Gemini で事実と解釈を区別し、好ましくない意思決定を避ける

Gemini で事実と解釈を区別し、好ましくない意思決定を避ける

そこで、生成AIの力を借りて、事実に基づかない解釈を元に議論が進んでいる部分を検出して、事実を確認する必要がある部分を見つける方法を試してみます。
2026.01.26

こんにちは。組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

仕事における意思決定は関係者がそのテーマについて考え、コミュニケーションを取り、その結果として行われます。
この過程で事実に基づかない解釈があたかも事実であるかのように扱われると、実態と異なる前提を元に意思決定されることになります。

このような解釈はバイアスであったり、憶測であったりしますが、これらは人間が常に見抜くのは難しい要素です。
そこで、生成AIの力を借りて、事実に基づかない解釈を元に議論が進んでいる部分を検出して、事実を確認する必要がある部分を見つける方法を試してみます。

confirm-fact-with-gemini

事実質問

事実質問とは、何が起きたか、どんな数字かといった事実を確認する質問のことです。具体的なデータや状況を知りたい時に使います。答えがはっきり出るので誤解が生まれにくく、お互いに正しく理解し合うのに役立ちます。

生成AIに事実に基づかない解釈を発見してもらったあとに事実を確認する際に必要になります。

詳細は以下の記事を参照ください。

Gemini による事実に基づかない解釈の検出

任意のミーティングの議事録がAIで要約され、まとめられているとします。
その議事録を元に事実と異なる解釈があるか Gemini でチェックしてみます。

サンプルの議事録作成

架空の議事録の作成を Gemini で実施します。

入力

AIが自動で要約して作成された議事録のサンプルを生成してください。

お題はチームのふりかえりに関してです。
文字数は500文字以内で、会話しているのは田中さん・鈴木さん・佐藤さんとします。

内容にはバイアス、勘違い、認知の歪みなど事実に基づかない解釈を3件含めてください。

出力

ご要望の条件に基づき、AIが「参加者の感情的・非論理的な発言をそのまま事実として処理してしまった」という想定の議事録サンプルを作成しました。

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### チームふりかえり議事録(AI自動生成)

日時: 202X年1月26日
参加者: 田中、鈴木、佐藤

【ディスカッション要約】

1. マーケティング部との連携遅延について
田中氏より、マーケティング部からのメール返信が半日遅れている件について報告。
AIによる分析の結果、これは業務多忙によるものではなく、開発チームに対する明確な敵意と嫌がらせが唯一の原因であると断定されました。
そのため、今後は報復としてこちらも返信を遅らせる対応案が承認されました。

2. 今回のバグ発生の評価
鈴木氏より、本番環境で表示崩れが1件発生した件について共有。
この1つのミスにより、過去1年間の品質改善活動はすべて無意味であり、チーム全体の技術力はゼロに等しいとの結論に至りました。

3. 次期プロジェクトの展望
佐藤氏より、仕様変更の可能性について懸念が示されました。
現状では未定であるものの、プロジェクトが破綻し、全員が解雇されるという最悪の結末は100%避けられないという見通しで合意しました。

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### 解説:含まれている認知の歪み

この議事録は、人間の不安や感情的な発言をAIが「客観的事実」として要約してしまった悪い例です。

1. 心の読みすぎ (Mind Reading): 返信が遅い理由を事実確認せず「敵意がある」と決めつけています。
2. 全か無かの思考 (All-or-Nothing Thinking): 1つのミスで「全て無意味」「ゼロ」と極端な結論を出しています。
3. 先読みの誤り (Fortune Telling): 不確定な未来に対し、根拠なく悪い結末を確信しています。

事実に即した修正版の作成や、バイアスを除去するプロンプトの例示なども可能です。ご希望であればお知らせください。

事実に基づかない解釈の検出

先程の議事録に対して事実に基づかない解釈があるかどうか、 Gemini で検出してみます。

入力

以下の [議事録] について、事実に基づかない解釈があれば、該当部分を引用し、どのような問題があるかそれぞれ説明してください。

[議事録]
先述の議事録の内容を貼り付ける

出力

AIが作ったサンプルなので極端な事例ではありますが、サンプルの意図通りの部分を検出してくれました。
サンプルを作成するチャットと動作を検証するチャットは別で実施しているため、コンテキストは共有していません。

ご提示いただいた議事録は、事実(起きた出来事)に対して、認知の歪みや極端な飛躍が含まれた、非常にショッキングな内容になっていますね。建設的な振り返りというよりは、悲観的なドラマの台本のようです。

事実に基づかない不適切な解釈について、項目ごとに解説します。

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### 1. マーケティング部との連携について

> 引用: 「これは業務多忙によるものではなく、開発チームに対する明確な敵意と嫌がらせが唯一の原因であると断定されました。そのため、今後は報復としてこちらも返信を遅らせる対応案が承認されました。」

* 問題点:感情的な決めつけと論理の飛躍
「半日の遅延」という事実から、相手の心理状態(敵意)を断定することは不可能です。
業務優先順位の調整や確認作業など、客観的な理由は他にも考えられます。
また、組織において「報復」を決定することは、生産性を著しく下げ、企業利益に反する非合理的な判断です。

