従業員体験の裏側。インナーワークライフとは?進捗のもたらす価値とは?

2023.08.28
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
社員は所属組織で日々の業務の中で様々な体験をします。
  • ストレッチな目標に取り組む過程で、順調に成果を出し続けている瞬間
  • 1人では乗り越えられない困難に直面したが、上司や同僚の助けで乗り越えることができた瞬間
  • 日々の業務を送る中で、上司・同僚からの承認を得ることで活力や自信を得る瞬間
  • 3ヶ月かかって取り組んでいた仕事の方針が急に変更になり、その背景も分からず、大きな不満と無力感を抱く瞬間
  • 現在の実力では1人で成し遂げることが難しい業務を担当し、助けを求めているが何も支援を得られない瞬間
  • 多様なステークホルダーと協力して進行する業務を担当したが、関係者の中に攻撃的な人がいて困っている瞬間
それぞれの体験がどのようなものかによって各自はそれをプラスに感じたり、マイナスに感じたりします。
今回、このような体験に関する概念としてインナーワークライフについて紹介します。

インナーワークライフ

インナーワークライフとは、「個人が仕事中に体験した出来事をどのように認識し、それによってどのような感情をいだき、結果として個人のモチベーションの上下にどのような影響を与えたのか?」の全体を表す概念です。

 

  • 認識(Perceptions) - その出来事をどのように認識するか?
  • 感情(Emotions) - その出来事によってどのような感情になるか?
  • モチベーション(Motivations) - その出来事がモチベーションの上下にどのような影響を与えるか?
認識や感情の特性は個人によって異なるため、同じ出来事が起こっても人によって認識は異なります。
例えば、仕事においてコラボレーションが重要という価値観を持っている人と、単独作業の効率を追求する人では、社内方針がどちらになったかによって感じる影響がプラスになるか、マイナスになるかは異なります。

インナーワークライフにプラス・マイナスの影響を与える要素

インナーワークライフにプラス・マイナスの影響を与える要素があります。

プラス要素

認知・感情・モチベーションにプラスの影響がある要素として以下の3つがあります。

1 有意義な仕事の進捗

有意義な仕事の進捗があることは、インナーワークライフにプラスの影響があります。
有意義な仕事が前に進んでいて、実際に仕事をしている本人がその前進を感じられ、達成感を得られること。
この重要性がプラス要素の中でも最も重要度が高いとされています。
社員が有意義な仕事の進捗を感じるために工夫できることとしては
  • 仕事の意義を理解、実感してもらうために事業・プロジェクト・業務の背景にある「Why」を伝えること
  • 仕事の意義は個人によって異なるため、個人のキャリア志向や考え方を理解し、その人にあった伝え方をすること
  • 仕事の進捗を実感しやすくするために小さなゴールを設定し、その成果を確認可能にすること
  • 仕事の障害を取り除く支援をすること ※この内容は触媒ファクターでもある
などがあります。
冒頭の例のうち
  • ストレッチな目標に取り組む過程で、順調に成果を出し続けている瞬間
が有意義な仕事の進捗の例です。

2 触媒ファクター

触媒ファクターとは、仕事の進行を支援する行動です。
例えば
  • 明確な目標を決める
  • 十分なリソースを提供する(人、ツール、時間等)
  • 困りごと、障壁発生時に周囲からの支援をする
  • 裁量を大きく与える
などです。
冒頭の例のうち
  • 1人では乗り越えられない困難に直面したが、上司や同僚の助けで乗り越えることができた瞬間
が触媒ファクターの例です。

3 栄養ファクター

栄養ファクターとは、対人的な支援行動です。
例えば
  • 承認、称賛をする
  • 激励する
  • 相互に尊敬し合う
  • 知的な刺激を与えあう
  • ともに喜ぶ
などです。
冒頭の例のうち
  • 日々の業務を送る中で、上司・同僚からの承認を得ることで活力や自信を得る瞬間
が栄養ファクターの例です。

マイナス要素

 

認知・感情・モチベーションにマイナスの影響がある要素として以下の3つがあります。

1 仕事の障害

仕事の進捗を妨げる障害があり、それが解決されない状況はインナーワークライフにマイナスの影響があります。
仕事が停滞し、自分の力ではどうにもできないとき。
無力感を味わったり、場合によってはその原因に関わる他者や組織に不満を感じることもあるでしょう。
冒頭の例のうち
  • 3ヶ月かかって取り組んでいた仕事の方針が急に変更になり、その背景も分からず、大きな不満と無力感を抱く瞬間
が仕事の障害の例です。

2 阻害ファクター

阻害ファクターとは、仕事の進行を支援しない行動や、むしろ妨害していく行動です。
例えば
  • 方針、目標などがない。もしくはあるが不明瞭である
  • 不十分なリソース(人、ツール、時間等)しか提供しない
  • 困りごと、障壁発生に対して解決の支援をしない
  • 裁量を小さく制限する
などです。
冒頭の例のうち
  • 現在の実力では1人で成し遂げることが難しい業務を担当し、助けを求めているが何も支援を得られない瞬間
が阻害ファクターの例です。

3 毒素ファクター

毒素ファクターとは、ネガティブな気持ちにさせるような対人行動です。
例えば、
  • お互いを尊重しない
  • 励ましがない
  • 敵対する
  • 感情を無視する
などです。
冒頭の例のうち
  • 多様なステークホルダーと協力して進行する業務を担当したが、関係者の中に攻撃的な人がいて困っている瞬間
が毒素ファクターの例です。

まとめ

「個人が仕事中に体験した出来事をどのように認識し、それによってどのような感情をいだき、結果として個人のモチベーションの上下にどのような影響を与えたのか?」の全体を表す概念であるインナーワークライフとそれにプラス・マイナスの影響を与える要素を紹介しました。
仕事の成果を生み出すのは人間です。人間には認知・感情・モチベーションがあります。
工場での製品開発などのように単に一定のインプットをすれば一定のアウトプットがでる、というものではありません。
これらを踏まえて、プラス要因にあるような内容を整え、マイナス要因にあるような内容がなくなるように整えていくのがマネージャーの役割の一つであり、また、マネージャーとともにチームを支えるチームメンバー全体の役割でもあります。

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