
【非エンジニアのためのClaude/Claude Codeシリーズ】AIの設定でひとつだけいじる価値があったもの ── effortは「賢さ」ではなく「仕事量」のつまみだった
こんにちは。アカウント営業部でマネージャーをしている福島です。エンジニアではありません。メンバー6名のチームで、自分でも案件を持ちながらマネジメントをしています。
このシリーズでは、営業ツールをClaude Codeにつないだ話(MCP連携編)や、公式スキルを使わずに自分の業務向けの指示書を育てた話を書いてきました。今回は設定の話をひとつだけします。
effort(エフォート) という設定です。私はこれの意味を、恥ずかしながら最近まで知りませんでした。自分の設定ファイルを開いてみたら xhigh になっていて、「これは何のつまみなんだ」と調べたのが発端です。
調べてわかったのは、私がこれを完全に誤解していたということでした。そして誤解したまま使うと、私のような仕事の人はいちばん損をする設定でもありました。
effortとは何か
まず事実だけ。effort は最大5段階です。
low → medium → high → xhigh → max
Claude APIの既定値は high です。 公式ドキュメントには「high を指定するのは、この設定を省略するのとまったく同じ挙動」と書かれています。ただしClaude Codeの既定値はモデルによって異なり、Opus 4.7は xhigh です。
ただし一点注意があります。使える段階は使っているモデルによって違います。 xhigh は比較的あとから増えた段階なので、古いモデルには存在しません。Claude Code の場合は、使っているモデルの既定値に戻す auto という選択肢もあります。
もうひとつ紛らわしいのが、Claude Code の /effort に表示される ultracode です。これは6つ目の effort ではありません。モデルには xhigh を指定したうえで、Claude Code が仕事全体の進め方も組み立てる別の設定です。1回ごとの思考量を最大にする max と、xhigh に仕事全体の段取りを加える ultracode は、上下関係ではありません。
なので「自分がいまどれなのか」は、確認しないとわかりません。Claude Code なら /effort と打てば、今選べる段階と現在の設定が出ます(/effort medium のように直接指定することもできます)。
公式ドキュメントの定義はこうです。「思考の深さと、全体のトークン支出を制御する」(トークン=Claudeが考えたり、ツールを呼んだり、回答を書いたりするときに使う処理量の単位。ここではざっくり「作業量」と読み替えて構いません)。
ここを読み飛ばすと誤解します。私は前半の「思考の深さ」だけを見て、賢さのつまみだと思っていました。上げれば頭が良くなり、下げれば頭が悪くなる、と。大事なのは後半の「全体の」でした。
違いました。
誤解その1:賢さのつまみではなく、仕事量のつまみ
イメージとしては、部下に「ざっくりでいいよ」と言うのに近いです。
そう言われた人が、急に頭が悪くなるわけではありません。当たるソースを減らして、前置きを飛ばして、短くまとめて返してくる。頭の出来が入れ替わるのではなく、かける手間の量が変わる。
ただし、手間が減れば結果は落ちることがあります。公式も、低い effort は「トークンの節約と引き換えに賢さを譲るもの」だと説明していて、簡単な作業向けとされています。手を抜かせているのだから当然で、手抜きの結果として精度や網羅性が落ちる、という順番です。
実際、低い effort でClaudeがどう振る舞うかは、公式に明記されています。
- ツールの呼び出しが減り、まとめて実行されるようになる
- 前置きが減る
- 確認が短くなる
ここまでが公式の説明です。そのうえで私の仕事に翻訳すると、1つめは「当たる情報源が減る」ということになります。ここは私の解釈です。
つまり effort が変えているのは、どれだけ手を広げるかです。厳密なトークンの上限ではなく、振る舞いの傾きを一段ぶん動かすシグナルなので、低い effort でも本当に難しい問題ならちゃんと考えます。ただ、同じ問題を高い effort で解かせたときよりは、考える量も調べる量も減る。そういう関係です。
誤解その2:返事を短くしたいなら、effortは確実なつまみではない
これは公式にはっきり書かれていて、私も引っかかりかけました。
「Claudeの返事が長いから effort を下げよう」は、当てになりません。 effort を下げても、目に見える文章の長さは確実には短くなりません(内部で考える量が動いても、表示される文章の長さは別だからです)。短くしたいなら、プロンプトで「簡潔に答えて」と言うのが正解だと公式も案内しています。
私は前回の記事で「怒ったら指示書に1行足す」という話を書きましたが、長さの制御もまさにこれで、設定ではなく言葉でやる領域でした。
私の仕事には、なぜ直撃するのか
ここが自分にとっての本題です。
私がClaudeにやらせている仕事の多くは、どれだけ手広く当たったかが、そのまま成果物の質になるタイプです。
