
Claude DesktopでPerplexityとNotionのMCPサーバを使って、調査結果をNotionデータベースへの記録を自動化してみる
先日、Perplexityの公式MCPサーバについて紹介しました。
これと、Notionの公式MCPサーバを組み合わせると、Perplexityに調査してもらった結果を速攻でNotionにアップロードできるよなぁ、と思い試してみました。
こうした定期的な評価をPerplexityにとりあえず行ってもらって、その結果をNotionに追加してもらう・・・というのをMCP使ってノーコードで実現できると非エンジニアにもやさしくて便利では?と思い、試してみました。Notionのデータベースで、各フィールドにも情報埋めてくれたうえで記事作ってもらえると最高だな、と思ったのですが、結果うまく行ったので共有します。
注意
結果的にはこの後提示するプロンプトでNotionへのデータベースへのエントリ追加もうまく行っていますが、途中の経過をみるとNotionへのエントリ追加は何度か試行しています(=途中うまく行ってなかったりする)。安定動作にはもう少しプロンプトを調整する必要があるかもしれません。
構成
- MCPクライアントとしてとりあえずClaude Desktopを利用します。
- MCPサーバとしてはNotionおよびPerplexityの公式のサーバをローカルで動作させてます。
なおPerplexityの公式MCPサーバについては前掲の筆者の記事を、Notionの公式MCPサーバについては以下の記事もご参照くださいませ。
試すシナリオ
セキュリティ担当者として、サプライヤーの企業について以下をWebで分かる範囲で調査してNotion記事としてレポートにまとめたい、というシナリオです。
- 認証状況評価: ISMSやSOC2等のセキュリティ認証を取得しているか
- 個人情報取扱評価: 個人情報の取扱いについて適切に説明しているか
- 企業信頼性評価: その他、企業の信頼性に特段の問題はないか
実際私のいる危機管理室だと認証対応の一環として定期的にサプライヤーのチェックは必要なのですよね。
もちろん、Webだけで調べられる範囲には限界がありますが、下調べをAIにやってもらえるだけでも助けになりますし、Notionのようなチームで見る場所にそのドキュメントが保存されれば運用がはかどります。
事前準備
Notionには事前にデータベースを作成しておきましょう。今回は、「mcp-test」という空のデータベースを作成しました。
フィールドとして、上のシナリオに即して「認証状況評価」「個人情報取扱評価」「企業信頼性評価」という3つを用意してます。
それぞれのフィールドには、値として"◯(適切)", "△(若干懸念あり)","×(問題あり)","不明(情報が不足している)"が入る想定です。データ型はとりあえずテキスト型としてます。
また、作成したデータベースにMCPサーバがアクセスできるよう、Notion側でコネクトの設定を行っておきます。詳細はNotionの公式ドキュメントをご参考ください。
プロンプト
以下のプロンプトを使用しました。
ご自身の環境で試される際は、対象企業やNotionのデータベース名を必要に応じて変更してください。
次に挙げる企業について、perplexity_askを用いてセキュリティの観点で確認を行ってください。その際、後述の定義に従い、それぞれの観点について評価をおこなってください。対象企業が複数指定されている場合、各企業ごとに同じ調査を繰り返してください。
[対象企業]
- クラスメソッド株式会社(Classmethod Inc.)
