年間136日ワーケーションしてきた社長が、いま、もっともオススメの場所

2021.12.21

1.高知県 日高村で1週間ワーケーション

WINEをこよなく愛するネクストモードの里見です。
  1. 高知県 日高村で1週間ワーケーション
  2. 田舎+東京が面白い
  3. 日高わのわ会との出会い 田舎に触れて自分が変わった
  4. 特定非営利法人だからこそ自立して稼ぐ
2020年7月にネクストモードという会社を設立してから、1年で136日ワーケーションをしてきました。綺麗な空気や景色に憧れて、田舎暮らしを求めて行ったことのない場所でワーケーションをするようになりました。富士山、八重山諸島、鶴居村、上高地、と20ヵ所以上をまわり、コロナで海外に行けないこの期間、国内の自然の美しさを再発見しました。星がこんなにも綺麗でたくさん見えたこと、知らない植物がこんなにもあって、猪や鹿だけでなく、山羊の肉まで食べさせてもらいました。東京で食べるジビエは獣臭いイメージがあったのですが、里山の木の実を食べている動物は、新鮮で美味しいことを知りました。
そんな中で心を痛めたのは、東京と地域大企業と中小企業若者と高齢者男性と女性、といった、東京では見えにくい、見て見ぬ振りをしてきた課題がたくさん見えてきたことです。東京に比べて収入が低く、産業の少ない地域で過ごしていると、いずれそう遠くない未来にこのまま衰退していく姿が見えて、寂しい気持ちになります。村や町もどうにかしようともがいていて、過疎を免れようと奮闘しているのですが、なかなか民間との連携が上手くいかず、助成金も有効に使えてないようにみえました。
モヤモヤが溜まって少しワーケーションに疲れていた矢先、2021年12月4日~11日で高知県日高村のEat&Stay とまととで1週間ワーケーションをしてきました。毎日が驚きの連続で、地方発の自立した取り組みに触れ、本来の意味で地方創生があると思い、自分なりに日高村での経験をまとめてみたいと思いました。

2.田舎+東京が面白い

Eat&Stay とまとと」では日高村のトマトを使った料理が食べられる

 

いろいろな場所でワーケーションをしていると、気に入った場所に住みたくなることがあります。ネクストモードはどこでも働けるため、パソコンの中に東京を詰め込んで、普段の生活は地方を満喫する、そんな暮らしをしているメンバーもいます。
「Eat&Stay とまとと」を運営する小野さんは、地方での暮らしを100%にするのではなく、ハイブリッドが面白いと言います。
小野:「2拠点の生活がいちばんいいのではないかと思います。地方もいいけど、やっぱり東京は面白い。両方あるから楽しい。お洒落なイタリアンとか、日高村にはないんです。東京には最先端のサービスがあるし、仕事も面白い。スキルアップしようと思ったら、やっぱり東京じゃないとできないことはある。」
ワーケーションや2拠点暮らしは、東京と地方のいいとこどりができるという意見で、移住だけが選択肢ではないと、小野さんは言います。
小野:「地方にいると、いろんな経験ができて、横には伸びるんです。夏の仁淀川で天然のウナギを取ったり、疲れたら霧山茶園でお茶畑の地平線を眺めたり、そんな、ここじゃないとできない体験があります。高知と言えばカツオですが、それだけじゃなくて、「萩の茶屋」で長太郎貝を焼いて食べたり、「宇佐もんや」でウルメイワシの刺身で飲んだり、いろんな食があります。それらの資源を活用した地域活性プロジェクトも面白い。だけど、縦には伸びにくい。つまり一つの分野でスキルアップをしていく、みたいなことはやりにくいんです。しょっぱいものがあるから、甘いものが無性に食べたくなるみたいな感じです(笑)人生には『対局なもの』がいくつもあった方が、バラエティに富んでて楽しいと思うんです。」
霧山茶園の20万平方メートル(東京ドームの約5倍)の茶畑
小野さんは、日高村をセカンドプレイスとして選ぶことで、自分らしく居られたという。
小野:「自分にも社会にも誠実でありたいという想いが、日高村では満たされた気がしたんです。震災があって、社会との向き合い方が変わったのかもしれません。社会のものさしで見るのではなく、自分らしくいることを起点とする大切さを学んだんだと思います。純粋に自分が関わりたい、貢献したいという想いを大切にしたい。」
儲からない、ビジネスにならないから請け負わないという東京の仕事の仕方に、小野さんは疑問を感じていたのかもしれません。小野さんが持つ広告のスキルは、小野さんが応援したい活動分野で使いたい、そう思って日高村に飛び込んだのは、小野さんにとって自然な行動だったのでしょう。
SNSが普及する中、企業からの抽象的メッセージよりも、個人の想いやストーリーが具体的に感じられる言葉が信じられる時代になりました。そんな世の中になって、従来型の会社のビジョンと目の前の仕事がリンクしにくくなり、自分の仕事が世の中の為になっているのか、自分じゃなくてもいいんじゃないか、そんな疎外感を感じている人が、小野さん以外にも増えているのかもしれません。従業員がいい意味でわがままになっていて、縮小する日本経済のなかで自分の仕事に見出す意義を探しはじめたのかもしれないと思いました。
コロナ禍で社会の価値観が変容し、組織のあり方が問われる現在、「組織で働く意味とは何か」という問いに真摯に取り組む「Eat&Stay とまとと」は、多くの人の支援を得はじめています。

