熟練者の業務を観察して学ぶジョブ・シャドウイング
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
仕事において、学習は様々な場面で訪れます。座学をすることもあれば、自分ひとりで実践する場合もありますし、他者から学ぶこともあります。
この記事では、熟練者の業務を観察して学ぶジョブ・シャドウイングという手法について解説します。
ジョブ・シャドウイングとは?
ジョブ・シャドウイングとは、特定の職務や役割を持つ経験豊富な社員の業務に付き添って観察することで、その業務の流れやスキルを学ぶトレーニング手法です。業務をリアルタイムで観察しながら、業務内容や遂行方法を理解する機会を得られます。
ジョブ・シャドウイングのメリット
ジョブ・シャドウイングには、以下のような利点があります。
実践的な学びの機会
実際の業務に付き添って観察するため、学習者は理論だけでなく実務のリアルな流れを学ぶことができます。これにより、仕事の全体像や業務プロセスを実践的に理解でき、学びの深さが増します。
仕事に直結した学習
学習者が実際に関わる予定の業務に直接関連するタスクを観察できるため、即戦力として役立つスキルや知識が得られます。見て学んだ内容をすぐに自分の仕事に応用することができます。
時間の効率性
熟練者は自身の業務を通常通り行うため、特別な準備や時間の調整がほとんど不要です。観察者だけが時間を割く必要があるため、『熟練者が忙しいが、他のメンバーに余力がある』という状況でも、実施が可能です。
双方向の学びとフィードバック
リアルタイムでのフィードバックや質問が可能なため、学習者はその場で疑問を解消できます。また、熟練者にとっても、自分の業務を再評価する機会となり、互いに学びを深める場になります。
文化の理解と適応
業務の流れだけでなく、職場の文化や慣習、チーム内でのコミュニケーションスタイルも学べるため、新しいチームに適応するための時間が短縮されます。
ジョブ・シャドウイングのノウハウ
ジョブ・シャドウイングの進め方には以下のようなノウハウがあります。
目的を明確にする
学習者が何を学びたいのか、具体的な目標を設定します。これによって、観察するポイントが明確になります。
予備知識を持つ
対象の業務に関する基本的な知識を事前に学習しておくことで、当日の観察がより深いものになります。
メモを取る
実施中に気づいた点、疑問、重要な学びをメモに残します。これにより、後で振り返る際に有益な情報として活用できます。
観察を深める
単に作業を眺めるだけでなく、仕事の流れや意思決定の背景を観察し、どのように進められているのかを深く理解する努力が必要です。
適切な質問を用意する
実施中に疑問に思ったことや気づいたことを、タイミングを見て質問できるように準備します。実際の業務を進行している人に具体的な質問を投げかけることで、業務の背景やプロセスをより深く理解できます。
ふりかえり
ジョブ・シャドウイングが終了した後、学習者は何を学んだのか、どの点が重要だったのかをふりかえりましょう。このふりかえりを通じて、得た知識を整理し、今後のアクションに繋げることができます。
フィードバックの活用
指導役やメンターからフィードバックを受け、観察した内容に対する改善点や今後の学びのヒントを得ることで、次のステップが明確になります。
行動に移す
学んだことを実際の業務にどう活かすかを明確にし、実践することが重要です。具体的な行動計画を立て、学んだスキルや知識を活用する場を作ります。
補足
観察力の差
ジョブ・シャドウイングは観察者の観察力によって、学習効果に差が出ると考えてよいです。ただ単に業務を見ているだけではなく、熟練者の言動や意図をどれだけ正確に読み取り、学び取るかが鍵となります。以下の要素が、学習効果に大きく影響します。
ペアプログラミング・モブプログラミング
ペアプログラミングやモブプログラミングには、ジョブ・シャドウイングと同様の効果があると考えてよいです。特に、他者と協力して問題解決を行う中で、熟練者の思考プロセスや技術的判断を直接学べる点は、ジョブ・シャドウイングと同様の効果を持っています。