ここ一年のCCoEとしてのAWSコスト最適化を振り返る #devio2025

ここ一年のCCoEとしてのAWSコスト最適化を振り返る #devio2025

2025.09.03

2025/09/03に開催された DevelopersIO 2025 Osaka #devio2025 にて、 「 ここ一年のCCoEとしてのAWSコスト最適化を振り返る 」 というタイトルで登壇しました。

聴講いただいた皆様、ありがとうございました!
本ブログでセッションスライド、およびその内容を記載します。

セッションスライド

以降は上記スライドのテキストです。

注意事項

  • あくまで1例 あり、道半ばです
  • コスト "可視化" の話が多めです

sc-2025-09-02_10-22198
画像引用: クラウド財務管理はコスト削減以上のメリットをもたらす | Amazon Web Services ブログ

前提や背景

前提1: AWS環境について

  • AWS Organizations 環境
  • AWSアカウント数: 40以上
  • 複数の利用部門/システムが存在

前提2: CCoEと私のポジション

  • CCoEの技術メンバー として活動
  • 全AWSアカウントの統制(ベースライン)
  • 各利用部門とのコミュニケーション

※CCoE(Cloud Center of Excellence): クラウド利用を標準化・統制する専門チーム

活動を本格化した背景

  • 円安の影響
  • 使用量の拡大
  • …など

AWSコスト最適化、どう進めたか?

まず参考にしたもの: CFMフレームワーク

sc-2025-08-28_14-5708
画像引用: Cloud Financial Management ~AWSコストの可視化・最適化・予測・FinOps~ / Cloud Financial Management Overview - Speaker Deck

おすすめ書籍

やること一覧を良い感じに把握できます。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-cost-optimization-guidebook/

とはいえ

  • やること、めっちゃ多いな… 🤔
  • どこから始めよう… 🤔

sc-2025-08-28_14-27781
引用: AWSコスト最適化ガイドブック - Amazon より、目次部分

とりあえず走り出してみた

  • CFMフレームワークを参考にしつつ
  • できるところから着手

1年走ってみて、こんな感じでした

▼ ステップ1, ステップ2

sc-2025-09-02_10-13719

ステップ1-2: 可視化と最適化をとにかく繰り返し

▼ ステップ1, ステップ2 + ステップ3

sc-2025-09-02_10-30143

  • ステップ1-2: 可視化と最適化をとにかく繰り返し
  • ステップ3: CFMを徐々に意識 ※まだまだ道半ば

ステップ1: とにかく可視化

40+アカウントの コストの全体像 を把握するところから開始

大方針: 情報を集約する

  • マルチアカウント環境の課題
    • 40+アカウントを個別に見回るのは限界がある
    • 横断的な把握が困難
  • AWS Organizations 管理アカウントの権限を活用して可能な限り集約

▼ 集約したい情報

  • 必須: 実際のコスト/使用量
  • 必須: リソースに関するメタデータ
  • できれば: コストに関する推奨事項

▼ 実際に使ったもの

  • 必須: 実際のコスト/使用量 → Cost Explorer
  • 必須: リソースに関するメタデータ → AWS Config , Resource Explorer
  • できれば: コストに関する推奨事項 → Compute Optimizer

(使わなかったものも後述)

AWS Cost Explorer

  • AWSが提供するコスト可視化・分析の標準ツール
  • Organizations管理アカウントからメンバーアカウントのコストを一元的に確認可能

sc-2025-09-01_15-10253

▼ コスト可視化の(個人的) MUST項目

以下項目でフィルタ/グループ化ができること!

  • AWSアカウントごと
  • AWSサービスごと
  • 使用タイプごと
  • リソースごと

▼ 項目ごとに気付けることの例

項目 気付けることの例
AWSアカウント XXX-PRDアカウント でコストになっている
AWSサービス CloudWatch でコストになっている
使用タイプ ロググループ取り込み料金 でコストになっている
リソース hoge-app-log ロググループ でコストになっている → hoge担当メンバーに聞いてみよう

AWS Config / Resource Explorer

目的: 対象リソースのメタデータ(タグ情報や関連リソース)を素早く把握

  • AWS Config: リソースの設定情報と変更履歴を記録するサービス
  • Resource Explorer: リソースを横断的に検索できるサービス(無料)

sc-2025-09-01_15-7833
画像: AWS入門ブログリレー2024〜AWS Config編〜 | DevelopersIO

AWS Compute Optimizer

  • パフォーマンスとコスト最適化のための推奨事項を生成するツール
  • 基本的に無料 + Organizations連携で一元管理も可能

sc-2025-09-01_15-16988

使用しなかったツールたち

  • AWS CUR (Cost and Usage Reports)
    • 列数・ボリュームが多く、Athenaでのクエリのハードルが高い
    • 初期ではCost Explorerで十分だったので後回し
  • コスト配分タグの整備
    • 直接コスト削減に繋がらないので後回し
  • Cost Optimization Hub
    • これ自体が新規の推奨事項を生成するわけではないので後回し

