殿堂入り記事

社長として最低限のテレワーク環境を整えてみた

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

1月末から全社員を対象に原則テレワークを開始

皆さんこんにちはー! 現在クラスメソッドでは、世界5カ国(日本、カナダ、ドイツ、韓国、インド)、国内18フロアに勤務する約500名の社員の99%が毎日テレワークをしています。そうです、いきなり非日常が来てしまい、そしてそれが日常として定着してしまいました。これは、クラウドの世界の均衡を保つ為に暗躍する超人秘密結社「クラメソ」の知られざる活動の記録である。(ここでUNION SQUARE GARDENの曲が流れる)

社長業とはすなわち意志(WILL)の発信である

私はしがない零細企業の工場長として16年目の社長をしておりますが、創業時から大事にしていることは、「お前は何を考えて何をして何を成すんだ」という意志を言葉にして周囲に伝えることでした。もともとシャイなエンジニアでしたので、カフェとか居酒屋とか休憩室とかでの対面のコミュニケーションや、3ヶ月毎全社員が集まって報告会をするとか、会議室に集まって長時間MTGするとか、従来型のオフラインのコミュニケーションを通じてどうにか意志を発信していました。しかし、会社が大きくなり、社員が増えていく中で、この大事だけど高コストな方法が回らなくなってきていました。マネージャーを立てて権限の移譲が出来ても、コミュニケーションを全て移譲してしまっては全員が同じ方向に進めなかったのです。こんな悩みの日々の中、ある日突然の在宅勤務命令をしました。いきなり全ての環境を変えたのは、CEOでもCTOでもなく、ウィルスという環境の変化でした。

私は今配信主として、ラジオDJのようにリスナーとなる社員に語りかけることで、意志の共有と確認をしようとしています。そして、社員からのフィードバックをおハガキという名のチャットを受け付け、不安や不満や不足を吸い上げて、おハガキの音読と回答という形で問題を共有し、改善しようと取り組んでいます。

さて、めんどくさいポエムはこのぐらいにしまして、本記事では、多くの社員に意志を発信&配信する環境についてご紹介したいと思います。

良質な音声環境

テレワークを通じてリモートとのコミュニケーションで最も重要な要素は「音声」です。声が小さくて聞こえづらいとか、雑音が入って聞き取りにくいなどがありますと、話の中身に全く集中できません。そこで、まず始めに音声環境を整えましょう。

Apple Air Pods Pro

テレワークを自宅ではなく、カフェとか公園でする場合、Air Pods Proは、イヤホンとしてもマイクとしても十分にワークします。

marantz MPM-1000U / MPM-1000

自宅で会議するときにオススメなのが、コンデンサマイクです。ボーカル気分でテンションが爆上がりします。このMPM-1000Uは、USB接続できますので、パソコンへの接続も簡単です。ここで、だんだん沼にハマり始めます。音声にエフェクトを掛けたり、パソコンの音楽とミックスしたくなってきます。そして、見つけたのがAG03でした。

YAMAHA AG-03

YAMAHA AG03は、XLR端子のコンデンサマイクを入力として、エフェクトやパソコン音声のループバック、つまみによる各種調整などができるミキサーです。ヘッドセット端子もありますので、相手に伝わっている音量も簡単に把握することができます。 ここでは、USBに直接接続できるMPM-1000Uから、XLR端子のMPM-1000に乗り換えました。変換できなかったので買い直しですw。

QonPET WBK-02

テレワーク中にビデオ会議していると、どうしても気になるのが自分の声が家中に響き渡ることです。納戸などを即席の仕事部屋として使っている方も多いかなと思います。そこで、自分の声が響き渡らないように吸音材を購入して壁に貼りました。厚みと面積が重要なポイントなようです。カインズの資材館で買い増した。

良質な映像環境

音声環境が整いましたら、次は魅力的な映像を配信したくなります。そこで登場するのが、ATEM Miniとなります。

Blackmagic Design ATEM mini

今までほしかったのはまさにコレや!と思わせる一品です。そこそこ沼にハマり始めています。ATEM Miniは、4系統のHDMI映像と2系統の音声を入力として、HDMI出力やパソコンのカメラ映像としてUSB出力することができます。また、ワイプ映像のようなPicture in Picture機能や、グリーンバックスクリーンによる合成など、今すぐYoutuberにもなれます。

