経験学習 – 具体的経験
2024.05.07
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事においてステップアップをしていくためには新しい知識やスキルを身に着けていく必要があります。そして、新しい知識やスキルを習得する最善の方法は実践を通して経験をすることです。
個人が経験を通して学習するサイクルについて「コルブの経験学習」の概念があります。
今回、コルブの経験学習における「具体的経験」について掘り下げます。
具体的経験とは?
具体的経験(Concrete Experience)とは、直接的に物事を経験し、その経験から学ぶことを指します。この文脈での具体的経験は、学ぶべき要素が含まれている経験が対象です。学習においては、新たな知識やスキルを獲得し、既存の理解を深めるために、具体的な経験が重要です。そのため、新しい課題や挑戦、あるいは問題解決の機会が含まれる経験は、学習につながる具体的経験と言えます。
具体的経験に必要な要素
具体的経験が学習につながるために必要となる要素があります。
適度な難易度の挑戦
具体的経験は適度な難易度の挑戦である必要があります。こういった適度な挑戦をマネージャーや本人が可能な範囲で調整します。
- パニックゾーン(Panic Zone) - パニックゾーンは、自己のスキルや能力を超えるような挑戦やストレスが高まる状況です。この領域では、不安や緊張が支配的になり、適切な対処が難しくなります。過度なストレスや不安は学びや成長を妨げる可能性があります。
- ラーニングゾーン(Learning Zone) - ラーニングゾーンは、学びや成長が最も活発に起こる領域です。この領域では、挑戦と達成のバランスが取れており、自己のスキルや能力を超える新たな挑戦に直面しつつ、それに対処するためのリソースやサポートも利用できます。この状況下での経験は、成長や発展につながります。
- コンフォートゾーン(Comfort Zone) - コンフォートゾーンは、自己のスキルや能力の範囲内で行動する領域です。この領域では、安心感や安定感がありますが、新しい挑戦や成長の機会が限定されます。コンフォートゾーンに留まり続けると、スキルや能力の向上が制限される可能性があります。
内発的な動機
難しい挑戦をするには内発的動機が重要です。なぜなら、内発的動機は自己成長や達成感を促進し、困難に直面した際に持続的なモチベーションを提供するからです。内発的動機があると、人は困難な課題に対して自発的に取り組み、失敗や障害にも耐える意欲を持ちます。このような姿勢は、学びや成長を促進し、難しい挑戦を通じて自己の能力を高めることを可能にします。
失敗を許容する文化
難しい挑戦には失敗がつきものです。失敗は学習のために必要なプロセスとして捉え、受け入れる姿勢が周囲にないと挑戦に対して及び腰になってしまいます。
自己効力感
難しい挑戦に踏み出すには「自分ならできる」を思える気持ちである「自己効力感」が必要です。メンバーが自己効力感を伸ばせるように、小さな成功体験をできるようにサポートしたり、本人が成功していることを認識できるようなコミュニケーションを継続することが必要です。
まとめ
コルブの経験学習における「具体的経験」について掘り下げました。
具体的経験に必要な機会はマネージャーが調整する範囲もあれば、自ら手を上げるなどして本人が調整できる範囲もあります。一方で、仕事の場に存在する経験機会の総量は一定です。良質の経験の機会を得るには過去の成果の積み重ねをもとにした信頼が必要だったり、普段のコミュニケーションからの関係構築が必要であったり、絶対的もしくは相対的に適任とみなされる実力が必要だったりします。その意味で、強みを磨き、良質の機会の主担当者としてお声がかかる状態を意図的に作り上げていくなど、自分なりの戦略を立てていく必要もあるでしょう。