【テクニカルサポート心得】カスタマーペインという考え方について

2023.02.17

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はじめに

アノテーション テクニカルサポートの藤本です。

お客様のサポートをしている中で、私達テクニカルサポートエンジニアが強く意識している【カスタマーペイン】という考え方があります。
この【カスタマーペイン】という考え方を理解すると、回答をする側もより的確なサポートが出来るようになりますし、問い合わせをする側もより効率的なサポートを受けられるようになります。
現在、新規入社メンバー向けの育成施策としてこの【カスタマーペイン】の講義を行っておりますが、皆様にも是非その考え方を知って貰いたいため紹介します。
普段サポート業務で回答する人、問い合わせをする人、どちらにも知って貰いたい考え方となりますので、是非ご一読ください。

今回伝えたいこと

今回伝えたいことは以下の2つです。

  • 回答する人(サポートをする人)は相手のカスタマーペインを理解しようとすることが大事
  • 問合せをする人(サポートを受ける人)は自分のカスタマーペインを伝えようとすることが大事

それでは、カスタマーペインとは何か。から順にお伝えしていきます。

カスタマーペインとは何か

カスタマーペインとは、「お客様の痛み」=「お客様は何に困っているのか?何を知りたいのか?」という考え方になります。
つまり、カスタマーペインを知る。という表現をした場合、相手が本質的に困っていることは何かを考える。ということになります。

カスタマーペインを読み取るとは

社内会計システムを例にしてみましょう。
「エラーが出て経費登録出来ないんだけどシステム障害がありましたか?」と問い合わせがあったとします。
この質問自体で聞いているのは障害の有無です。

しかし、この人が本当にやりたいことは「経費登録をしたい」です。
この、本当にやりたいことを知ることが、カスタマーペインを読み取る。という事になります。
今回は分かりやすい例として「経費登録」という答えに繋がるワードを問い合わせ内に入れましたが、本文内に答えになるワードが含まれていない事も多いので注意が必要です。

カスタマーペインを読み取れないとどうなるか

  • 問題が長期化し、お互いに長期に渡って時間を奪われてしまいます。
  • サポートを受ける人の満足度が低下します。
  • サポートをする人の信頼度が低下します。

カスタマーペインを読み取れないとどうなるか例を示します。

カスタマーペインが読み取れるとどうなるか

  • 問題が早期解決し、お互いに長期に渡って時間を奪われることがありません。
  • サポートを受ける人の満足度が向上します。
  • サポートをする人の信頼度が向上します。

カスタマーペインを読み取れるとどうなるか例を示します。

カスタマーペインを見極めるにはどうすれば良いか

思考プロセスをさかのぼってみる

会計システムで経費登録しよう

手順通りにやったのに何かよく分からないエラーが出た

きっと会計システムの障害だと思うからサポートに聞いてみよう

「エラーが出て経費登録出来ないんだけどシステム障害がありましたか?」

というプロセスでお問い合わせに至ったと推測できます。これをさかのぼって、問合せ者が本来やりたかった事「会計システムで経費登録」に気が付くことが大事です。

ヒントを見逃さない・ヒントから推測しよう

この短い文章にもヒントはたくさんあります。
1つずつ見ていきましょう。

  • 「経費登録出来ない」
    質問自体は障害の有無ですが、問合せ者の根本の困りごとはこれです。
    経費登録出来ないということは、サービスが正常に機能していない可能性があり、原因調査よりも復旧が優先される場合があります。
    また、今回「社内会計システム」という言葉は出てきていませんでしたが、経費登録というワードから質問者が利用していたシステムが想定できます。

  • 「エラーが出て」
    エラーが出たということは、システム側のトラブルの他に操作方法の誤りも考えられます。

  • 「システム障害」
    システム障害を確認してきているという事は、問合せ者は問題発生の原因に心当たりが無い可能性が高いです。

分からない部分はちゃんと聞こう

カスタマーペインを見誤らないためには、問合せ者へ適切なヒアリングをすることも重要となります

  • 推測した内容の確認
    問合せ者との間に認識齟齬が発生すると、カスタマーペインを見誤る大きな要因となります。

  • 不足情報の提供依頼
    やろうとしていた事の詳細(手順書などがあれば手順書のどの操作をしたか等)やエラー内容を共有して貰うことで、背景が見えてくる場合もあります。

  • 背景の確認
    推測だけに頼らず、直接問合せ者へ確認することも必要です。

返信例

  • 推測した内容の確認
    経費登録が出来ないとお問い合わせを頂いておりますが、本件は社内会計システムに関する問題と認識しております。認識に相違ございませんでしょうか。

  • 不足情報の提供依頼
    現在、社内会計システム内での障害は確認出来ておりませんが、調査のために以下の情報についてご提供をお願いいたします。
    1.実際に操作した内容(手順書があれば実施した項目をご共有下さい)
    2.表示されたエラー内容の全文やスクリーンショット等

  • 背景の確認
    普段から同様の操作を行っていた。または、今回は普段とは違う操作をした場合にエラーが発生した。等、今回トラブルが発生した背景をご共有頂くことで、より原因調査が円滑になります。ご協力お願いいたします。

さいごに

如何でしたでしょうか。
今回返信例を書きましたが、問い合わせする側も最初からこの情報が必要だと認識していれば、不足情報無く質問できるため解決までのやり取りがよりスムーズになります。
問合せを受ける人、問合せをする人。是非両者ともこの考え方を意識してみてください。

アノテーション株式会社について

アノテーション株式会社は、クラスメソッド社のグループ企業として「オペレーション・エクセレンス」を担える企業を目指してチャレンジを続けています。「らしく働く、らしく生きる」のスローガンを掲げ、様々な背景をもつ多様なメンバーが自由度の高い働き方を通してお客様へサービスを提供し続けてきました。現在当社では一緒に会社を盛り上げていただけるメンバーを募集中です。少しでもご興味あれば、アノテーション株式会社WEBサイトをご覧ください。

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