【レポート】Deep dive on AWS Snowball Edge(STG310) #reinvent 2019

re:Invent 2019 のセッション Edge computing use cases:Deep dive on AWS Snowball Edge(STG310)のセッションスライドから読み取った内容をもとに調べてみた事柄についてご紹介します。
2019.12.26

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こんにちは、札幌在住 AWS 事業本部 オペレーション部(通称オペ部)の池田です。
先の投稿をきっかけに、AWS Snowball や AWS Snowball Edge について理解を深めたいと感じたので、他のセッションが行われていなかったか調べてみたところ、こんなセッションがあったのを見つけました。
今回は re:Invent 2019 のセッション Edge computing use cases:Deep dive on AWS Snowball Edge(STG310)のセッションスライドから読み取った内容をもとに調べてみた事柄についてご紹介します。

セッションについて

  • タイトル
    • Edge computing use cases:Deep dive on AWS Snowball Edge(STG310)
  • 発表者
    • Frank Paterra, Development Manager, Amazon Web Services
    • Vaibhav Tyagi, Development Manager, Amazon Web Services

概要

Many organizations still have data they want to move to AWS, and have disconnected, remote field operations that require local computing capabilities. The AWS Snow family—AWS Snowball, AWS Snowball Edge, and AWS Snowmobile—helps you move large quantities of data offline and enables data processing and storage at edge locations when network capacity is constrained or nonexistent. This session provides an update on the Snow family and dives into the operational details of migrating data and how to build edge computing architectures with Snowball Edge. Learn when and how to use the service for your migration and computing needs.

公開資料はこちらにあります。残念ながらセッション動画は公開されていないようです。

アジェンダ

  • Quick Snow overview, history, and evolution
  • Edge computing with AWS Snowball Edge
  • Demonstration with audience participation
  • Q&A

Quick Snow overview, history, and evolution

What services come with Snowball?

Snowball のスペックについて(詳細仕様はこちらの製品仕様ページで確認が可能です)。

  • インターフェース
    • Kindle ディスプレイ
    • マシン管理用の Snow CLI
    • サービス管理のための AWS CLI
  • コンピュート機能
    • 1〜48コアおよび Amazon EC2 GPU インスタンス
    • AWS IoT Greengrass / Lambda
    • コンテナ(利用者専用のロール)
    • セキュリティグループ
    • 自動起動
  • ストレージインターフェース
    • Amazon S3 互換オブジェクト
    • Amazon EBS 互換ブロック(パフォーマンスとスケール)
    • NFS ファイルアクセス
  • 管理ツール
    • Amazon CloudWatch
    • AWS CloudTrail
    • AWS Systems Manager

個人的に一番気になったのは最初にある「Kindle ディスプレイ」の表記です。他の箇所でも映るのですが、こちらのページにある動画の開始からちょうど2分のところのシーンでこのような表示となっているところを見つけることができました。

たしかに Kindle ぽい。他の表示になっているシーンが無いか探したところ開始から7分50秒くらいの場面で異なる表示になっているものがありました。

この感じ、やっぱり Kindle だ!
画面表示の視認性の高さや寿命なども考慮して採用されたのでしょうか。タッチパネルデバイスとして使うことがあるのかについてはいくつかの動画も探したのですが見つけることができませんでした。こんなに気になるなら EXPO 会場の展示品をもっとじっくり見てくるべきでした...
この Kindle ディスプレイについて触れている Web サイトが無いか検索したところtechradar.comというサイトで以下の記述を見つけました。

On the side of every Snowball is a Kindle – an e-Ink version like the Paperwhite rather than a tablet like the Fire – which serves as both an address label and a tracking device.

なるほど、配送時にはラベル(送り状)兼追跡用デバイスとして機能し、実際の使用時にはステータスや各種メッセージの表示ウインドウとして機能するようです(この流れで Kindle Paperwhite についても調べていたら欲しくなってきました)。

AWS Snowball Edge flavors

  • コンピューティング最適化オプション
    • 42 TB の S3 および EBS 互換ストレージ
    • 7 TB の NVMe ブロックストレージ
    • 52個の vCPU、208GiB のメモリ
    • NVIDIA Tesla V100 GPU オプション
    • sbe1、sbe-c、および sbe-g インスタンス(C5、M5a、G3、P3 と同等)
    • 10、25、100 Gb/s ネットワーク
    • クラスター化によるスケーラビリティと高耐久性(five 9s of durability)を兼ね備えた設計
  • ストレージ最適化オプション
    • 80TB 以上の S3 および EBS 互換ストレージ
    • 1TB SSD ブロックストレージ
    • 24個の vCPU、32GiB のメモリ
    • GPU なし
    • sbe1、sbe-c インスタンス(C5 と同等)
    • 10、25、40 Gb/s ネットワーク
    • クラスター化によるスケーラビリティと高耐久性(five 9s of durability)を兼ね備えた設計

How is Snowball used today?