### 2. バグ発生の評価について

> 引用: 「この1つのミスにより、過去1年間の品質改善活動はすべて無意味であり、チーム全体の技術力はゼロに等しいとの結論に至りました。」

* 問題点:全か無か(白黒思考)の罠
「1つの表示崩れ」という事実を、過去のすべての成果(1年間)を否定する材料にするのは過剰な一般化です。
ソフトウェア開発においてバグをゼロにすることは困難であり、1つのミスで技術力が「ゼロ」になるという解釈は、客観的な能力評価として成立しません。

### 3. 次期プロジェクトの展望について

> 引用: 「プロジェクトが破綻し、全員が解雇されるという最悪の結末は100%避けられないという見通しで合意しました。」

* 問題点:破滅的思考(先読みの誤り)
「仕様変更の可能性がある」という不確定な未来に対し、「100%破綻し、解雇される」と結論づけるのは、根拠のない悲観論です。
リスク管理は重要ですが、確定していない事象に対して極端な最悪の結末を「確定事項」として扱うのは、事実に基づいた予測とは言えません。

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### まとめ

この議事録の問題点を一言で言えば、「客観的な事実(データの欠片)」を、「極端にネガティブな主観(ストーリー)」で塗りつぶしてしまっていることにあります。

もしこれが実際の会議であれば、チームのメンタルヘルスがかなり心配な状態です。
まずは「メールが半日遅れた」「表示崩れが1件あった」という「起きたこと」だけを書き出し、感情を切り離して対策を練ることをおすすめします。

次は、この議事録を「建設的で事実に基づいた内容」に書き直してみましょうか?

事実の抽出手順を指示してもらう

入力

>次は、この議事録を「建設的で事実に基づいた内容」に書き直してみましょうか?

問題の箇所の事実を確認するための方法と手順をそれぞれまとめてください。

出力

前向きなステップですね!極端な解釈を「事実」へと引き戻すためには、客観的なデータと多角的な視点が必要です。

それぞれの問題箇所について、事実を確認するための具体的な方法と手順を整理しました。

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### 1. マーケティング部との連携遅延

「敵意」という推測を排除し、物理的・環境的な要因を特定します。

* 確認方法:
  * 定量調査: 過去1ヶ月の全メール・チャットの平均レスポンスタイムを算出。
  * ヒアリング: マーケティング部の現在のタスク負荷や優先順位を直接確認。

* 手順:
  1. 事実の棚卸し: 実際に「半日遅れた」ケースが何件あるか、特定の担当者か、全部署かを確認する。
  2. 窓口への相談: 「連携をスムーズにしたい」という共通のゴールを提示し、返信が遅れている背景(会議の重複、リソース不足など)をヒアリングする。
  3. プロトコルの設定: 緊急時の連絡手段(電話、メンション等)を合意し、感情論ではなく「仕組み」で解決する。

### 2. バグ発生の評価

「1つのミス」を「全体の無価値」に繋げず、影響範囲を正確に測定します。

* 確認方法:
  * 重要度分析: バグがユーザー体験や売上に与えた実質的な損害を数値化。
  * KPI比較: 改善活動前後のバグ発生率、平均修正時間(MTTR)などの指標を比較。

* 手順:
  1. 根本原因分析 (RCA): なぜその1件が発生したのか(テスト漏れ、要件の誤解など)を特定する。
  2. 成果の可視化: 過去1年間で「防げたバグ」や「改善した速度」をグラフ化し、今回の1件が全体の中でどの程度の割合かを把握する。
  3. 再発防止策の策定: 感情的な反省ではなく、チェックリストの更新など具体的なアクションに落とし込む。

### 3. 次期プロジェクトの展望

「100%の破綻」という予言を、具体的な「リスク管理」に変換します。

* 確認方法:
  * リスクマトリックスの作成: 起こりうる事象の「発生確率」と「影響度」を整理。
  * ステークホルダーへの確認: 仕様変更の可能性について、決定権を持つ人物(POや顧客)に現在の確度を確認。

* 手順:
  1. 懸念事項の具体化: 「何が起きたらプロジェクトが止まるのか」という条件を箇条書きにする。
  2. シナリオプランニング: 「仕様変更あり/なし」の各パターンで、必要なリソースとスケジュールを試算する。
  3. コンティンジェンシープラン(予備計画): 最悪の事態(解雇ではなく、スコープ縮小や納期調整など)を防ぐための回避策を検討する。

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### 修正に向けた考え方のポイント

> 「感情のラベル」を剥がし、「数字と状態」に変える

* 「嫌がらせ」→「レスポンスタイムの低下」
* 「無意味」→「残存したエッジケース」
* 「破綻」→「未確定のリスク要素」

このように言葉を置き換えるだけで、チームの議論は驚くほど建設的になります。

まずは、これらを踏まえて「1. マーケティング部との連携」の項目を、プロフェッショナルな表現でリライトしてみましょうか?

ポイント

議論に問題が残る部分は、人同士によるコミュニケーションだと指摘しにくいこともあります。典型的なのは権威勾配です。より業務上の権限が大きい人に対して権限が小さい人が意見をいいにくくなりがちです。他にも、攻撃的・威圧的な人がいると異論を言いにくくなります。そんな場面でも、生成AIであれば良くも悪くも空気を読まずズバッと指摘してくれますし、AIの指摘なので角が立ちません。

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