![身近なストーリーを通してノウハウを伝えること](https://images.ctfassets.net/ct0aopd36mqt/wp-thumbnail-1cf77a720091408108441348edfa69d3/d2d5959d25635e6a7503b9266c783755/od_eyecatch.png)
身近なストーリーを通してノウハウを伝えること
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
マネージャー・メンター・技術リードなど、人材育成に関わる人にとって、周囲が新たなノウハウを身につけることができるようにサポートすることは重要な仕事の一つです。
この記事では、何かのノウハウを他者に伝える場合、ノウハウを単独で伝えるのではなく、実際にノウハウを適用した事例をストーリーとして伝えることについて解説します。
ノウハウをストーリーで伝える効果
ノウハウとストーリーで伝える効果について、単独で伝える場合と対比してみます。
観点 | ストーリーとして伝える | ノウハウ単独で伝える |
---|---|---|
理解しやすさ | 具体的な事例があるため、状況がイメージしやすく、直感的に理解しやすい | 抽象的になりやすく、実際の活用シーンが思い浮かびにくい |
記憶への定着 | 感情や因果関係が結びつくため、長期的に記憶に残りやすい | 覚えにくく、すぐに忘れやすい |
応用のしやすさ | 事例をもとに類似した状況で応用しやすくなる | 「どんな場面で使うのか?」が分かりにくく、応用が難しい。 |
モチベーション | 体験談や課題解決の流れがあるため、「自分もやってみよう」と感じやすい | 「必要なときに使うもの」と捉えられ、主体的に活用しにくい |
共感と説得力 | 実際の経験に基づくため、聞き手が共感しやすく、納得感が高まる | ただの情報として受け取られやすく、納得感が低い |
ノウハウをストーリーで伝える仮想の例
ある日、チームのミーティングでこんなやりとりがありました。
- Bさん :「これ、やっておいてください。」
- Cさん :「……えっと、何をですか?」
Bさんは当然伝わっていると思っていましたが、Cさんは困惑しています。Bさんの発言には主語と目的語が抜けていたためです。
この場面を見ていたAさんはすぐに気づきました。**『主語や目的語を省略すると、相手に正しく伝わらない』**ことを知っていたからです。Aさんはその場で、Bさんにこう伝えました。
Aさん : 「Cさんが困っているのは、"これ"が何を指しているのか分からないからだよ。例えば『○○の資料を、△△さんに送っておいてください』と言えば、誤解が生まれにくいよ。」
Bさんは「確かに!」と納得し、それ以降、主語や目的語を意識して伝えるようになりました。
ノウハウを伝えるストーリーの身近さ
ノウハウを伝えるためのストーリーは、相手に関わる内容であるほど効果的です。
- 自分ごととして捉えやすい : ストーリーが相手に関係するほど、当事者意識を持ちやすくなり、学習効果が高まる
- 応用しやすい : 自分の環境に似た話であれば、学んだノウハウをすぐに活用できる
ノウハウを伝えるストーリーの鮮度
ノウハウを伝えるためのストーリーは、直近の出来事であるほど効果的です。
- 記憶に残りやすい : 直近の出来事であれば、相手も背景や状況を覚えており、スムーズに理解できる
- タイムリーな学びになる : 直近の課題であれば、今後も似た状況が発生する可能性が高く、すぐに活用できる
ペアワークとノウハウの伝達
ペアワークを通してノウハウを伝えることはストーリーの身近さ・鮮度としては最高の状態です。
ペアワークが育成の目的も持つ場合、タスクの遂行だけではなく、ノウハウの伝授の場としての活用も意識できれば、最高の人材育成の場になります。
- 身近さ : 目の前の業務に関する具体的なノウハウを学べるため、自分ごととして捉えやすい
- 鮮度 : その場で実践しながら学ぶため、情報が最新で、即時フィードバックが得られる
ノウハウを伝える側に必要な俯瞰した視点
ペアワークを通して育成対象となる相手にノウハウを伝える側は、仕事をしつつ、教える相手にとって有効そうなノウハウが仕事の中に含まれているかを俯瞰した視点から捉える必要があります。逆に、仕事そのものに没頭しすぎると、伝えるべき内容を見逃してしまいます。ただし、定期的なふりかえりをすることで、見逃した育成チャンスを後で発見できることもあります。
補足
説明のためのストーリーは、伝える相手が当事者の出来事だとベストですが、必要なノウハウを含む場面がすぐに訪れるとは限らない場合、他者が経験した出来事をストーリーとして伝える方法もあります。