
【非エンジニアのためのClaude/ClaudeCodeシリーズ】 Claude Coworkで顧客引継ぎ資料をつくってみた
【非エンジニアのためのClaude/ClaudeCodeシリーズ】Claude Coworkで顧客引継ぎ資料を作成してみた
はじめに
クラスメソッド アカウント営業部の菅(かん)です。普段はAWSをはじめとしたパブリッククラウドやClaudeをはじめとしたクラウドサービス等のアカウント営業としてお仕事をしています。
このたび複数の担当顧客の変更をすることになりました。
引継ぎ資料をつくらねば。。
顧客ごとに情報をまとめるのは、正直かなりの手間です。情報はあっても「引継ぎ資料」としてはまとまっていないですし、丁寧に作ると1顧客あたり1時間はかかります。
時間短縮ももちろんですが、引継ぎが中途半端で担当していたお客様に迷惑をかけたくない、という気持ちもあります。
こういうのは「Claude」の出番です。Claude Cowork を活用して顧客引継ぎ資料の作成フローを作ってみました。
この記事は、私のような文系出身でプログラミングの知識のない営業職の方に試していただける内容です。
必要な作業は「Coworkとの対話」と「ファイルのコピー」だけですので、Claude Coworkを触ったことのない方はぜひ試してみてください。
Projectを作成して作業する
今回の作業は、CoworkのProject機能を使って進めています。
Projectとは、目的ごとに会話・ファイル・手順書をひとまとめにして管理できる機能です。今回は「顧客引継ぎ資料作成」というProjectを作り、その中に手順書(.mdファイル)を置いた状態で作業しています。
Projectに手順書を入れておくことで、Coworkが毎回自動で参照してくれます。「手順書を確認して」と一言添えるだけで最新の手順が反映され、手順書のブラッシュアップも簡単です。気になる点があればその場でCoworkに修正を依頼するだけで、手順書がどんどん育っていきます。
前提条件
この仕組みを動かすには、以下のツールとCoworkの接続設定が必要です。
弊社では顧客情報をHubSpotで管理していますが、利用している顧客管理のシステムに連携できるとよいと思います。
※なお、本記事は管理者によってセキュリティ設定(データの学習利用オフなど)がなされたEnterpriseプランでの利用を前提としています。
| 必要なもの | 用途 |
|---|---|
| Claude(Enterpriseプラン) | 今回利用した契約プラン |
| Claude Cowork | AIエージェント本体 |
| HubSpot | 顧客・商談情報の参照 |
| Google Drive | 顧客フォルダ・週報ドキュメントの参照 |
HubSpotとGoogle DriveはCoworkから参照できるよう、管理者に接続許可を申請する必要があります。 利用前に社内の管理者に確認してください。
背景:引継ぎ資料に手間をかけたくない
情報はあるけれど「まとめるのが面倒」
顧客情報は弊社場合はHubSpotに一定蓄積されています。議事録や取引情報も登録されています。
ほかにはメールやSlack、ドキュメントなど様々な情報があります。
引継ぎ資料を作るためには通常こんな作業が必要かと思います。
- CRM(HubSpot)から顧客情報・商談履歴を確認する
- Excelやスプレッドシートに散在する情報を集約する
- 企業のHPや公開情報で会社の最新状況を確認する
- Slackでの情報を整理・確認する
- メールの情報を整理・確認する
- これらをまとめて、読みやすいWord文書やExcelに整理する
情報が散らばっているのが問題です。
自分でやろうとするとタブを行ったり来たりしながら手動でコピペ。
日中帯で作業をしようとすると他の業務で頻繁に中断したりと集中できず、結局残業するハメに。。
体制変更で一度に多数の引継ぎが発生するとなると、正直やりたくないですよね。
今回やっている内容はいたってシンプルですので、非エンジニアの方でClaude Coworkを
使ってみたい方はぜひ試してみてください。
やったこと
