
DevRev を試す: Zendesk Guide を AirSync で取り込んでみた
はじめに
本記事では DevRev というサービスの特徴を簡潔に説明し、オープンソースである n8n や Dify と比較した際の違いを確認します。その上で、実際に Zendesk と接続して記事情報を取得する簡単な検証を行い、どのような体験になるのかを確認しました。
DevRev とは
DevRev は開発組織向けに設計されたプロダクト CRM の一種です。顧客、課題、製品、リリースといった要素をすべて ナレッジグラフ で結び付けて保持できる点が大きな特徴です。単なるチケット管理や API 接続基盤にとどまらず、関係性を持った知識として蓄積できるため、長期的に利用できる情報基盤として機能します。
対象読者
- n8n や Dify といった API 接続基盤を触った経験がある方
- DevRev が持つナレッジグラフの強みを簡単に理解したい方
- 実際に軽く DevRev を触ってみた記事を参考にしたい方
参考
DevRev の特徴
DevRev は顧客情報、課題管理、プロダクト開発履歴を一元的に扱えます。特徴的なのは、これらの情報が ナレッジグラフ (Knowledge Graph) として保持されることです。ナレッジグラフとは、知識を「ノード (点)」と「エッジ (線)」で表現し、エンティティ同士の関係性を構造的に保持する手法です。ナレッジグラフそのものは新しいアイデアではなく、人工知能研究の黎明期から 意味ネットワーク や セマンティックウェブ (RDF, OWL) の形で研究されてきました。 2012 年に Google が「Google Knowledge Graph」を検索サービスに導入した ことを契機に、商用利用が一気に広まりました。
- エンティティ をノードとして表現
例: 顧客、製品、課題、リリース
- 関係性 をエッジとして表現
例: 顧客が課題を報告する、課題が製品に関連する、課題がリリースで修正される
たとえば以下の例では、顧客が課題を報告し、それが特定の製品機能とリリースに関連していることを表しています。
単なるリストやテーブルではなく、「誰が」「何を」「どう関係しているか」がひと目でわかります。この構造により、検索や推論が容易になり、複数の情報源を統合して一貫した知識として活用できます。
n8n / Dify との違い
n8n や Dify は、外部サービスを API でつなぎ込み、処理を LLM で実行できる仕組みです。しかし、処理が完了すれば情報はフローの外に残りません。一方で DevRev は、流れてきた情報をすべてグラフとして蓄積したうえで LLM 等の動作基盤として活用可能にします。結果として、 長期的な検索性 や 一貫性のある参照 が可能です。この点が API 連携基盤との差別化要因となります。
試してみた
検証では DevRev で Zendesk と接続できるかを確認しました。ここでは実際の業務データを扱うのではなく、検証用のサンプル記事を対象にしました。
Zendesk Guide の同期
まず Zendesk Guide に検証用の記事を用意しました。
次に、DevRev 上で Integrations > Snap-ins から Zendesk の Connection を追加しました。
続いて、作成した Connection で AirSync を設定し、Sync status が ✅Completed になるのを待ちました。
Support > Knowledge Base に作成した記事が取り込まれていることを確認できました。ここで扱った同期は Zendesk Guide → DevRev の片方向です。DevRev → Zendesk Guide の同期は今回の検証ではスコープ外とします。
まとめ
n8n や Dify は便利な API 連携基盤ですが、情報はその場で処理されるだけで恒久的に残るわけではありません。これに対し DevRev は、顧客や製品の情報をナレッジグラフとして関係性ごとに蓄積できます。そのため、長期的に一貫した形で情報を参照できる点が強みです。
今回の簡単な検証では Zendesk Guide から記事を取得する程度にとどめましたが、それでも DevRev が「情報をストックする仕組み」として機能していることが確認できました。今後は取得した情報をどのように活用できるか試していきたいと思います。