M5Stack StopWatchで技適未取得機器の特例制度を使ってみた

M5Stack StopWatchで技適未取得機器の特例制度を使ってみた

AliExpressで購入した技適マークのないM5Stack StopWatchを国内で試すため、総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」で届出をしてみました。制度の概要と、アカウント発行から届出完了までの流れを紹介します。
2026.10.18

「ガジェット輸入してみた。これ面白そうやん。けど、Wi-Fi使ったらお縄になるかもしれない!!」

ガジェット好きの皆さん、一度はこんな悩みを抱えたことあるんじゃないでしょうか。私はあります。

今回は、そんな輸入ガジェットの検証のために、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度 を利用して、実験の届出をしてみたのでその様子をお届けします。

「技適が壁になってガジェット検証できない…」などの悩みの解決にはうってつけの制度なので、是非この記事を参考に、そんな悶々とした日々からおさらばしてください!

そもそも技適とは?

「技適」は、電波法に基づく技術基準適合証明(および工事設計認証など)の略称です。無線機器が、日本の電波法令で定められた技術基準(使ってよい周波数や送信出力など)に適合していることを証明する仕組みで、適合が確認された機器には「技適マーク」が表示されます。

電波は限られた資源で、多くの人や社会インフラが共有して使っています。そのため日本では、電波を出す機器を使うには原則として無線局の免許が必要です。ただし、Wi-FiやBluetoothのような小電力の機器は、技適マークが付いていれば免許なしで使える、というルールになっています。

逆に言えば、技適マークが付いていない機器でWi-FiやBluetoothを使うと、電波法違反になる場合があります。総務省のQ&Aでは、電波法違反の場合は「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」の対象になると説明されています。

そうです。普通に法令違反です。無邪気にやるもんではないです。

海外の機器でも、米国のFCCや欧州のCEなど、その国・地域の認証は取得しているケースがほとんどです。ただし、それは日本の技適とは別物です。海外の通販サイトで買ったガジェットが「FCC取得済み」でも、日本の技適マークがなければ、そのままでは国内で電波を出すことはできません。

総務省 電波利用ポータル|電波監視|技適マークのQ&A

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度とは?

とはいえ、「新しいガジェットを試したいだけなのに、技適の取得なんてさすがにめんどくさいし、現実的じゃないなぁ」というのが正直なところ。そこで用意されているのが、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度です。

技適マークがない機器でも、一定の条件を満たし、事前に届出をすれば、短期間の実験等に限って使えるという制度です。主なポイントは以下のとおりです。

  • 対象となる目的: 180日以内の短期間の実験・試験・調査で、次のいずれかに該当するもの
    • 科学または技術の発達のための実験
    • 電波の利用の効率性に関する試験
    • 電波の利用の需要に関する調査
  • 対象となる機器: Wi-Fi、Bluetoothなどの規格の機器で、電波法の技術基準に相当する外国の基準(FCCなど)に適合していることが確認できるもの
  • 手続き: 使用開始前にWebで開設届出を行う。届出から180日以内に廃止し、廃止届出を行う
  • 届出の性質: 許可制ではなく届出制。事前審査や許可・承認はなく、届出が到達した時点から特例の効力が生じる

注意したいのは、あくまで「実験等」のための制度だという点です。届出が受け付けられても、実際の機器や使い方が制度の要件を満たしていなければ特例の効力は生じません。

恐らく個人の検証目的では問題にならないと思いますが、例えば公共の場所での常設運用は、制度の「短期間の実験等」という前提に当てはまりません。

また、同じ目的・規格での届出は1回限りで、途中で機器の台数を増やすこともできません。携帯電話事業者のLTEや5Gなども対象外です。

つまり、「届出さえすればずっと使える」わけではなく、期間と目的を区切って、自己責任で正しく使うための制度です。とはいえ、条件を満たしていればオンラインで手続きが完結するので、ガジェットを試したい個人にとってはとてもありがたい仕組みですね。

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度(総務省 電波利用ポータル)

今回届出する対象の機器

AliExpressで購入した、M5Stack StopWatchです。イカス!

PXL_20261009_140508855.MP.jpg

PXL_20261009_142038986.MP.jpg

  • 製品: M5Stack StopWatch Dev Kit(型番 C152 / ESP32-S3R8)
  • FCC ID: 2AN3WM5STOPWATCH(申請者: M5Stack Technology Co.,Ltd/認証日: 2026-05-21/Class: Digital Transmission System・FCC Part 15C)
  • 対象周波数: 2402.0–2480.0 MHz(Bluetooth/BLE)/2412.0–2462.0 MHz(2.4GHz Wi-Fi)
  • ※特例制度では、外国の技術基準(FCC等)への適合が条件です。この機器はFCCの認証を受けているので、条件を満たします
  • ハードウェア資料

購入のきっかけは、なんかの動画を見たからです。正直忘れた…もともとM5StackChanのことはよく知っていたんですが、スマートウォッチも大好物な私、一目惚れして買いました。

スイッチサイエンスとかだと、国内販売しているんですが、売り切れが続いて買えなかったんですよね。残念。

実際に届出してみた

ここまで前置きめっちゃ長かったんですが、実際に届出の様子をお届けします。公式のサイトはこちら。

総務省 電波利用ポータル|その他|技適未取得機器を用いた実験等の特例制度

届出の手順は、こちらのページで解説されています。

開設届出について|ご利用ガイド|電波利用電子申請

対象機器が、特例制度を利用できるかどうかは、こちらで判断可能です。M5Stack Stopwatchは、FCC認証があり、またWi-Fiの規格も特例制度対象です。

GUDS0055_02.png
(引用:https://www.denpa.soumu.go.jp/guide/app_t/GUDS0055/index.html)

その他注意事項も全て公式ページに記載があるので、読み進めて実際に届出開始!