グリーンバック

ATEM miniでグリーンバック合成を作るにあたって、背景をグリーン等にする必要があります。今回は、簡易的に壁に取り付けられる布を買いました。ツヤツヤしていてシワになりにくいもので良かったです。

Apple iPhone 11 Pro

最近のiPhoneはすごくキレイに撮れます。Lightning端子からHDMIに変換するケーブルを用いることで、ATEM Miniにそのまま映像をインプットできます。

Canon EOS M100

こちらは未だ買っていませんが、配信主をやっている社員から教えてもらいました。お求めやすく良い感じの映像が取れるということです。

良質なアクション環境

音声と映像の環境が整いました。これでも十分に意志を伝えられる環境になったと思いますが、リスナーとのコミュニケーションはスムーズなライブ体験にあると思っています。そこで、ボタンを押すとアクションを実行する機器を手に入れました。

Elgato Stream Deck

Stream Deckは、ボタンひとつで指定されたアクションを実行するショートカットを登録することができる機器です。ボタン毎にLEDスクリーンがあり、パソコンを一切見ずにコマンドを実行することができます。例えば、オープニングソングを流したり、リスナーからのナイスなコメントがあったときに効果音を流したりできます。15ボタンを買いました。

良質な作業スペース

これまでガジェットが増えてきますと、机の上の作業スペースの確保が困難になります。そこで登場するのがアームです。

エルゴトロン LX

以前から1台は欲しいと思っていたアームを手に入れました。モニターは寿命がありますが、このアームは一生モノの買い物です。つまみを調節することでゼロ・グラビティな位置操作を実現できます。モニター以外にも、ノートPCを載せることも可能です。とにかく机をきれいにスッキリと使いたかったので、マイクやLEDライトもアームタイプとしました。

良質な姿勢

毎日長時間同じ格好で座っていると健康を害しますので、座り心地のよい椅子が必須です。とっておきを社員から教えてもらいました。

GTRACING ゲーミングチェア

この椅子は、ゲームを本業としている社員から教えてもらった一品です。長時間座っていても疲れないそうです。まだ自宅に届いていませんが到着がとても楽しみですね。

追記。届きました!実際に1週間使ってみての感想は、「ゲーマーのことをよく考えているな」でした。まず素晴らしいのが、背もたれがフラットに倒れます。そのまま寝れますw。次に、集中して前のめりになったときに前に少し傾きます。最後に、腰と頭にあるクッションが腰や首の疲れを軽減してくれます。高級オフィスチェアとはひと味違った、椅子に座ったまま1日を過ごすために考えられた良い椅子でした。

良質な顔色

オンライン会議をしていていつも気を付けているのは、ノンバーバル(非言語)な情報のほうが伝わるという点です。健康的な顔色で、身振り手振りのオーバーリアクションを心かげるようにしています。

Neewer RP16

リングライトを選ぶにあたって気をつけたポイントは、簡単に操作ができて、調光と調色ができることでした。また、リング内にスマホやデジカメを設置できるものを選びました。これで女優になれますし、3割増しで健康に見えます。

良質な遊び心

音声と映像とアクションの環境を整えることができました。あともう少しで小室哲哉になれるんじゃないかと想像しますと足りないものがあります。そうです、キーボードです。

AWS DeepComposer

私はピアノを引くことができませんが、このDeep Composerを使えば、強化学習によって様々な音楽を奏でることができます。そして何よりも、私のデスクトップにキーボードがあることで、クリエイターとしてテンションが爆上がります。

良質な計算環境

社長の仕事として皮算用は非常に重要です。パソコンの画面内の電卓ではなく、物理の電卓がおすすめです。

CASIO DF-120VG-N

安定のCASIO製です。電卓はデカければデカイほど良いです。

良質な時間感覚

CASIO IQ-88-7JF

1日中部屋にこもっていますと、昼夜が逆転したりして、時間間隔が失われていきます。気がついたら夕方だったということもありませんでしょうか。そこで、目の前に大きなアナログ時計を置いて、現在時刻や作業経過を把握できるようにします。デカければデカイほどよいです。また、カチカチ秒針の音がしないので集中が続きます。