Step 1:まず1顧客分で試して、フォーマットを仕上げる
はじめに1顧客分だけ作業フォルダを作成し、引継ぎ資料を作ってみます。資料を格納するフォルダ構成は以下のようにしました。
project_XX_{顧客名}/
├── Sample/ ← 引継ぎ書のフォーマット参考資料(あれば統一できてよい)
├── Info/ ← (あれば)公開情報にない情報・古い引継ぎ資料・決算書類・中期計画資料など
├── MTG/ ← (あれば)社内打合せのメモ・HubSpotに未登録の議事録など
├── Doc/ ← (あれば)提案書・アカウントプラン・関連資料なんでも
└── Cost/ ← (あれば)AWS利用費情報・定例資料など
Info・MTG・Doc・Costはあれば入れる、なくてもOKです。
フォルダ全部いらないじゃん、と思ったかと思います。そうです、なくても作れます。
なぜ作っているかというと、更新したいという点と別の作業でも利用したいからです。
情報は新しくなり蓄積していきますので、資料を入れていく箱を先に作っておくとよいです。
また、顧客関連の資料をまとめておけば打合せ資料や提案壁打ちなど様々な用途で利用できます。
フォルダを作ったらそのお客様の資料(議事録・提案書など手元にあるもの)をフォルダに格納し、Coworkに引継ぎ資料の作成を依頼します。この最初の依頼では、HubSpotや週報のURLなど参照先を指示しながら会話ベースで進めます。
顧客引継ぎ資料を作成してください。
- 顧客フォルダ:{フォルダリンク}
- 顧客名(HubSpot検索用):{会社名}
- 顧客公式サイト:{URL}
- セールス週報ドキュメント(Google Doc):{URL}
できあがった資料を確認し、「この章の順番を変えたい」「この項目を追加したい」など修正点をCoworkに伝えてブラッシュアップしていきます。
ここで重要なのが、手順書(プロンプト)もCoworkが作ってくれるという点です。「Coworkを使いたいけど、プロンプトって何を書けばいいの?」と思う方も多いと思いますが、心配不要です。「こういう目的で、こういう情報をもとに、こういう資料を作りたい」と会話ベースで伝えるだけで、Coworkがやり取りの内容を手順書としてまとめてくれます。プロンプトを「書く」のではなく、会話しながら「育てる」 イメージです。
ある程度満足のいく資料ができたら、その時点でのやり取りをもとに手順書として出力するよう依頼します。(後でいくらでもブラッシュアップできるので完璧である必要はありません。どうせ使っていくうちに修正したくなります。)
今回の作業内容を手順書(.md形式)として出力してください。
ファイル名:顧客引継ぎ資料_作成手順_{今日の日付}_v01.md
ちなみにこの手順書、見たら745行ありました。自分では一行も書いていません。
ブラッシュアップを重ねるたびに手順書をリネーム(日付・枝番を更新)していくと、どの時点の手順書かが一目でわかります。引継ぎ資料のファイル名にも日付を入れておくと、最新版の管理がしやすくなります。こういった出力のルールもチャットで「こうしてほしい」と伝えれば手順書に反映してもらえます。
例)
手順書:顧客引継ぎ資料_作成手順_20260501_v02.md
引継ぎ資料:{顧客名}_顧客引き継ぎ書_20260501.docx
フォーマットが固まったら、完成した引継ぎ書をSampleフォルダに格納します。 これがテンプレートになります。
Step 2:残り全顧客のフォルダを一気に作成
Sampleフォルダに引継ぎ書が入ったら、Coworkに残りの顧客フォルダをまとめて作成するよう依頼します。
チャットで「顧客リストをもとに、このフォルダ構成(Sampleごと)で全顧客分のフォルダを作って」と伝えるだけで、全顧客のフォルダが一気に出来上がります。 各フォルダのSampleには最初に作ったフォーマット済みの引継ぎ書が入っているので、フォーマットの統一も自動でできています。
あとは作成したフォルダをGoogle Driveの顧客フォルダ内にコピーし、各顧客の既存資料(議事録・提案書など)を該当フォルダにどんどんコピペしていけば準備完了です。