3.わのわ会との出会い 田舎に触れて自分が変わった

日高村を選んだきっかけは、日高わのわ会との偶然の出会いが大きいようです。
小野「日高わのわ会、本当にすごいんです。うまく言えないんですけど、東日本大震災をきっかけに世の中の為になにかをしたいと思っていた私に、ここには何かがあるかも...!って思えたボランティアが日高わのわ会です。事務局長の安岡千春さんに会って、人生が変わりました。お金のため、企業のためでなく、地域の困りごとを解決するために活動する団体がある。ほんとうに困った人たちに、ほんとうの手助けをしている。そんなまっすぐな活動に惹かれました。」
日高わのわ会の活動では、村のためにできることはなにか、どうすれば世の中が良くなるか、強いもののためでなく、困っている弱いひとたちのために、純粋に考えることができたようです。
小野「安岡千春さん、わたしからしたらめちゃくちゃ地域貢献してるんですよ。でも本人はそんなふうに思ってないようなんですけどね。だって自分の家の敷地に、障害者のグループホームを作っちゃうんですよ。障害者が地域にくるのは嫌だと言う人がいる中で、自分の家を改修し門限がない主体的に暮らせる場所で、管理するのではなく、自分で自分の生活をつくる生活施設を作った。こういう活動をたくさんする日高わのわ会の取り組みを自分なりに発信して貢献していけたらいいなと思った。」
自宅の敷地に作った障がい者グループホーム「輪が家」
たしかに、日高わのわ会の活動は独特で、地域のコミュニティがそのまま事業になっている、稀有な団体です。多くの人がイメージする、古き良き田舎の良さとビジネスの融合。貧しい時代に、本当は田舎の良さなんてものはなかったのかもしれません。それでも、ここには貧しい時代の土着の繋がりや血縁の繋がりの煩わしさからは解放された、現代的な田舎の良さがあることを感じさせます。
小野「当初は、日高村に来た際には、東京の仕事のスピードと違い過ぎて、イライラしました。だって、なんでもかんでも非効率なんです。例えば1日中、仕事もしないでおしゃべりばかりしている人がいる。もっと手を動かしてくれれば、生産性が上がるのにって、改善するべきだって提案しました。話してばかりいて、ちっとも仕事が進まない。でも、その女性がいると、何故か理屈ではなくて物事がうまくいく。私が説得できなかったことを、そのおばちゃんはニコニコしながらいつの間にか、気が付くとみんなで仲良くやっている。安岡さんの言葉を借りると、「その人はその人の役割がある」ということなんだと思います。
聞く力がとても養われたそうです。東京の価値観だけでなく、地方の価値観を知る。そんな経験がひとつひとつ重なると、評価軸を複数持つことができて、優しくなれるのかもしれません。
深夜にも関わらず、わのわ会の取り組みを語ってくれた安岡千春さん
小野「東京のやり方を持ち込んで効率的に働いてもらっても、意味がないんです。違う価値観に触れて思いました。地方は地方のままでいてもらわないと、この異なる価値観がなくなってしまう。東京と同じになってしまっては、地方の意味がない。変わって欲しいところと、変わってほしくないところがあって、お互いの部分をそのままの姿で活かせるか、そんな風に考えるようになりました。」
田舎という他者に触れて、東京都は違う視座が得られた。そして、自分が変わっていった経験を、目を輝かせて語ってくれました。
地域がわかるということは、それによって自分が変わることなのではないかと、小野さんを見ていると感じます。このブログでは楽しく働くことの重要性を書きましたが、楽しいのは小野さん自身が変化していっているからでもあると思いました。

