
【非エンジニアのためのClaude/ClaudeCodeシリーズ】育てるAI秘書 ── 使うたびに賢くなる仕組みを作ってみた
1. 今回のテーマ
クラスメソッド アカウント営業部の本田です。
このシリーズでは、非エンジニアの方がClaudeを業務で使いこなすまでの流れを、実際の体験をもとにお伝えしています。
前回の記事では、毎朝の情報収集を自動でまとめてくれる「Morning Dashboard(AI秘書)」の作り方を紹介しました。
今回は、そのAI秘書を「使うたびに少しずつ賢くなる存在」に育てる話です。
2. 「動く秘書」から「育つ秘書」へ
AI秘書が毎朝動いてくれるのは便利です。でも使い続けるうちに、こんな気持ちが出てきました。
「この秘書、全然育っていないな」
人間の秘書なら、1ヶ月も一緒に仕事をすれば、こちらの好みや取引先の特徴を自然に覚えてくれます。「田中さんはメールを短めに」「B社の案件は毎週月曜に確認が必要」といったことを、いちいち説明しなくても動いてくれるようになる。
でもAI秘書は、毎回ゼロからのスタートでした。セッションが終わると記憶がリセットされる。同じことを何度も説明し直す。「ありませんでした」と言われた情報が、実は別の場所に記録されていた――そういうことが続いていました。
そこで考えたのが、「使うたびに少しずつ知識が積み上がる仕組み」 を作ることです。
3. きっかけは、たった一言の相談だった
「どう作ればいいか」と考えていたとき、ふと思いました。「Cowork自身に相談すればいいのでは?」
Coworkのチャット欄に、こう書いてみました。
「Coworkを成長させたい。使うたびに少しずつ賢くなっていく仕組みを、一緒に考えてほしい」
設計書も仕様書も、何もありません。ただそれだけです。
するとCoworkは、「どんな場面で不便を感じましたか?」「今はどんなふうに使っていますか?」と聞いてきました。私が答えるたびに「それなら〇〇という仕組みが作れます」「こういうルールを追加するとどうでしょう」と提案が出てきます。
30分ほどの「壁打ち」で、やるべきことの全体像がかたまりました。コードは一行も書いていません。Coworkと話しながら、Coworkが自分で設計・実装してくれました。
出てきたのは、大きく3つの仕組みです。
4. 仕組み①:「諦めない探し方」を教えた
何が変わったか
壁打ちの中でこういう会話になりました。
私:「『記録がない』と言われるけど、後で自分で探したら見つかることが多い」
Cowork:「1通りの方法で見つからないと諦めているかもしれません。探す方法を変えながら何度か試すルールを作りましょうか?」
人間でも、「さっきと違う検索ワードで調べたら出てきた」という経験は誰でもあるはずです。AI秘書にそれを教えていなかっただけでした。
具体的にどう変わったか
導入前と導入後の違いは、こんなイメージです。
仕組み①:探し方のBefore/After
(※ダミーデータです。実在する人物・情報ではありません。)

導入後は、1つの方法で見つからなければ別の表現で試す、それでもダメならさらに別の方法で、という手順を最大6通り試してから「見つかりませんでした」と報告するようになりました。
結果として、「ないと言われていた情報が実はあった」というケースが目に見えて減りました。AI秘書が「粘り強く探す」ことを覚えたのです。
5. 仕組み②:「仕事マニュアル(Skill)」を健康診断した
Skillとは何か
ClaudeのCoworkには、よく使う作業の手順をあらかじめ登録しておく機能があります。これが「Skill」です。たとえば「議事録を作って」の一言で、定型フォーマットの議事録を自動生成してくれます。
便利な機能ですが、放置していると問題が出てきます。私も使い続けるうちに、いつ作ったかも分からないSkillが増え、動作が遅くなっていたり、呼びかけても反応しなかったりするものが出てきていました。
Coworkに診断してもらった
壁打ちの中でCoworkが「全部のSkillを一度チェックしてみましょうか?」と提案してくれました。任せてみると、17個のSkillを自動で診断して、状態を整理してくれました。
仕組み②:Skillの健康診断レポート
(※ダミーデータです。実在する内容ではありません。)