- URL: https://classmethod.jp/
[観点]
- 認証状況評価: ISMSやSOC2等のセキュリティ認証を取得しているか
- 個人情報取扱評価: 個人情報の取扱いについて適切に説明しているか
- 企業信頼性評価: その他、企業の信頼性に特段の問題はないか
[各観点の評価]
観点それぞれで評価を行い、以下の4つの値で評価してください。
- ◯(適切)
- △(若干懸念あり)
- ×(問題あり)
- 不明(情報が不足している)
また、各観点について以下の出力もお願いします
- 評価理由:評価理由を1行の短い文章で記載してください。
- 評価確信度:評価の信頼性を0-100の整数で記載してください。
[出力]
各企業について、以下のフォーマットでマークダウンでの出力をお願いします。
# 調査した企業名
## 企業の概要
## 総評
## 認証状況評価
- 評価結果
- 評価理由
- 評価確信度
## 個人情報取扱評価
- 評価結果
- 評価理由
- 評価確信度
## 企業信頼性評価
- 評価結果
- 評価理由
- 評価確信度
## 参考文献
[出力後の処理]
Notion MCPツールを利用して、データベースMCP-testに以下のようにエントリを追加してください。1企業1エントリとしてください。
- Name: 企業名
- 認証状況評価:認証状況評価の結果('◯', '△', '×', '不明')を記載
- 個人情報取扱評価:個人情報取扱評価の結果('◯', '△', '×', '不明')を記載
- 企業信頼性評価 : 企業信頼性評価の結果('◯', '△', '×', '不明')を記載
- 記事の本文:Perplexityから受け取った情報を、Notionで閲覧時に見やすいよう体裁を整えて記載
Notionにデータベースを作成する際は、まずAPI-retrieve-a-databaseでデータベース構造を確認し、API-post-pageで`parent`:{`<database_id>`}を指定するとうまくいきます。
ポイントとしては「評価確信度」という項目を入れていること、参考文献も出力させていることでしょうか。Perplexityの調査も完全ではないので、場合によっては間違った情報を参照してしまうこともあります。自身としてどの程度の確信度があるのか、またどのような情報を引用したのかを明示させることで、後で人がチェックする際もチェックがしやすいはずです。
結果
以下のように、Claude Desktop上ではPerplexityで調査を行い、その後、結果をNotionにアップロードする処理も起動してくれました!
実際のNotionで見た結果が以下です。ちゃんとデータベースに記事が追加されてますね!
応用
気づかれたかもしれませんが、上記プロンプト例では複数の企業の調査を指定できるようにしています。
実際「対象企業」の項目で、以下のように箇条書きで複数指定してもちゃんと動いてくれました
[対象企業]
- クラスメソッド株式会社(Classmethod Inc.)
- URL: https://classmethod.jp/
- アノテーション株式会社(Annotation, Inc.)
- URL: https://annotation.co.jp/
- プリズマティクス株式会社 (Prismatix, Inc.)
- URL: https://prismatix.jp/
(※ちなみにすべてクラスメソッドの関係会社です)
Notionでの結果はこちら:
ただ、3社指定しただけでも、1回のプロンプトの入力ではメッセージの最大出力に達してしまい、途中で止まってしまいました(「続ける」と入力すれば再開できましたが)。多数の調査を行いたい場合は、Claude Desktopの利用ではどうしても限界があるかもしれません。
コスト
Perplexity APIは従量課金制です。
この例ではsonar-proというモデルが利用されるのですが、前掲のプロンプトで1社の情報を調査した場合のコストは$0.2程度でした。コストを気にする方もいらっしゃると思うので参考情報として掲載しておきます。
注意点
- 「応用」で述べたように、同じ評価基準で多数の対象を調査する、といった場合には、Claude Desktopでは限界があるので、実務上はMCPが使えるフレームワークなど使って別途専用のAIエージェントを作ったほうが良いと思います
- また、上のほうでサラッと書きましたが、現状Notionの公式MCPサーバでデータベースに記事を追加する挙動は若干不安定に見えます(Claudeは何度か試行してなんとか成功している)。安定した動作が必要であれば、いまいま(2025年4月15日現在)だと自分でAPI直接叩くコード書いてしまったほうが安定すると思います
- AIの調査は完璧ではない、という点はくれぐれも気をつけましょう!最終的に情報をレポートとして提示する場合など、人が責任を持つ必要があるので、事前に問題ないかをチェックすることを心がけていただければと思います。
おわりに
ということで、MCPを利用した調査の自動化+Notionへのアップロードの実践的な方法のご紹介でした。注意点に書いたように、実務的に大量の調査を・安定して行う場合にはちょっと向かないかもしれませんが、MCPを使えばノーコードでここまで出来る、という点は特に非エンジニアの方には参考にしていただけるのではないかなと思います。
ではでは。