4.特定非営利法人だからこそ自立して稼ぐ

NPOである「日高わのわ会」には1億円もの収入があり、産業を創出するポテンシャルを持っています。NPOは非営利なので稼いではならないと思っていましたが、そう考える日本の特殊性を日高村で知りました。世界的にはたくさんのNPOがあって、たくさんのお金を回しているようです。制度の違いがあるため、一概に比較ができませんが、調べてみると、アメリカの学生の就職ランキングではTOP20に3つのNPOが入っています。当然、そこで働く人も多く、寄付金の額も20倍以上です。(https://www.pref.chiba.lg.jp/kkbunka/npo/kaigai/documents/1syou.pdf)
ボランティアからはじまった日高わのわ会が、NPOとして地域にお金を生み、雇用を促進する団体にまでなったように、結果として稼ぐビジネスが後から付いてくる。そんなスタンスのコミュニティが、もしかしたらこれからのスタンダードになるのかもしれません。
もちろん、なんでもお金にしない方がいいところはあります。NPO法人の活動は、お金にしないところに隙間ができて、価値が溜まっている部分がある。ギブファーストのかたまりで、感謝の貯金みたいなものから、日高わのわ会の収益が産みだされていると感じました。
これまで廃棄されていたトマトを使ったわのわ会の製品
そんな日高村の良さを、そのままビジネスに繋げていきたいと思い、地方発の産業を立ち上げるチャレンジがはじまっています。いまはトマトに含まれるGABAに着目した栄養ドリンクを研究しているようです。あくまで地方にこだわって、日高村の特産品を使った地方発の産業を作っていきたいという想いが詰まっています。
小野:「東京に頼ってビジネスをしてると、いずれ飲み込まれてしまう。地方は地方で、自分たちのことは自分たちでやっていきたい。これまでの自分の枠内の視点で考えて、東京の価値観を地方に押し付けても、本来的な出会いはありません。自分の外に、違う視点が地域にあることに出会ってはじめて、はじまる何かがあると思うんです。ひとつの地方で成功した事例を、東京の企業はすぐに横展開したがるけれども、横展開できる時点で地方の良さはなくなって、東京の企業に搾取されるだけになります。そんな誠実さをこれからも大事にしていきたいと思ってます。」
これまで企業は人々の課題を解決し、生活を良くしてきたが、お金にならないことには取り組むことが難しかった。しかし、困っている人がいてそれを必要としているのなら、そしてそれがお金にならないのであれば、お金にする方法を考えて、お金をまわしていく方法(ビジネス)をかんがえる企業を作っていけばいい。
少し前にユニコーン企業(時価総額10億ドル超の未上場ベンチャー)が注目されていましたが、これからはゼブラ(持続可能な成長の目指すスモールカンパニー)が注目されています。小野さんの企業は価値観の多様性を縞模様に描く新しい価値観のゼブラ企業なのかもしれません。
「https://www.zebrasand.co.jp/zebras」から引用
東日本大震災をきっかけに一度は飛び出したビジネスの世界。しかしいま、小野さんは、企業は利益を求めるだけの存在ではなく、社会貢献からはじめるという視座を追求する、そんな信念で新たなステージに飛び出しました。自分にも社会にも正直でいることの大切さと、地域は地域のままでいいという、当たり前のことを当たり前に感じさせてくれた、素晴らしいワーケーションでした。
次回は、日高わのわ会の取り組みを紹介したいと思います。