- 訪問前の顧客調査(顧客ごとの記録・顧客管理システム・基幹システム・メール・社内チャット・外部情報を横断する)
- 案件の攻め筋を考える(複数の情報源から仮説を立てる)
- 週次・月次の集計(見る場所に抜けがあると数字が狂う)
この種の仕事で「当たるソースが減る」というのは、成果物が薄くなることと同じです。文章が短くなるのではなく、調べ落としが増える。しかも厄介なのは、調べ落としは出てきた成果物を見ても気づけないことです。もっともらしい報告が短く返ってくるだけなので、「今日は静かだな」で終わってしまう。
逆に、毎朝の「今日の予定を出して」のように、見る場所が決まっている作業は手広さが要りません。ここは低くていい。
「AIの設定はよくわからないから触らない」で済ませていた私が、唯一いじる価値があったつまみはこれでした。
「途中で切る」と「手を抜かせる」は別物
もうひとつ、腑に落ちた話を書きます。
「AIに使わせる量を抑える」と一口に言っても、性質の違う2つがあります。部下への言い方に置き換えるとこうです。
- 「17時までに出して」(=出力の上限):時間が来たら途中でも終わり。しかもClaudeは自分の残り時間を知らされていないので、文章の途中でぷつんと切れます
- 「ざっくりでいいよ」(=effort):締め切りではなく、力の入れ方。切るのではなく、加減する
(このほかに「持ち時間を先に伝えて、自分でペース配分させる」やり方もありますが、これは自分でプログラムを書く人向けの機能なので触れません。)
なお昔は「考える量だけを直接数字で指定する」設定もありましたが、新しいモデルでは受け付けなくなりました。いまは effort で全体の力の入れ方を動かす、という設計に寄っています。
非エンジニアとして覚えておく価値があるのはここです。途中で切るのと、手を抜かせるのは別。前者は成果物が切れているので気づけますが、後者はきれいな形で薄くなるので、出てきたものを眺めるだけでは気づきにくい。
対策は難しくありません。私は調査を頼むとき「見るべき情報源を先に指定して、最後に実際に見たものを列挙させる」ようにしています。列挙が短ければ、手広さが落ちたと気づけます。
私の使い分け
公式の推奨と、自分の使い方を合わせるとこうなります(high が下限、という線引きは公式の基準ではなく私の運用です)。
| 段階 | 向いている仕事 |
|---|---|
low |
短くて決まりきった作業。速さが欲しいとき |
medium |
コストを抑えたいとき(賢さは少し譲る) |
high |
判断が要る仕事の下限(私の線引き) |
xhigh |
手広さ・自律性が要る仕事。コーディングやエージェント的な作業では公式もここを推奨 |
max |
正しさがコストより大事なとき。ただし考えすぎることもある |
私の設定は xhigh でした。いつ、なぜこの値にしたのかは覚えていません。営業の調査や資料づくりのように「手広さが質になる」仕事が中心なので、結果的には合っていました。ただ意味を分かって選んでいたわけではないというのが正直なところで、これを知らないまま「なんとなく重いから下げよう」とやっていたら、静かに劣化させていたはずです。
まとめ
- effort は最大5段階(
low/medium/high/xhigh/max)で、Claude APIの既定はhigh。ただし使える段階やClaude Codeの既定値はモデルによって違う - 賢さのつまみではなく、仕事量のつまみ。下げると当たるソースが減り、前置きが減り、確認が短くなる
- だから「手広く当たったかどうかが質になる仕事」には直撃する。逆に見る場所が決まった作業は低くていい
- 返事が長いから下げる、は当てにならない。 長さはプロンプトで言う
- 上限で切るのと、傾きを下げるのは別物。前者は気づけるが、後者は気づきにくい(対策=見たソースを列挙させる)
私と同じ非エンジニアで、「設定はよくわからないから触っていない」という方に、ひとつだけ見てほしいのがこれです。/effort と打つだけで確認できます。
参考にした一次情報
本記事の effort の仕様は、以下の公式ドキュメントを2026年7月25日に確認した内容です。公式ドキュメントは更新されるので、お読みになる時点で変わっている可能性があります。
- Effort(Claude公式ドキュメント) — 5段階の一覧、既定が
highであること、「全トークンに影響する」「厳密なトークン上限ではなく行動のシグナル」「低い effort ではツール呼び出しが減り、前置きが省かれ、確認が短くなる」「思考量は変わるが目に見える返答の長さは確実には短くならない(長さはプロンプトで指定する)」の記述はすべてこのページによります - Model configuration(Claude Code公式ドキュメント) — Claude Code 側のモデル・effort 設定について
- Choosing a Claude model and effort level in Claude Code(Anthropic公式ブログ) — 仕事の種類ごとの effort の選び方
なお「自分の設定が xhigh だった」という点は、私の手元の設定を確認した結果です(一般的な既定値ではありません)。










