【HM26総まとめ】初参加だから語れるハノーバーメッセ2026 〜フィジカルAIとデータ連携の転換期〜 #HM26

【HM26総まとめ】初参加だから語れるハノーバーメッセ2026 〜フィジカルAIとデータ連携の転換期〜 #HM26

HANNOVER MESSE 2026の現地取材シリーズの総まとめです。初参加のエンジニアが現地で感じた「衝撃」を軸に、フィジカルAI(人型ロボット)が間違いなく工場に入ってくる未来、そしてデータ連携が「集約」から「収集」へと変わっていく転換期について振り返ります。半月以上経っても消えない熱量、現地でしか得られなかった感覚を、初参加だからこそ語れる目線でそのまま言語化してみました。これからHMに行ってみたい人にも、現場のDXに悩んでいる人にも持って帰れるものがあるはずです。
2026.06.02

概要

こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の田中聖也です。
HANNOVER MESSE 2026 (ハノーバーメッセ) の現地取材シリーズも、いよいよ総まとめです!
4月にドイツで5日間どっぷり現地取材して、ブログ・YouTube・登壇でアウトプットし続けてきたんですが、半月以上経った今でも正直まだ語り足りないくらいの熱量が残っています。
この記事では、初参加だった自分の目線で、現地で感じたことを改めて言語化してまとめておきます。

この記事では以下のことに触れていきます。

  • 初めてハノーバーメッセに行ったからこそ感じたこと
  • フィジカルAIが間違いなく工場に入ってくるという確信
  • データ連携が「集約」から「収集」へ変わっていく転換期
  • これからハノーバーメッセに行く人へ伝えたいこと

初めてハノーバーメッセに行ったからこそ感じたこと

まず大前提として、自分は今回が初参加でした。
ハノーバーメッセとは、ひと言でいうと産業技術・製造業のための世界最大級の産業見本市です。日本だと「ものづくりワールド」や「JIMTOF」が近いんですが、扱っている幅があまりにも広くて、ロボットも水素も部品もスタートアップも国別パビリオンも全部入っている、という感じでした。

会場は本当に広いです。
1日かけて回ってもホール1つ終わらないくらい広くて、初参加の自分は規模感だけでまず圧倒されました。

ただ、初めて行って一番大きかったのは規模よりも熱量です。
これは好きなアーティストのライブに行く感覚に近くて、「製造業がこう変わっていくぞ」という熱は、現場じゃないと絶対に分からない。実際、自分も現地で燃えるものがあって、「ここからまたやっていくぞ」という気持ちになりました。

文化的な違いも初参加だからこそ新鮮でした。日本の展示会だとQRコードを読み取られたりノベルティを次々渡されたりすることがありますが、現地は全然ビジネスチックじゃなくて、自分のペースで回れるんです。「今すぐ商談に繋げたい」というより、「この技術が現場のどんな課題を解決するのか」を、いろんな人が生き生きと話してくれる。気になったブースに気軽に入っていけるので、自然と視野が広がっていく感覚がありました。
夕方15〜16時頃になるとブースでビールが出てきて、リラックスした雰囲気になります。あるブースでは「明日は15時からハッピーアワーなんだけど、20時で終わっちゃうから短くアグレッシブに行こうね」と言われました。この時期のドイツは20時でもまだ明るいので、そういう雰囲気も含めて独特でした。

そしてもう一つ、専門知識があるとなお楽しいということ。
自分はスタートアップのセンサーブースを回っていたんですが、英語はそんなに得意じゃなくても、製造業の専門用語が分かると話に入っていけるんです。逆に専門用語が分かると向こうも濃い話をしてくれる。だから、メカや現場の知識がある方が行くと、自分たちとはまた違う興奮ポイントで楽しめると思います。

正直、初めての参加でここまで持って帰れるものがあるとは思っていませんでした。これは絶対に現地に行くべきだと、初参加だからこそ強く言えます!!

フィジカルAIは間違いなく工場に入ってくる

ここからが、現地で一番衝撃を受けたテーマです。フィジカルAI(物理世界で動くロボットに搭載されたAI)は、間違いなく工場に入ってきます。これは現地を見て確信に変わりました。

会場はもう、人型ロボット(ヒューマノイド)だらけでした。ロボットアームやAGV (Automated Guided Vehicle、無人搬送車) はもちろん、人型ロボットがそこら中で動いていて、ロボットを展示しているだけでは目を引かないくらいの密度です。

面白かったのが、ロボット専業メーカーだけでなく、ITの会社のブースの中にロボットがいるという光景でした。たとえばAWSのブースの中にもロボットがいて動いていて、「ロボットを作る話」ではなく「ロボットを現場でどう使うか」「ITとどう繋ぐか」までセットで見せていたんです。ここがすごく重要で、もうロボット単体で終わっていない。現場で使えるようにITと連携させるところまでしっかり考えられていました。

2台のヒューマノイドが「協調」して組み立てる

特に衝撃だったのが、2台の人型ロボットが協調してワークを組み立てるデモです。前半工程と後半工程に分かれていて、前半が終わったら後半のロボットが動き出す、という流れがリアルタイムで動いていました。
さらにセンターステージでは、人間2人+ロボット1台がディスカッションしている場面もありました。ロボットがマイクで音を拾ってLLM (Large Language Model、大規模言語モデル) が解釈し、声で応答していて、決められた台本どおりに動くルールベースではなく、リアルタイムにやり取りしているのがすごかったです。

