「How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜」を読みました。

2012.07.17

「How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜」

ryuzee.com の @ryuzee さんからのいただきもの。とても面白かったのでイッキ読みしました♪ ありがとうございます!

そして、夏休み前の読書感想文をつらつらと。

1. マネジメントのプラクティスにも流行り廃りがある

もしかすると、マネジメントとは普遍的で一度身に付ければずっと使えるものと思っている人は多いかもしれません。それは根底の部分ではそうであるのだけれど、プラクティスに関しては流行り廃りがあります。

 同じように、20 世紀に私たちが変化を起こしてきたやり方も、失敗しつつある。かつて導入されたような、トップダウン方式で承認手続きが 8 階層なんていう変更プログラムはすでに信頼性を欠いている。ましてやそれが、本当に必要とされるものや、人々がそこに在りたいと望む有意義な未来を作り出してくれるものだなんて、誰も信じていない。 (前書き より)

大雑把な言い方をすると、20世紀型のマネジメントプロセスはその過程を如何に詳細に切っていくかに焦点が当たっていたように思えます。言い換えると、誰がやってもだいたい同じような結果になることが重要視されていました。しかし、ユーザーかデベロッパーかを問わずアジャイルなプロセスや考え方が普及しつつある今、そういうやり方は今の世の中に合っていないことがなんとなくわかると思います。

しかし、「過程を詳細に切っていき」、「誰がやってもだいたい同じ結果が得られる」は段取りとして考えたら間違ってはいません。

「ようし、お前ら好きにやっていいぞ!」

で上手くいくなら誰も苦労はしないわけです(関係ないですけど、スポーツマスコミはこういう自由放任主義のチームを取り上げたがり、根底にある規律には目も向けませんね。彼らの仕事に対する考え方がうかがい知れて興味深いですね(棒。)。

「How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜」は20世紀型のマネジメントプロセスから見たら守破離の離に相当するし、21世紀型のマネジメントプロセスとして見たら守破離の守になるのだと思います。故に「3.0」と付いているのは何となく納得できたりします。

2. 上手くいくかどうかは、プラクティスの問題だけじゃない

多くの人が経験をしているのかもしれませんが、マネジメントに関する知識を身に付けて何らかのプラクティスを現場で実践する際、導入直後はなんとなく上手くいっている気がするんだけど時間が経つとだんだん上手くいかなくなって、そのうち形骸化してしまう。これはだいたいにおいて元に戻ろうとする強い(現状維持を望む)モメントが発生するのですが、当事者たちは勘違いをしてプラクティスがイケているイケていないと思ってしまうのかもしれません。しかしその場合に問題となるのはプラクティスの良し悪しではなく、一旦取り入れた手法をどう定着させていき、その過程で発生するあらゆる障害をどのように乗り越えるかが重要であったりするわけです。この「どう乗り越えるか」について、つまり関わる人々にどのように働きかけ、巻き込み、一連の過程を連続させつつ改善ループを回していくのかが、本書の最も大事なテーマであり、マネジメント3.0の所以であるのではないかと思うわけです。

以下は、気になったポイントの抜粋です。電書(PDF)だとテキスト抽出が楽で良いですね♪

  • システムとダンスをする

検査と適応(そして予想と探索)

PDCA

  • 人を気にかける

ADKAR モデルは、次の 5 つのディメンションがある。

1. 変化する必要性の 認識(Awareness)

2. 変化に参加し、変化をサポートしたいという 欲求(Desire)

3. 変化させる方法(および変更がどのようなものか)の 知識(Knowledge)

4. 日常的に変化を実際に起こす 能力(Ability)

5. 起きている変化を継続するための 補強(Reinforcement)

  • ネットワークを刺激する

イノベーションの普及曲線

  • 環境を変える

「4+1のI」

Information 情報:現在の振る舞いからもたらされる結果について気づきを与えるための情報ラジエーターを使う。 Identity アイデンティティ:より上位のアイデンティティ(例えばコーポレートアイデンティティ)をアピールすることで、一緒に働くことの必要性を感じさせる。

Incentives インセンティブ:よい振る舞いに対して、褒め言葉や感謝のような形で、小さな褒賞を与える。

Infrastructure インフラストラクチャー:人々のまわりに作り上げたツールやインフラストラクチャは人々の振る舞いに重大な影響をあたえ、振る舞いのガイドとなる。

Institutions 組織:よい行動の基準を提供してくれる実践コミュニティや非公式の組織を紹介する。

3.まとめ

私は本書に対して、ベテランのマネージャー、経験の浅いマネージャー、これからマネージャーになる人はもちろん、マネジメントにまったく興味がない人も読むべきだと思います。何故か? それは「あなた自身をマネジメントするのは誰ですか?」という話であり、役職がなんであろうと生きて行く上で必要になる大切な技術だからです。決して人任せにしていいことではないし、仮に役職上マネジメントは別の人の担当であるとしても、その基礎的な知識もなければ上手くマネジメントされることもないと思うからです(私も身に覚えがありますが、学生のアルバイトと仕事するのは大変ですよね。当時の上司にごめんなさいと言いたい)。

そして、21世紀型のマネジメントプロセスでは、人に働きかけたり巻き込んでいくことがこれまで以上に重要となります。

ほとんどの人は他人に影響を与えたり組織を変化させたりするのがまったく得意ではない。しかし真剣になれば、より効果的なチェンジ・エージェントになる方法を学ぶことができる。(序文より)

くどいようですが、あらゆる人に一読をオススメします。