
【セッションレポート】Perforce P4とAIをつなぐ—エンジニアもデザイナーも使えるAI連携機能の今とこれから— #CEDEC2026
はじめに
CEDEC2026 で聴講した、Perforce P4 と AI 連携機能をテーマとしたセッションのレポートです。
AI ツールを使った開発が当たり前になる中で、バージョン管理と AI をどうつなぐかが課題になっています。あるいは、アーティストやデザイナーであれば、膨大なアセットから目的のファイルを探し出せないという悩みもあります。本セッションでは、そうした課題に応える P4 製品群の最新機能が、4 つのテーマを通じて解説されました。
セッションの概要は次の通りです。
- タイトル: Perforce P4とAIをつなぐ—エンジニアもデザイナーも使えるAI連携機能の今とこれから—
- 登壇者: 今 友樹 氏 (株式会社東陽テクニカ ソフトウェア・ソリューション部)
- 日時: 2026 年 7 月 22 日 13:40 から 14:40
- 会場: 第 12 会場

Perforce P4 の基本的な特徴
Perforce P4 は、ソースコードだけでなく 3D モデルやテクスチャ、サウンドといった大容量バイナリファイルまでを一元管理できるバージョン管理システムです。集中型の構成で、最新のファイルが 1 つのリポジトリに集約されます。数百 GB から数千 TB の大規模リポジトリを扱え、数千人規模の同時アクセスにも耐えるスケーラブルな設計です。
データ転送はマルチスレッドの並列処理で高速化されており、距離が長いネットワークや帯域幅の狭いネットワークほど効果を発揮します。大容量バイナリファイルについては、変更差分だけを送るデルタ転送も紹介されました。ブランチ管理にはストリームという機能があり、親子関係を階層化して安全なマージ順序を示します。属人化を避ける用途にも使えるとのことでした。
クライアントツールは役割ごとに分かれています。一般操作用の P4V に加え、アーティストやデザイナー向けの P4 One では、ローカルにリポジトリを持つことで Git に近い操作感が得られます。Visual Studio Code 向けの拡張機能もあり、GUI を切り替えずに Sync や Submit などの基本操作を行えます。

Perforce P4 と AI をつなぐ 3 つの機能
生成 AI はゲーム開発の現場に急速に浸透しています。セッションでは、国内ゲーム開発企業を対象とした調査で回答者の 77% が生成 AI を利用しているというデータも示されました。AI が日常的に使われる現場で、ソースコードやアセットといった開発資産と AI をどう安全につなぐかが課題になります。P4 はこの課題に対し、3 つの機能を提供します。
1 つ目は P4 MCP Server です。MCP (Model Context Protocol) に対応したサーバーで、AI エージェントから P4 の開発資産へ自然言語で直接アクセスできます。誰がいつ何を変更したかを P4V を開かずに AI へ質問したり、マージのコンフリクト解決を AI にガイドさせたりできます。read-only モードや権限のミドルウェアを標準装備しており、チームで確立済みの P4 権限をそのまま踏襲します。
2 つ目は P4 Code Review です。ソースコードを P4 サーバーへコミットする前にレビューを依頼できるプリコミットモデルを備え、承認前の変更はコミットをブロックできます。ここに AI を組み合わせると、変更内容や差分をもとに、チームで定義したチェックリストの各項目を AI が確認します。命名規約に沿っているか、例外処理はあるかといった観点を自動で点検し、レビュー担当者は判断が必要な箇所に集中できます。利用する AI モデルは Claude や Gemini、OpenAI に加え、ローカル LLM や社内モデルも選べます。AI 機能はデフォルトで無効になっており、ソースコードを外部に送信できないセキュリティ要件でも、オンプレミスのモデルで AI レビューを実現できます。
3 つ目は P4 DAM です。DAM は Digital Asset Management の略で、アセットをブラウザ上でプレビューしながら一元管理できます。ここに AI を組み合わせると、アップロードするだけでアセットの内容を AI が解析し、タグを自動生成します。命名規則に頼らず、白い鎧や森の背景といった内容ベースの検索が可能になります。過去タイトルのコスチュームや武器を即座に見つけられるため、続編やリマスターでの資産再利用にも役立ちます。

Perforce P4 の最新機能
セッションの後半では、大規模開発を手軽に扱い、外部ツールとつなげるための 2 つの新機能が紹介されました。
1 つ目は スパースストリーム です。P4 のストリームは、ブランチの親子関係を視覚的に管理する機能ですが、巨大なストリームでは分岐のたびにファイル数分のメタデータが作られます。スパースストリームは、作成時にはデータベースのみを複製し、実ファイルはサブミット時に実体化する方式です。これにより、数百万ファイル規模の Unreal プロジェクトでも 1 分未満でブランチを作成できます。リリース済みタイトルの緊急修正や、機能ごとの細かいブランチ運用を、コストを気にせず実践できます。
2 つ目は P4 REST API です。Web 経由で P4 サーバーを操作できる新しい API で、内蔵の Web サーバー上で動作します。言語や OS を問わず HTTP で呼び出せるため、CI/CD パイプラインとの連携や、社内ダッシュボードの構築、チャットボットからのチェンジリスト照会などに応用できます。ただし 2025.2 リリースで導入された Technology Preview の段階であり、今後挙動が変わる可能性がある点には注意が必要です。

感想
セッションを通じて、AI エージェントがもう一人の開発メンバーになりつつあると感じました。大量のコードとバイナリアセットを、権限や履歴、ガバナンスを保ったまま AI につなげる基盤が求められているのだと思います。