ロボット

進化のスピードが速すぎる

何より感じたのは、進化があまりにも速すぎるということです。
半年前に別の場所で見たヒューマノイドは、机から机へ物を移すだけで2分くらいかかって、しかも失敗していました。それが半年も経たないうちに、ワークを掴んで、人が持つくらいのサイズの部品をしっかり扱って、置いたら次のロボットが動き出す協調動作まで到達しています。

今これを見て「人間がやったら100倍速いやん」と感じる人もいると思います。確かにそうなんですが、来年にはもっとスムーズになっているかもしれないし、再来年あたりには適切な価格で現場導入できるかも、というちょうどその入り口に今いる、という感覚がありました。
実際、先進的なメーカーでは車体の組み立てにヒューマノイドを使い始めていて、「この工程なら行ける」という検証がもう進んでいるそうです。製造工程への導入はもう始まっているんです。

自社に合ったロボットを見つけられるかが鍵

一方で、課題だなと思ったのが自社に合ったフィジカルAI(ロボット)を見つけられるかという点です。
どのロボットメーカーも、AGVから上のアームまで自社のエコシステム(一連の自社サービス群)でトータルに揃えていて、そこを使ってもらえるようにサポートに必死でした。ただ、ロボットのメーカーが違うと学習した内容を転移させるのが難しいんです。

たとえばAメーカーのロボットである作業をめちゃくちゃ学習させても、コストが見合わずBメーカーに替えようとすると、また学習し直しになります。これがベンダーロック(特定メーカーの製品に縛られて他に乗り換えにくくなる状態)につながりやすい。
工場ごとに作るものも使う設備も違うので、自社に合ったロボットメーカーの情報を積極的に収集して、ちゃんと見つけにいくことが結構大切だと感じました。そしてこれは、Webで検索するだけでは正直わからない。動画で見るのと現場で見るのは全然違うので、足を運んで担当者と話さないと見えてこない部分だと思います。この点も、初参加で現場を歩いたからこそ実感できたことでした。

データ連携の転換期:集約から収集へ

もう一つ、自分が現地を通して強く感じたのが、データ連携の仕方ががっつり変わっていく転換期に来ているということでした。

今までは「散らばったデータを1つの箱(中央DB)に集約しましょう」という考え方が主流だったと思います。ただ、これが結構難しい。スキーマ(データの構造)がバラバラだし、そもそもExcelだったりするので、集約すること自体に時間がかかります。
それがこれから、AIが必要なときに必要なデータを取りに行くという形に変わっていくのかなと感じました。キーワードでいうと、「集約」から「収集」へ。思想としては、押し込んで取り込む (Push and Ingest) から、提供されたものを引き出す (Serving and Pull) への転換です。

MCPで自社のデータを取りに行く

その入り口になるのがMCP (Model Context Protocol、AIが外部のデータやツールに接続するための共通の仕組み)です。
自分も検証していて、専用機のセンサーデータをSQL Serverから自然言語で取得して、そのままExcelにエクスポートする、という流れを実際に動かしてみました。これまでマクロ職人さん(Excelマクロを書ける特定の人)に頼んでDBからデータを取ってもらっていたものが、その人がいなくてもできるようになる、というイメージです。

バラバラのままでもAIが繋ぐ

Microsoftのブースで見たデモも、まさにこの流れでした。
Teamsのチャットで「この設備の状態を教えて」と聞くと、AIがTeams・Excel・Wordといった散らばった社内データを横断的に参照して回答するんです。今までは1つの箱に集約する必要があったものが、バラバラのままでよくて、AIがいい感じに繋いでくれる。基盤をわざわざ整備しなくてもデータ連携ができる、というのが現物で展示されていて、これはめっちゃ刺さるデモでした。

Microsoft

ODSで他社のデータを取りに行く

MCPが「自社の中のデータを取りに行く」仕組みなのに対して、ODS (Open Data Spaces) は「他社の中のデータを許可された範囲で取りに行く」という、組織間のデータ連携の考え方です。

https://www.ipa.go.jp/digital/opendataspaces/

2026年4月にIPA (情報処理推進機構) が公開した分散型データマネジメントの技術コンセプトで、ひと言でいうと「データを集めずに、その場に置いたまま、必要なときに、許可された相手だけに、許可された分だけ提供する仕組み」です。1つの巨大なデータレイクを作らず、各社がデータを持ったまま連携する、という思想ですね。

これからは「繋ぐDX」

まとめると、これまでは「集めるDX」でした。これからは「繋ぐDX」、つまりあり物をAIで繋げていく流れになっていくのかなと考えています。
わざわざ新しいシステムや集約用の箱を作らなくても、あり物でどうにかしていく。自分の中ではこれを「ありものDX」と呼んでいるんですが、これがハノーバーメッセで見えてきた、データ活用の大きな転換点でした。

まとめ

初参加で臨んだHANNOVER MESSE 2026を、自分の目線で総まとめしてみました!
フィジカルAIが間違いなく工場に入ってくる未来、そしてデータ連携が「集約から収集へ」変わっていく転換期。この2つの確信と、現地でしか得られなかった熱量は、初参加だからこそ語れるものだと思っています。
来年は、ぜひ皆さんと一緒に現地で感じたいです!!

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シリーズの各記事はこちらです。

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