(Google Driveのフォルダがうまく参照できない方はローカルで作成したものを後でGoogle Driveにコピーでもよいです)
応用ポイント: このフォルダ構成は引継ぎ資料だけでなく、日常の定例会・打合せ資料やアカウントプラン作成・提案壁打ちなどにも活用できます。
Step 3:フォルダのリンクを貼るだけで引継ぎ資料ができる
手順書と顧客フォルダが揃ったら、実際の作業はとてもシンプルです。
Coworkのチャット画面に、顧客フォルダのリンクを貼り付けて依頼するだけ。 複数顧客をまとめて依頼することもできます。
Google Driveの共有設定(閲覧権限)が適切でないとCoworkが読み込めないため、ローカルで作成したものを後でGoogle Driveにコピーでもよいです。
手順書を確認して顧客引継ぎ資料を作成してください。
- 顧客フォルダ:{Google Driveのフォルダリンクをここにペースト}
- 顧客名(HubSpot検索用):{会社名}
- 顧客公式サイト:{URL(わかれば)}
- セールス週報ドキュメント(Google Doc):{URLを貼る}
指示は手順書にすべて書いてあるので、Coworkが自分で確認して動いてくれます。あとはしばらく待てば引継ぎ資料(Word文書)が完成します。
複数の顧客フォルダ情報をまとめてコピペして依頼すれば、Coworkが順番に引継ぎ資料を作成し続けてくれますので、他の作業に集中できます。
ただし、一括で大量に依頼する場合は注意点があります。Claudeにはトークン(処理できる情報量)の利用制限があるため、件数が多いと途中で処理が止まることがあります。個人プランの場合は一気に複数の資料作成は難しいかもしれません。その場合は数件ずつ分けて依頼するのがおすすめです。
Coworkが実際にやってくれること
① ローカルファイルを読んで重要情報を抽出
フォルダ内の議事録(.txt)を全件読み込み、以下を自動抽出します。
- 先方の参加者、役職、所属部署
- 継続中の案件・進行状況
- 決定事項・次回アクション
- 特別対応・過去経緯(障害対応、無償提供、アラートの履歴など)
- 競合ベンダー情報
- 繁忙期・業務スケジュール
② HubSpotと自動連携
HubSpotのMCP(Coworkの接続機能)を使って、以下を自動で取得します。
- 会社レコード(基本情報・担当者)
- 取引一覧(全ステージ・金額・担当者)
- コンタクト一覧(役職・メールアドレス)
そしてローカルファイルとの突合も自動でやってくれます。HubSpotにいない人が議事録に登場していたら「新規コンタクト候補」として教えてくれます。
③ 週報との差分チェック
HubSpotの情報は更新タイミングにラグが生じがちです。一方、チームの週報(Google Doc)は毎週更新されており、最新の案件ステータスが反映されています。
Coworkは週報を読み込み、HubSpotと突合して以下を自動レポートしてくれます。
- 週報にあってHubSpotに無い案件(新規検討中の可能性)
- HubSpotのステージと週報の認識が食い違う案件
- アラート状態(リスク・クレーム)にある案件
「最新状態」が自動でわかるのは、かなり助かります。
④ 公開情報で会社概要を最新化
Coworkは公式HPやIR情報、プレスリリースを検索して会社概要を最新の数字に更新してくれます。
- 代表者の交代
- 従業員数・資本金の変化
- 売上高・業績トレンド(上場企業の場合)
- 新規事業・組織変更のニュース
普段は見返せていない公開情報も、Coworkが自動で収集して引継ぎ資料に反映してくれます。
⑤ Word文書(.docx)として完成形を出力
すべての情報を統合して、整形されたWord文書を自動生成します。
1. 顧客概要(会社概要テーブル・組織体制)
2. 主要ステークホルダー(先方担当者一覧・役職・特記事項)
3. 現在の支援状況・利用環境(AWS利用状況・主要施策)
4. 直近の案件・バックログ(進行中・新規提案・失注案件)
5. 運用上の注意点・特記事項(コミュニケーション特性・繁忙期・特別対応)
6. 戦略的課題・引継ぎ後の推進事項
7. 直近の次回アクション一覧
