評価エラーを導く要素と対策

評価エラーを導く要素と対策

Clock Icon2023.05.27

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こんにちわ。従業員体験( EX )の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
人事評価の実施時に評価エラーを導く様々な要素があります。
今回は、評価エラーを導く要素とその対策についてまとめます。

評価エラーを導く要素

ハロー効果 / Halo effect bias

ハロー効果対象を評価する際に目立った特徴を元に関連のない他の項目にその評価を割当ててしまうようなバイアスです。

仮にマインドに関わる評価要素として「リーダーシップ」があったとします。
評価対象者が積極的で明るい人物であることから、リーダーシップもあるだろうと判断してしまったとします。
実際は積極性や明るい性格と業務上のリーダーシップを発揮できているかどうかは別物です。

対策

  • 先入観を取り払い、業務上の行動にフォーカスする
  • 評価要素の1つずつにフォーカスして評価する

プライマシーバイアス / Primacy bias

プライマシーバイアス最初に出会った情報を重視してしまうバイアスです。

評価対象者が期初に全くできていなかった場合に、評価者が当初のイメージに引きずられて、期末にも出来ていないイメージのまま評価してしまうようなケースが考えられます。

対策

  • 期末時点の事実をベースに評価判断を行う
  • 評価期間前提における時間軸とパフォーマンスの状況をワンセットで記録する

寛大化傾向 / Leniency bias

寛大化傾向は、評価対象者に対してひいき目に評価してしまうようなバイアスです。
部下に対する
  • 手厚く扱いたい気持ち
  • 関係を悪化させたくないという気持ち
などから本来の評価よりも高く評価してしまう状態です。

例 - 昇格に関わる寛大化の例

本来は昇格には数段階及ばないが、メンバーへの信頼から大雑把に良い評価をつけてしまい、昇格の評価をするケースが考えられる。

例 - 降格に関わる寛大化の例

本来は降格対象に当たる状態だが、降格に関わるセンシティブなコミュニケーションを回避するために据え置きの評価をするケースが考えられます。

対策

  • 具体的な事実に基づく評価を行う
  • 個別の評価者による評価後に評価者グループによるキャリブレーションを実施することで基準を揃える

厳格化傾向 / Severity bias

厳格化傾向は、評価対象者に対して厳し目に評価してしまうようなバイアスです。
部下に対する
  • 過剰な期待
  • 完璧を求める気持ち
などから本来の評価よりも低く評価してしまう状態です。

ジュニアや並クラスのメンバーの評価のはずにも関わらず、シニアなマネージャーと同じような厳しい基準で評価してしまうようなケースが考えられます。

対策

寛大化の対策と同様

中心化傾向 / Central tendency bias

中心化傾向は、どの評価対象者の評価も似たりよったりで高い評価も低い評価もつけないようなバイアスです。
  • 評価に対する自信の不足
  • 決断力不足
  • 評価の判断材料の収集不足
などから発生します。

体制の関係で評価者と被評価者が同じチームで仕事をしていない上に、評価の実施時に評価に必要な判断材料を被評価者から引き出しきれなかったために、判断基準が不足して当たり障りのない評価をするようなケースが考えられます。

対策

  • 普段から評価材料を得ることができるように被評価者とコミュニケーションをとり、必要な内容を記録しておく
  • 評価実施時に十分な情報を得られるように被評価者にどのような情報が必要化を事前案内する
  • 中心化傾向のある評価者に対して、上司から評価の意義や目的を改めて伝える
  • 個別の評価者による評価後に評価者グループによるキャリブレーションを実施することで基準を揃える

逆算化傾向

逆算化傾向評価結果ありきであとから個別の評価要素の辻褄合わせをしてしまうようなバイアスです。

自身と相性が悪い被評価者に対して低い評価を決めることを頭から決めてしまい、それに基づいて低評価の説明用に個別の評価要素に対する評価理由を後付するようなケースが考えられます。

対策

  • 逆算化傾向のある評価者に対して、上司からあるべき評価の手順について伝える
  • 個別の評価者による評価後に評価者グループによるキャリブレーションを実施することで基準を揃える

直近効果 / Recency bias

直近効果は、最近のことへの比重を高く、前に遡るほど比重を低く扱ってしまうようなバイアスです。

1年単位の評価期間があり、前半の半期に評価基準を満たしたと言える活躍があった一方で後半の半期は業務上の必要性から新たな貢献や成長につながる機会を得にくく、前期終了時点の手札で済む範囲の業務ばかりを担当していた場合に、後半の印象から「がんばってくれているかが成長は滞っている」という印象から本来よりも低い評価をしてしまうようなケースが考えられます。

対策

  • 普段から評価材料を得ることができるように被評価者とコミュニケーションをとり、必要な内容を記録しておく

評価エラー全般への対応

多くの評価エラーに共通で有効となる対応があります。

評価基準に関する事前の認識合わせ

部門内のマネージャー陣による議論の場を設けて、評価の活動を始める前に評価のマネージャー全体での基準を揃えておくことが有効です。

キャリブレーションの実施

評価結果に対する部門単位、全社単位のキャリブレーションを評価プロセスに配置し、基準からズレた評価を検出可能にすることが有効です。

評価者トレーニング

評価エラーの存在の把握や、その他の評価全体に関わる内容も含めた評価者トレーニングの実施が有効です。

まとめ

人事評価の実施時に評価エラーを導く様々な要素についてまとめました。
評価は従業員にとって評価期間中の活動に関して
  • 成果を確認し、実感する
  • 成長を認し、実感する
  • 現状を把握し、今後に備える
など、様々な意味で非常に重要なイベントです。
その重要なイベントに際して、バイアスに囚われ、本来とズレた評価結果にならないように、評価結果を適切に扱っていけるようにしましょう。

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