
データを出さない設備からデータを取るには
はじめに
製造ビジネステクノロジー部の水島です。
本ブログは、クラスメソッド発 製造業 Advent Calendar 2025 11日目の記事となります。
ないところからデータを取る?
現場でDXをすすめるにあたって、まずは工場や作業場の状態を取得するためデータを集めたい。でもそのデータはどこから来るのでしょう。
PLCなどの制御機器がコントロールしているものはそこからデータが取れますが、自動化されていない設備、人が操作して作業する設備については必ずしも通信可能な制御装置が搭載されているとは限らず、場合によってはオン/オフスイッチや操作レバーしかない、というケースもあるでしょう。
あれっ、調べてみたらデータをとれる個所が全然ないぞ!となることもあるかもしれませんが、そんなときに少しでも設備の状態が判断できるデータを収集する方法を集めてみました。通信機能を持ったものからPLCに接続するセンサーまで多種あり、実際の構成までは深堀りしませんが、ここからデータは取れないな……と諦めてしまう前に、一度目を通していただければ幸いです。
電力
設備が動作しているときに使用する電力から、設備の使用状況を推定します。
電源線に電流計(CTセンサ)を取り付けて、消費電力を測定します。
電流計(CTセンサ)
三菱PLC・CT入力
モーター監視装置
モーターを使用した機器全般に使用可能です。
電源ラインの状態から監視する装置は電流計に似ていますが、使用状況以外にも、モーターに特化した健康状態や異常を検出する機能があります。
振動と温度からモーターの状態を監視するタイプもあります。
モーター状態監視装置
リレー信号
設備の制御装置にリレーや表示灯が接続されているなら、そこから信号を取得する方法もあります。
信号を分岐する場合は、設備の構成を理解することと、適切な手法の選択が必要です。
そうでない場合には、下記のようなクランプ型の信号検出装置を利用する方法もあります。これならば、既存の設備に手を加えることなく信号を取得することができます。
信号横取りセンサ
燃料使用量
主なエネルギー源が電力ではない設備もあるでしょう。
液体やエアの使用量の測定に使用されることが多い非接触流量計ですが、ガスや蒸気に対応したものもあります。
ガスを使用する装置にはガス用、ボイラーの蒸気を利用する装置は、蒸気流量計を使用してエネルギー使用量を推定することができます。
ガス対応の非接触流量計
蒸気対応の非接触流量計
スイッチ
機械だけでなく人が動かす部分にも。動きがあるものは、シンプルにスイッチで検出することも可能です。レバーやドアなど、物理的に動くものの状態を検知するために使えます。
リミットスイッチ
磁気センサー
重量
作業中のワークの重さを検出することで設備の使用状況を推定します。
設備に取り付けられるロードセルを選定して、PLCにアナログ信号として入力する方法があります。
三菱PLC・ロードセル入力
温度
加熱や冷却を行う設備は、温度センサーで状態を検出することができます。
冷蔵冷凍庫などの温度監視には温度センサーを、より高温になるものは熱電対を使用しますが、上限は450℃程度までとなります。
その範囲を超える場合は、放射温度計で表面温度を測定する方法もあります。
温度センサ
放射温度計
表示盤・メーターの読み取り
取りたいデータは表示されているのに、信号は出ていない。そんな時は表示盤をカメラで読み取る方法もあります。
アナログメーターも画像や角度から読み取ることができますが、改修してセンサーに置き換えることを検討してもよいかもしれません。
画像からの読み取り
アナログメーターの角度をセンサーで検出するシステム
おわりに
今回ご紹介した方法の中には、実際にご相談をいただき検討を行ったもの、そこから派生して調査したもの、あるいはご提案までは至らなかったものもありますが、可能な限り共有したいと考え、整理してみました。
設備のデータ収集で困ったとき、お役に立てば幸いです。