電波利用電子申請で利用するアカウントの発行

いざ届出に進もうと思ったんですが、一番最初に、電波利用電子申請で利用するアカウントの発行が必要です。

アカウント発行:事前準備 | 電波利用電子申請

ここで本人確認情報を入力する必要があるんですが、なんとなくみてると、マイナンバーカードが一番手っ取り早そうに見えたので、私はマイナンバーカードを使うことにしました。マイナンバーカードの読み取りなども必要になるので、このアカウントの発行はスマホで進めます。

手続き自体は非常に明確なので、マイナポータルがうまく使えていれば特につまるところは無いと思います。

1点注意。途中で電波利用電子申請アカウントで利用するサービスを選択するところが出てくるのですが、その時はこの「技適未取得機器に関する届出の手続き」を選択します。その他の部分もついでにチェックしておくかという気持ちになるかもですが(私はなった)、この後の手続きで免許番号とかを聞かれます。わからないやつは、選択しないでおきましょう。

Screenshot_20261009-235353.png

特に入力不備とかがなければ、即(私の時は1分もかかりませんでした)メールが届きます。

【本人確認完了のお知らせ】総務省 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度

メールのURLからログインすると、マイナポータル連携用のアカウントIDが発行されています。このIDで連携を済ませれば、届出の手続きができるようになります。

めでたしめでたし。

開設届出

下のほうに「新規申請を開始」ボタンがあるのでクリック。

途中、実験等の目的を入力する必要があります。雛形が用意されており非常に親切。私はこんな感じで入力しました。

Screenshot_20261010-001707.png

緊急連絡先などの追加情報を入力し、提出。私の場合は一瞬で、以下件名のメールが送信されてきて、無事開設届出は完了しました。

【開設届出受付のお知らせ】総務省 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度

メールには、届出番号とかも含まれているので、きちんと保管しておきましょう。

届出後、運用中に気をつけること

届出が完了したら、すぐにWi-Fiを使った検証を始められます。ただし、届出をすれば何でも自由に使えるわけではなく、運用中にも守るべきことがあります。

  • 届け出た範囲内で使う: 目的・規格・機器は、届け出た内容の範囲内で使います。目的と規格はあとから変更できず、機器の台数を途中で増やすこともできません
  • 特例期間は届出日から180日: 期間は運用開始日ではなく、届出日から数えます。届出だけ先に済ませておくと、実際に使える期間がその分短くなるので注意しましょう
  • 変更があれば事前に変更届出: 設置場所・移動範囲の追加や、故障による機器の交換(識別番号の変更)は、変更届出で対応できます
  • 誤って不法無線局として使われないよう管理する: 総務省は管理の例として、機器に「技術基準への適合が確認されておらず、特別な条件の下でのみ使用が認められている」旨を表示・添付することを挙げています。ほかの人に使ってもらう場合は、同じ内容を案内したうえで、使い終わったら回収します
  • 運用状況の確認や命令の可能性がある: 総務省が届出内容や実際の運用状況を確認することがあります。また、混信のおそれがある場合は、障害除去・防止命令等の対象になる可能性があります

実験が終わったら廃止届出

実験等を終えて無線局を廃止したら、遅滞なく廃止届出を行う必要があります。特例期間の180日を過ぎて使い続けることはできないので、期限までに利用を終えて、必ず廃止届出をしましょう。私の場合は10月10日に届出をしたので、2027年4月上旬が期限です。忘れないように、カレンダーに登録しておきました。

手続きは、電波利用電子申請の「過去申請履歴照会」画面で該当する届出を選び、詳細画面の[廃止届出を開始する]ボタンから行います。

廃止した後も、機器を回収するなどして、誤って不法無線局として使われないように管理する必要があります。手元に残しておく場合も、うっかり電波を出してしまわないよう気をつけましょう。

廃止届出について|ご利用ガイド|電波利用電子申請

費用と所要時間

実際にやってみた感想をまとめてみます。

項目 実際
費用 無料(手数料の支払いはありません)
アカウント発行 マイナンバーカードで本人確認。完了メールは1分以内に届きました。この素早さは本当にありがたい
開設届出 提出後すぐに受付メールが届きました
全体の所要時間 60分程度

申請自体は非常に楽なので、お気軽にやるのがおすすめ

以前から、この技適未取得機器の特例制度があることは知っていたのですが、今回初めて実際に申請してみました。入力項目などは慣れていないと戸惑う部分もありますが、手続自体は非常によくまとまっていて、各種レスポンスも爆速です。

「このガジェット試してみたいけど、技適無いんだよなぁ…」と躊躇しているそこのあなた。実験用途という縛りはありますが、そんなに時間も手間もかからないので、この特例制度の利用を検討してみるのもありかと思います。

それでは今日はこのへんで。濱田孝治(ハマコー)でした。

この記事をシェアする

関連記事