ステップ2: とにかく最適化

大方針: 泥臭く進める

  • 最適化 = 利用部門とのコミュニケーションが8割
    • コミュニケーションをスムーズに進めるための材料(=可視化)はちゃんと準備しておく
  • 泥臭く!
    • 地道に1つ1つ積み重ねる

やったこと一覧

  • CloudWatch ロググループ取り込み量の削減 (抜粋)
  • CloudWatch GetMetricData 使用量の最適化
  • 不要なEIP解放
  • 不要なEBS/DBスナップショット削除
  • EC2リサイズ
  • S3ライフサイクルルール最適化
  • VPCエンドポイント配置
  • Config記録の最適化
  • Security Hub コントロール最適化

CloudWatch ロググループ最適化

可視化で分かったこと:

  • APN1-DataProcessing-Bytes がCloudWatchコストの 7割を占めていた
  • そのうち 上位10リソースだけで全体の8割 を占めていた

※ APN1-DataProcessing-Bytes: 東京リージョンでのCloudWatch Logs ロググループ取り込み料金

▼ やったこと

  • CCoE内部
    • CCoE管理のCloudWatch Logsリソースを最適化
  • 利用部門向け
    • ログ保管のガイドライン作成
    • 横断的にロググループ最適化を提案

↳ CCoE管理のCloudWatch Logsリソースを最適化

aws-controltower/CloudTrailLogs ロググループ出力を オプトアウトしてコスト削減。

https://dev.classmethod.jp/articles/opt-out-aws-control-tower-cloudtrail/

↳ ログ保管のガイドライン作成

簡易的なガイドラインを作成して利用部門に周知。

sc-2025-09-02_07-20528

↳ 横断的にロググループ最適化を提案

実際にやっていただいたことの一例:

  • 最適化
    • ログ出力のレベルを WARN 以上に変更
    • リクエストに含まれる「デカいヘッダ」をログ出力しない
  • 停止
    • 普段監視で使っていない RDS全般ログ(general)の出力を停止
    • 長期保存/分析用途のみなので、S3出力のみに変更

ステップ3: CFMを意識した活動

※まだまだ道半ばなので言えることは少ない

ステップ1-2 のサイクルを回しながら CFMを徐々に意識

sc-2025-08-28_14-5708
画像引用: Cloud Financial Management ~AWSコストの可視化・最適化・予測・FinOps~ / Cloud Financial Management Overview - Speaker Deck

おすすめ書籍(再掲)

やること一覧を良い感じに把握できます。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-cost-optimization-guidebook/

抜粋: より進んだ可視化

CUR(Cost and Usage Reports) 活用

一番のモチベーションは 「RI/SP適用状況の把握 + 購入計画の効率化」 。 他のAWS機能では制約が多かった。

  • Cost Explorer : リソースレベル分析は 過去14日分まで
  • RI/SP推奨事項: 最大 過去60日 まで
  • RI/SPカバレッジ・使用状況レポート: リソースレベルで見れない

↳ CUR導入後にやったこと

  • RDS RI適用状況のリソースレベル把握
  • SP適用状況(EC2/Fargate)把握するためのQuickSightダッシュボード作成
  • Cloud Intelligence Dashboard (AWS Solution) の展開

↳ Cloud Intelligence Dashboard (CID)

詳しくは以下ご覧ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-cloud-intelligence-dashboards-with-cur-2-0/

コスト配分タグ付与

  • 目的: プロジェクトが混在したAWSアカウントのコスト可視化
  • 泥臭くタグ付けして、カバレッジを向上
    • → コストの9割をプロジェクト別に可視化できるように

https://dev.classmethod.jp/articles/add-cmbillinggroup-tag-to-cost-resources/

おわりにむけて

特に伝えたかったところを再掲

可視化で大事だと思ったこと

  • 情報を集約 する
  • 以下コスト項目をサクッと見られるようにする
    • AWSアカウントごと
    • AWSサービスごと
    • 使用タイプごと
    • リソースごと

最適化で大事だと思ったこと

  • 泥臭く 、着実に進める
  • 最適化は利用部門とのコミュニケーションが8割

おわり

  • 1年ほどコスト最適化に注力しました
  • 利用部門の積極的な協力と、チームメンバーの推進があって成り立っています
    • 特に同僚K.Yさんには着実にコスト可視化/最適化を進めていただきました (ありがとうございます!)

参考

この記事をシェアする

facebookのロゴhatenaのロゴtwitterのロゴ

© Classmethod, Inc. All rights reserved.