セッション動画が公開されていないようなので、スライドにある写真と他のドキュメントなどの事例から Snowball が現在どのような場面で利用されているかを考えてみます。

  • 船舶
    • たしかに広い海に出れば通信環境も限られますし、オンプレミスシステムを船内に構築するよりは Snowball の方がハードウェアとしての耐久性や接岸後の回収、入れ替えなども容易ですね。
  • 映画館
    • そういえば既にフィルムからデジタルデバイスでの投影に置き換わっているのだろうと漠然と感じていましたが、データ配送時の追跡性や安全性を理由に採用されるケースはあるのだろうなぁと思いました。
  • 宇宙開発
    • これも船舶同様に高速な通信環境の確保が困難かつ高度な演算処理や膨大なデータ収集が要求されるシーンですね。さらに地球へ帰還した後も収集データの解析などのためには堅牢性も求められるでしょうし納得です。
  • 航空機
    • 船舶や宇宙開発と同様ですね。
  • 医療現場
    • スライドの写真は立派な医療施設ですが、これは通常時の医療施設での利用というより災害発生時の緊急医療などにおける利用かな?と受け取りました。
  • 発電設備(または軍事施設?)
    • 写真からはどのような施設なのか判断が難しいですが、ここまでに見たユースケースや Snowball の特徴から入退室やそのエリアへの接近が厳格に管理されていたり、郊外に膨大な敷地を有した施設での利用シーンとしては発電所や(米国ということを考慮して)軍事施設などでの利用かな?と推測しました。

Edge computing with AWS Snowball Edge

このセクションはスライドとしては 2ページしかなく、現地では口頭による解説が行われたものと推測します。

AWS disaster response & Snowball Edge

ここでは、AWS disaster response について調べてみました。例えば「公共部門向け、AWS re:Invent 2019におけるハイライト」として公開されている内容から、災害対策時における政府・行政機関や NPO などの活動を技術やインフラ面で支援するものと受け取りました。AWS Blogs でこのカテゴリー「Disaster Response」で検索すると非常に多くの記事が投稿されていました。

Amazon Web Services (AWS) enables disaster response organizations to access cloud services at the edge, even in the harshest conditions. The AWS Disaster Response Action Team allows customers to focus on mission-critical functions, while AWS provisions critical data and applications, transports hardware to the base of operations, and implements deployable infrastructure based on customer need.
AWS Disaster Response より)

余談ですが、スライドにあるこのアイコン、素敵だなって思いました。

Edge computing for disaster response

ここでは Global Disaster Immediate Response Team (D.I.R.T.) や AWS Disaster Response Team(AWS DRT)についての紹介があったものと思われます。

  • D.I.R.T.
    • 災害発生後の状況において被災者、NGO、政府に支援を提供する非営利組織(GLOBAL first responder より)
  • AWS DRT
    • 災害復旧支援として AWS Snowball Edge デバイスをプロビジョニング、輸送、実装、および再配備などを行う AWS エンジニアによって組織されたチーム

まとめ

実際のセッションではこの後、Snowball によるエッジコンピューティングのデモンストレーションが行われたようですが、残念ながら資料等を確認することができないため割愛します。
AWS Snowball / AWS Snowball Edge のユースケースや AWS DRT について色々な資料を参考にしながら本記事を書いたのですが、AWS は企業の社会的責任として自社の持つ技術やインフラなどを最大限に利活用してもらうためにこのサービスをリリースしたのかなと感じました。この記事を公開することで Snowball の技術面だけでなく D.I.R.T. や AWS DRT 、そして世界各地で災害支援活動をしているたくさんの人々のことを知っていただく / 興味を持っていただくきっかけとなれば嬉しいです。