して打ち手を仰ぐ
いかがでしょうか?
修正前はただの箇条書きでわかりにくいんですが、修正後はミーティングの要点がよくわかります。
具体的なテクニックに入る前に、「構造化」の要件は以下2つになります。
- レベル感を整える
- 似ているものをグルーピングする
これを満たすために3つのテクニックが紹介されています。
「自動詞と他動詞」を使い分ける
- 自動詞の特徴
- 「状態や現象」を伝えるのに適している
- 「行為」で使うと、主語があいまいになる
- 例:コップが割れた
- 他動詞の特徴
- 「行為」を伝えるのに適している
- 例:私がコップを割った
- 主語が明確になる
ここの例として「責任の曖昧性と自動詞」について取り上げられているのが興味深かいものでした。いわゆる子どもがたまに「コップが割れた」と親に報告するが、場合によっては子どもがコップを割った可能性が高いです。コップは勝手に割れないので。ではなぜコップが割れたと言うのかというと、責任をあいまいにしたいからですよね。余談ですが「僕がコップを割りました」と報告しにくる幼い子どもがいたとしたら、なかなか責任感のある子どもと言えそうです。
これら表現は我々大人の議事録にも散見されます。理由は子どもと同じ「責任をあいまいにしたいから」です。わかりやすい文章にするには、できるだけあいまいな表現は回避した方が良いでしょう。
「直列と並列」で時間軸を整える
- 直列型の特徴
- 直列つながりには、時間が流れている
- 違う時間軸(過去-現在-未来や、当初-今回-次回、1回目-2回目-3回目etc)の事柄は直列型でグルーピングする
- 例:先述の事例の報告文の以下は直列の関係(前後がある)
- 3つの問題が議論された
- 2つの対応が決まった
- 並列型の特徴
- 並列のつながりには、時間が流れていない
- 同じ時間軸の事柄は並列型でグルーピングする
- 例:先述の事例の報告文の以下は並列の関係(全て現状の課題という意味で同じ時間軸)
- 営業の人員が足りていない
- 手強い競合商品があるため苦戦している
- コールセンターの問い合わせ対応のトレーニングが間に合わない
上記のように、時間軸や時系列をグルーピングするだけで、話の流れが理解しやすくなり、情報処理の負荷がグッと下がります。
ガバニングを活用する
ガバニングとは、外資系コンサル用語で「頭出しのまとめ」のことのようです。いわゆる「今回お伝えしたいことを3つあります。」など数を宣言するやつです。 こちらも先述の事例の報告文を見ると、「3つの問題が議論された」と「2つの対応が決まった」と宣言するだけで、かなり読みやすくなります。
アンサーファーストは万能ではない
この話は2つ目の章「物語化」で登場しますが、その名の通り、結論を最初に伝えることは常に良いとは限りません、という話です。端的に内容を知りたい場合は、結論を先に言うことが定石とされていますが、これはあくまで「背景や経緯を理解している人向け」です。「背景や経緯を理解していない人向け」に突然結論を伝えても、頭にハテナが浮かび思考が止まってしまうので、その場合まずは背景や経緯などから順を追って説明すべきというものです。これは確かに、自分はブログを書きますが、その時にも考慮すべき点だなぁと思いました。
「否定」で退路を断つ(AでなくB/AよりもB/AからB)
物事を明確にしっかりと伝えるために、否定文を用いることはよくあります。その中のテクニックとして、「AでなくB」と「AからB」という方法があります。
AでなくB
「AでなくB」は強めの表現で、そうでない方を明示的に否定することによってそうである方を際立たせています。単なる「私はソバが好きです」よりも「私はうどんではなく、ソバが好きです」と言えば確実に「あぁ、この人は完全にソバ派なんだなぁ」と理解できます。(ちょっと例が微妙ですがあえてこのままいきましょう)
AよりもB/AからBへ
「AよりもB/AからBへ」はもう少しマイルドな表現です。Aを明確に否定するわけではないが、Aは過去のものとしてBを目指している姿がうかがえます。例として「うどんよりソバですね」と言われれば、「どちらかというとソバ派なんだなぁ」と理解できます。
おまけ)SONYの開発18カ条
ちなみにこれら否定などを上手に使った箇条書きとして、SONYの開発18カ条が紹介されています。なるほどわかりやすいとなるのでぜひ読んでみてください。
SONYの『開発18か条』が心に響いた。 | 株式会社オンズ
企業のビジョンには2つの数字が欠かせない
これは3つ目の章「メッセージ化」で紹介される話ですが、そもそも数字を有効活用することで物事を明確に伝えらえるとこの本では言われています。その中で、企業のビジョンにも同様の傾向があることがわかりました。
この2つの数字とは「何を」「いつまで」です。以下が例です。
- 伝わりづらいビジョン
- グローバルに事業を拡大する
- 伝わりやすいビジョン
- 2030年までに30か国で事業展開する
- 5年後にはグローバルで業界No.1になる
企業のビジョンでよく見る気がしますね。企業のビジョンに限らず、個人やチームの目標でも有効な手法かと思います。
終わりに
気になった方はぜひ本読んでみてくださいね。箇条書き、上手に使っていきましょう!
それではこの辺で。ちゃだいん(@chazuke4649)でした。