備考(情報ソース一覧・HubSpotレコードURL)
フォント・表スタイル・ヘッダー・フッターも自動で整えられ、そのまま使えるレベルのWord文書が出てきます。
所要時間の目安
情報が整っている顧客なら、だいたい15〜20分で引継ぎ資料のドラフトが完成します。従来1時間かかっていた作業が、この時間まで短縮できます。
気をつけた点
機密情報の取り扱い
今回はHubSpotの顧客情報や週報(社内機密)をCoworkに渡しています。機密情報の取り扱いについては、必ず自社のセキュリティポリシーや利用規約を確認した上で使用してください。
今回の作業はEnterprise版の組織設定(学習に使われない設定)であることを前提としています。
クラスメソッドでは、社内のAIツール利用ガイドラインに沿って利用しています。
出力ファイルはローカルに残さない
Coworkが生成した引継ぎ資料(.docx)はPCのローカルディスクに出力されます。顧客の機密情報を含むデータのため、出力後は速やかにGoogle Driveの所定フォルダへ移動し、ローカルディスクからは必ず削除してください。 PCローカルにデータを残さないことを徹底しましょう。
生成内容は必ずレビューする
AIが生成した内容は、事実誤認や情報の欠落が発生する可能性があります。特に引継ぎ資料は「正確さ」が重要なので、必ず内容を確認・修正した上で使用してください。「ドラフト自動生成ツール」として使い、最終確認は人間が行うことを前提としてください。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使ったツール | Claude Cowork |
| インプット | ローカルファイル(Excel・議事録)、HubSpot、Google Doc週報、PDF、企業HP |
| アウトプット | Word文書(.docx)形式の顧客引継ぎ資料 |
| 効果 | 1顧客あたり約1時間 → 15〜20分のドラフト完成。複数顧客分を一括作成可能で依頼の手間も削減 |
| 向いている場面 | 情報が複数ツールに散在している・引継ぎ件数が多い |
| 応用 | 顧客フォルダを「作業基地」として定例会資料・提案書・アカウントプランなど他の資料作成にも流用可能 |
今回の資料作成のポイントは、非エンジニアでもCoworkを使いこなすうえで特別なITスキルは不要だということです。必要なのは「Coworkとの対話」と「ファイルのコピー」だけ。プロンプトの書き方すら知らなくても、会話しながらCoworkと一緒に手順書を育てていけます。
そして一度仕組みを作ってしまえば、以降は誰でも同じクオリティの引継ぎ資料を短時間で作れます。体制変更や担当変更が多い時期こそ、まずは1顧客分だけ試してみてください。
おまけ①:更新も超簡単
引継ぎ資料は一度作ったら終わりではありません。商談が進んだり、組織変更があったり、情報は常に変わります。
でもこの仕組みなら更新もほぼ手間ゼロです。新しい議事録や提案書をフォルダに追加して、Coworkに「最新版を作って」と依頼するだけ。追加した資料を自動で読み込んで、差分を反映した最新の引継ぎ資料を生成してくれます。
従来なら「資料が古くなってきたけど更新する時間が…」と放置しがちだったところが、情報を足してワンアクション依頼するだけで済むので、常に最新状態を保てるのが大きなメリットです。
おまけ②:「引き渡す」だけじゃなく「受け取る」にも使える!
この仕組みは自分が引き継ぐ予定の顧客にも使えます。
体制変更では、他の担当者から顧客を受け取る側になることも多いはずです。相手が引継ぎ資料を用意してくれるとは限りませんし、十分な情報をもらえないまま担当を引き受けることも珍しくありません。
でも同じ手順で、新しく担当する顧客のフォルダを作って情報を集めれば、自分のためのキャッチアップ資料としても活用できます。引き渡す側も受け取る側も、同じ仕組みで対応できるのはとても便利です。
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特集カテゴリ: 非エンジニアのためのClaude/ClaudeCode








