(レポート) [ユーザー事例に学ぶ ~モバイルファーストが切り拓くマーケティング戦略~] Omni-Channel時代のマーケティング戦略 ~ お客様と時間を共有し、絆を深めるEngagement Commerce ~
はじめに
こんにちは。たなかゆきこです。 2016年11月25日(金)TKP 品川カンファレンスセンター ANNEX にて「ユーザー事例に学ぶ ~モバイルファーストが切り拓くマーケティング戦略~」を弊社主催で開催いたしました。 本投稿では、オイシックス株式会社 執行役員 統合マーケティング部 部長 奥谷 孝司氏による 「Omni-Channel時代のマーケティング戦略 ~ お客様と時間を共有し、絆を深めるEngagement Commerce ~」についてレポートしたいと思います。
イベント概要
テクノロジーの発展に合わせて、お客様とのコミュニケーションのあり方が大きく変わりつつあります。モバイルは、お客様の身近にある最も深く繋がることができるツールであり、その重要性は増すばかりです。 本セミナーでは、無印良品で「MUJI Passport」の立ち上げを手掛けた後、オイシックス株式会社に移籍した奥谷 孝司氏にデジタルマーケティング全体の未来について、ユーザー様事例として株式会社すかいらーく マーケティング本部 小林 克明氏、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 デジタル戦略本部 長見 明氏にモバイル マーケティングの取り組みについて、それぞれお話しいただきました。
イベントHP:https://dev.classmethod.jp/news/20161125/
オープニングセッション講師
オイシックス株式会社 執行役員 統合マーケティング部 部長 奥谷 孝司氏
セッション概要
消費者がオムニチャネル化する時代に企業はどのように消費者と繋がるべきか?Digital Marketing の実践と、新しいEC=Engagement Commerceの実現が求められています。本セッションにおいては、お客様との時間の共有方法、海外の事例、Omni-Channelとはなにか?これらを実現するツール開発についてお話いただきました。
スライド
1. 顧客時間の重要性
なぜ顧客時間が重要なのか
消費者行動論・消費者意思決定プロセス
- のどがかわいた
- どこかに旅行したい
お客様は、上記のような考えをもって、購買行動を行い、サービスを受けたりモノを使用している。こういった一連のプロセスが存在する。
ネットの中では把握しやすい事象となっているが、店舗においては購買データが中心となっている。
購買がオムニチャネル化していく中でどうやってプロセスを見ていくのかが大切
購買時点の一部分ではなく、検討購入の一連のプロセスをみて、顧客エンゲージメントを高める。
無印良品においては、2013年にはオムニチャネル時代のプロセスは体現できていたところがある。
購入時点だけを見ても意味はないとはいうものの、「誰が?」という軸が見えていた。誰が購入したのかは、従来型のクレジットカード、オフライン情報でも良かった。
しかし、デジタルシェアリングの時代。オンラインでの構造化ですべてが見えてくるという時代になってきた。 そういった意味で、デジタルシェアリングがすすんでいる。 デジタルシェアリングを進める上で、オイシックスではソーシャルメディアでのトレンドやバズワードをみながら、アプリの制作を行っている。
デジタルシェアリングになることで、オンラインでの構造化とオフラインでの構造化ができる
アプリがいい理由
改善したら、すぐにわかる「入りやすい受け口になる」
- キャンセルを早くできるのがいいといわれた(これ自体がよいことではないが) = キャッチアップが早い
- どのタイミングで開いているのかなどがわかる
上記の意味で、デジタルを担う人間は「お客様とのつながりを把握しなくてはいけない」そういった意味で顧客時間は大切。
MUJIパスポート(3年半)をやってみて理解できたこと - お客様の購買行動が見えてきた
この要素がすべて入っている
- 顧客時間でみる
- サーチから行う
- 時間を行き来している(ソーシャル・オンライン・オフライン)
- ソーシャルメディア
- 店舗からの情報をCMSでだせる
- イベント
2. What is Omuni-Channel?
オムニチャネルの時代
BtoCがとどきにくい(企業のいうコミュニケーション=広告)時代に、コミュニケーションをどうするか。 オイシックス、無印良品では何をやってきたのか。
- いかにお客様の周囲にコミュニケーションチャネルを配置するか
- ソーシャルやアプリといったお客様がもっとも見るチャネルをつかって、エンゲージメント、コミュイケーションの効率化を図っていった
オムニチャネルとは何なのか
全米小売業協会 (https://nrf.com/) のチャネル定義
チャネル(チャネル理論)
- シングルチャネル(一販売店)
- マルチチャネル(カタログやネットなど複数接点をもたないといけない)
- クロスチャネル(お客様がチャネルを横断するようになった)
- オムニチャネル(シームレスな環境をつくろう。スマホの登場)
奥谷氏のオムニチャネル見解
今までは小売業がチャネルを提供してきたが、新しいチャネルではなく既存のチャネルをモバイルデバイスを中心に、お客様がチャネルを選ぶ時代(=シームレス)。
それを実現するには?