良質な配信環境

最近は、週1回300人以上の社員がZoomに入ってくれてライブ配信を行っていますが、双方向の音声コミュニケーションに特化していると思いますので、バックグラウンドで音楽を流したり、超高画質な映像を流すのには向いていないかもしれません。そこで、Youtubeの登場です。Youtubeでは、撮影済みの映像をアップロードすることもできますし、ライブ映像として、ATEM Miniの映像やAG03の音声を直接配信することもできます。

また、OBS StudioやAdobe Premire Proなどを使って、複数ソースの映像を繋げたり、画面にテロップを入れたりすることで、より本格的な番組作りができるかと思います。

良質な回線

IPv6 IPoE

どんなに豪華な機材を揃えても配信する回線が混んでいては通信がうまく届きません。そこで、インターネット回線周りを調整しました。テレワークになる前からフレッツ光回線でしたが、テレワークをきっかけにして、新規にルータを購入して、IPv6の設定を有効にして、プロバイダーとルーターの双方でIPoE方式の設定をしました。また、ルーターとパソコンは数メートルしか離れていませんが、最も安定した通信をするために有線LANで接続しています。

これらの設定をする前と後では、ブラウジングの体感が全く異なりますし、NetflixやYoutubeの再生開始もとても早いです。あれ、仕事に関係ないw、いえいえ、リスナーに良い映像を届けるための準備です。

良質な香り

Sawaday香るスティック

1日中部屋にこもって仕事をしていますと、トイレから部屋に戻ったとき、あまりのオジサン臭さにげんなりします。そこで、上品な香りをデプロイしてリラックスしましょう。

やってみた反応はどうだったか

初回は普通の朝礼のような感じで配信しましたが、2回目から訓練を重ねましてラジオDJっぽくリスナーの皆さんにお届けすることができました。2ヶ月以上社員の誰にも会うことができない厳しい環境の今だからこそ、家にこもっていても楽しく仕事ができ、皆が繋がっている感を出せたらなと思っています。特に好評だったのは、AG03でエフェクトを使った音声の強調です。エフェクトを入れてオールナイトニッポンと言うと、ラジオ感がより演出できます。

毎回趣向を凝らして準備をして配信していますが、当初の目的であるトップからの意志の発信と、現場からの生の声を拾い上げて改善に繋げたいと思っています。

ただ、気をつけないといけないなと思っているのは、凝った演出を続けることで、本来の発信内容が薄くなったり、リスナーが飽きてしまって視聴率が減ってしまうことです。決して強制にはせず、聞きたいから集まるという環境を目指しています。

以上、社長として最低限のテレワーク環境を整えてみた、でした。

後日談

テレワークはじめて3ヶ月目に突入してしまいました。最初は社員からのクレームが結構あったのですが、とりあえず自宅に環境を整えて欲しくて全員に5万円を配り、それぞれが環境を整え、まぁ楽しむしかないかーぐらいの感じで続けた結果、これが日常になりました。そうです、社員の人数分入るオフィスは不要だったのです。そこで、3月末に勢い余って3フロア分を解約してしまいました。退去はもう少し先ですが、今までだったら様々なリスクを考えて行動できなかったことが、すぐに決断できてしまったのです。最悪のケースも考えつつも、何事もポジティブに考えて、アクションしてみると案外良い結果が生まれるのかなと。答え合わせは2年後ぐらいにやりましょう!

参考情報

Apple Air Pods Pro

marantz MPM-1000

YAMAHA AG03

QonPET WBK-02

Blackmagic Design ATEM mini

背景布 緑

Apple iPhone 11 Pro

Lightning - Digital AVアダプタ

Canon EOS M100

Elgato Stream Deck

LXデュアル デスク マウント アーム スタッキング

GTRACING ゲーミングチェア

Neewer RP16

Amazon DeepComposer

CASIO DF-120VG-N

CASIO IQ-88-7JF

SawadayカオスStick

OBS Studio

Adobe Premire Pro