診断の結果を見て、初めて「こんな状態だったのか」と分かりました。問題のあるSkillは順番に整理して、今は17個すべてが正常に動いています。
このような「定期的な棚卸し」をする習慣ができたことが、一番の収穫でした。Skillは作って終わりではなく、育てていくものなのだと気づきました。
6. 仕組み③:「引き出し(記憶)」を作った
この3つの中で、毎日の使い勝手に一番影響したのがこれです。
記憶がリセットされなくなった
Coworkはセッションをまたぐと記憶がリセットされます。でも工夫次第で解消できます。壁打ちの中でCoworkが教えてくれました。
Cowork:「セッション開始時に自動で読み込まれるメモファイルを作れば、引き継ぎメモを渡した秘書のように動けます」
その通りに、「AI秘書の引き出し」となるメモファイルを作りました。
使えば使うほど引き出しが増えていく
最初は「自分の名前と担当業務」だけだったメモが、使い続けるうちにどんどん充実していきます。
仕組み③:AI秘書の引き継ぎメモ
(※ダミーデータです。実在する人物・情報ではありません。)

今では、取引先の好みや過去のやり取りのメモ、繰り返しやってしまう失敗の教訓、よく使うツールの設定情報など、少しずつ「自分専用の知識」が蓄積されています。
新しいセッションを始めるたびに、AI秘書は「引き出し」を開いてから動き出します。前回の続きから自然につながる感覚があります。
7. 「Coworkを成長させたい」の一言から分かったこと
今回の取り組みを通じて感じたのは、「全部自分で設計しなくていい」 ということです。
「成長する仕組みって、どう作ればいいんだろう」と最初は途方に暮れていました。でも「Coworkを成長させたい」と伝えるだけで、Coworkが「今の課題は何ですか?」「どんな場面で困りますか?」と整理を手伝ってくれました。
私がやったのは、不満を正直に話して、提案に「それいい」「それは違う」と答えるだけ。プログラムの知識は一切使っていません。
AI秘書は、使い方によって「動かすだけの道具」にもなるし、「育てていけるパートナー」にもなります。どちらになるかは、少しの工夫次第です。
8. 自分でも試せるか?
「自分でもできる?」と思った方へ。
今回の仕組みはすべて、テキストファイルにルールや情報を書いておくだけで動きます。コードを書く必要はありません。
ゼロから設計するのが不安なら、まずCoworkに相談するのが一番早いです。
試してみるとしたら、まずここから
Coworkのチャット欄に、こう書いてみてください。
「私のことを覚えていてほしい。毎回説明しなくていいようにしたい」
これだけで、Coworkが「どんな情報を覚えておけばいいですか?」と聞いてきます。答えていくうちに、自分専用のメモファイルが出来上がります。次のセッションから、手応えが変わります。
9. 注意点
機密情報はメモに入れない
便利だからといって、取引先の個人名・契約内容・社外秘情報をメモファイルに書くのは避けてください。社内のセキュリティポリシーに沿った範囲で使うことが前提です。
「育てる」のは少しずつでいい
全部を一気に整備しようとすると大変です。気になったことがあれば、そのセッションで「これを覚えておいて」と一言添えるくらいのペースで十分です。積み重ねが大事です。
10. まとめ
| 仕組み | AI秘書が覚えたこと |
|---|---|
| 探し方のルール | 1回で諦めずに、方法を変えながら粘り強く探す |
| Skillの棚卸し | 自分の「仕事マニュアル」を定期的に点検・整理する |
| 引き出し(記憶) | 使うたびに知識が積み上がり、次回に活かす |
AI秘書は「最初から完璧」である必要はありません。使い続けることで少しずつ賢くなる――その成長の余地を残しておくことが、長く使い続けるコツだと思っています。
「Coworkを成長させたい」の一言から始まりました。あなたも、今日から始められます。