- 決済
- 店舗在庫
- いかにお店に来てもらうか
なにからやるべきか
- オムニチャネルのマトリックス
- オンラインカンパニー(Amazon など)
- Internet Trends (http://www.kpcb.com/)を調べる
- Warby Parker(スクールバス、試着専用店舗など)https://www.warbyparker.com/
市場の戦い方が変化している
オイシックスでは
- お客様を待つのではなく、お客様のもとへ向かう
- 体験できる場
- 買い物難民を救う
- あえて品揃えが限られてる状態でやってみる
- 移動店舗
3. Engagement Commerce Platformの重要性
エンゲージメントコマース = 絆づくりの戦略
オムニチャネルはどうなる
Future of retailing:こんな世界がくるかもしれない
こんな接客を受けたいのか? こんな接客を実現できるかの問題
例)Instacart:買い物したら届けてくれる
日本で実現できるか?
- 特殊な環境
- 高層ビルのオムニチャネルとか
- 特殊な環境だが人がいる
コンパクトなオムニチャネルを構築するできれば可能性はある。
Tapingo(http://www.tapingo.com/)大学内で、デリバリーサービスを行うアプリ
日本の小売業は、購買をみているからクーポンが先に来る。 USの場合は、まず選ばせるために、オーダーが一番上にでる。事前決済ができる。学術的にも選ぶという行動を促すと客単価があがる。
お客様視点
いますぐ食べたい・欲しい、並びたくない。モノと過ごす時間をとりたい。
これらをアプリで一気に解決できるのが、USのスタバやTHE MELTなど。
THE MELT:https://itunes.apple.com/jp/app/the-melt/id580411345
日本は、どうしても「手数料」などになってしまうが、もう一歩進んで考えなくてはいけない。
並ばないと買えないというのは「機会ロス」
現状、少額決済は当たり前の時代。購買体験をいかにオムニチャネルでやっていくのかが重要になってくる。
今までのEC視点で考えると、物流視点になりがちだが、お客様がすでに動きながらECをやっている時代になっている。
取りにきてもらうというようなコミュニケーションでもいいのではないか。
テクノロジーを入れてくのはいいことでもあるが...
家事労働とテクノロジーの社会史:https://www.amazon.co.jp/dp/4588364146
家事家電が社会に広まって、お母さんたちは楽になったのか?
楽になっていない。
洗濯機は確かに洗濯を楽にしてくれたが、社会が、お金の使い方が変わっている。
昔は服を数着しかもっていなかった。お手伝いの人がいたなど、いろいろあった。
そういうものがなくなった結果、どんどん忙しくなっている、
テクノロジー導入に本当に楽になるのか?
これを店頭におきかえてみるとどうか
お客様が毎日買い物にくるのは当たり前だと思っている。
バイトに、お客様の顔と名前を全て覚えさせるのは無理。
なら、どういう武器を入れるとよいのか。武器になるテクノロジーであれば、店舗は必ず受け入れる。そこを間違わないようにしないといけない。
今マーケティングに求められているのは
いかにネットとリアルのお客様視点での価値を50/50にするか。
オフラインの方が大きいのにネットだけ伸ばしても会社は伸びない。どちらの体験もよくしていかないといけない。 オフラインの価値が日本ではまだまだ高い。ここをなんとかしないといけない。
オフラインのお店が大きいのに、ECだけを伸ばしてもお店は大きくならない。 ECを大きくしなければということで、ECだけを大きくしてしまったのが失敗。
日本の小売業の特徴。いろんな他業態をまとめてしまうが、
お客様にとってはどうでもいいこと
会社を大きくするには
- スマートフォン上にお客様との接点が必要(モバイルファースト)
- お客様の時間の使い方が移動している(ネットへスマホへアプリへ)
お客様は、どこで何を購入しているかはあまり気にしていない。
重要なのは、それがスマホを起点に行われていること。
スマートフォンの中で、しっかりと購入してもらわないといけないし、そのためにエンゲージメントを作っていかないといけない。
物流拠点発信のECをオフラインから変更しないとといけない。そのためのエンゲージメントコマース。
MUJIパスポート=新しいECってどうあるべきというのをやってきた。世界が変わった。
グローバルにもエンゲージメントを高めないといけない。大きな円に対する施策をうたなくてはいけない。 そこで、プリズマティクス株式会社 (https://prismatix.jp/) の立ち上げを行った。
プリズマティクス株式会社では、新しいEC Engagement Commerce の実現と新しい顧客体験作りを進める。
オイシックス株式会社について
インターネットなどを通じた一般消費者への特別栽培農産物、無添加加工食品など安全性に配慮した食品・食材の販売を行っている。
企業ホームページ:http://www.oisix.co.jp/
本イベントの他セッションレポート
オープニングセッション | Omni-Channel時代のマーケティング戦略 ~お客様と時間を共有し、絆を深めるEngagement Commerce~ | オイシックス株式会社 執行役員 統合マーケティング部 部長 奥谷 孝司氏 | 本記事 |
ユーザー様事例① | 1to1コミュニケーションによる集客への挑戦 ~どうお客様の気持ちに寄り添うか~ | 株式会社すかいらーく マーケティング本部 デジタルマーケティンググループ ディレクター 小林 克明氏 | こちら |
ユーザー様事例② | パーソナルデバイスでの「データvs体験型消費」の関係 | スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 デジタル戦略本部 デジタルマーケティング部 部長 長見 明氏 | こちら |
デモンストレーション | オムニチャネルを見据えたモバイルアプリについて | クラスメソッド株式会社 代表取締役 横田 聡 | こちら |