[レポート]「Static」から「Dynamic」へ:メディアにおけるデータ民主化の推進 – Looker:JOIN 2019 at San Francisco #looker #JOINdata

あの有名な「ワーナー」のデータ分析の話
2019.11.25

現地時間2019年11月05日〜07日の期間、米国サンフランシスコで開催されたLookerの年次カンファレンスイベント『JOIN 2019』。今年2019年のイベントは、弊社から3名のメンバーが現地参戦しました。

当エントリでは、その中から『Static to Dynamic: Driving Data Democratization in Media (「Static」から「Dynamic」へ:メディアにおけるデータ民主化の推進)』の内容について参加レポートをお届けします。

目次

 

セッション概要

セッションの概要は以下の通りです。

[登壇者情報]:
Scott Joslin氏(Warner Media社 Senior Vice President, Data Strategy, Digital Ventures & Innovation International )

[セッション情報]:
Static to Dynamic: Driving Data Democratization in Media
(「Static」から「Dynamic」へ:メディアにおけるデータ民主化の推進)

The International Data & Analytics team at WarnerMedia used Looker to evolve a previously static, manual process into a dynamic system reducing costs, minimizing errors, and saving time. In this session, we’ll focus on how this process supercharged our stakeholders' ability to make data-driven decisions. We’ll touch on the new approach, which uses API's, Snowflake and Looker, and makes data actionable just minutes after it's available. We’ll also discuss how it empowers employees to quickly analyse the data and take meaningful actions, driving business success.
(WarnerMediaのInternational Data&Analyticsチームは。Lookerを使って、以前は静的だった手動プロセスを、動的なシステムに進化させ、コストを削減し、エラーを最小限に抑え、時間を節約しました。このセッションでは、このプロセスによって、データに基づいて意思決定を行うステークホルダーの能力がどのように強化されたかに焦点を当てます。SnowflakeとLookerを利用して、データが利用可能になってから数分後には、そのデータを活用できるようにする新しいアプローチについて紹介します。また、データを迅速に分析し、意味のあるアクションを実行してビジネスの成功を促進するために、どのようにして従業員が機能するのかについても説明します。 )

 

セッションレポート

※セッションレポートの記述では、登壇者を一人称としています。

 

ワーナーメディア社について

私たちは、AT&T社によって、タイム・ワーナーとの買収と合併がおこなれて、世界クラスのコンテンツプロバイダーとなりました。HBO、ターナースポーツ、カートゥーンネットワーク等、みなさんも知っているブランドがたくさんあります。

また、素晴らしい方々と一緒に仕事をすることもできます。まずは、私の良き友人であるフィル・ネルソンを紹介しましょう。

彼はターナーインターナショナルのアジア事業の最高責任者です。このアジア事業は、非常に多くの国で実施されています。

3つの地域、200カ国で弊社のサービスが提供されています。これは私達にとって、テレビ以上の遺産といえます。これらはデータの観点でみると、一つ一つが非常に堅牢となっていますが、逆に言えば非常にまとまりのないものとなっていました。

 

ワーナーメディア社のデータ分析戦略

上記のサービスのデータ分析がどのようになっているかをご紹介します。

私たちがすべきことは、これらのデータをどのように収集するか、共同で作業するためにどのように人々を集め、競争市場の変化する力学に対応できるような方法でベスト・プラクティスを共有するか、という戦略を考えることでした。戦略的な観点からやるべき事を決めたのは素晴らしかったと思っています。

ビジョンとしては、共通のデータベースを持つ…ということでした。また、従業員がデータを使用して開始できるようにするには、規模の大小にかかわらず、継続してビジネス上の意思決定を行うようにする必要があります。

ミッションを遂行し、ビジョンを達成するために、我々は3つのゴールを設定しました。まず、この会場にいる多くの人がSnowflakeのようなパートナーとチームを組んでいるように、データのセルフサービス化を実現するスタンドアップテクノロジーを使用することです。2つ目は、data centricity(データを全ての中心とする考え)を推進します。最後は、新しい文化(データを利用してビジネス上の意思決定を行うという考えに全員が賛同する文化)を確立することです。

 

データのセルフサービス化を実現するスタンドアップテクノロジー

まずテクノロジーの話から始めましょう。

AWSは私たちの主要なパートナーです。GDPRに対応するために、ダブリンのインスタンスを使用しています。ここでの重要な事項として、1つは、世界中の資産から送られてくるすべてのデータの管理を支援すること…もう1つは、パフォーマンスの観点からもコストの観点からも、これらを実現するために最適化を開始できることです。

スライドにもありますが、我々はSnowflakeを使っています。SnowflakeはAWS上で動いているデータウェアハウスですが、データを処理する「仮想ウェアハウス」の最適化や、半構造化データ(JSONとか)の取込が特徴です。

  • 半構造データの処理
  • S3とののクラウド統合
  • 仮想ウェアハウスおよびリソースの柔軟性
  • 強力なキャッシュ機能

BIツールとしてはLookerを使っています。 私たちは、データの正確さと、そのデータへのアクセスによって定義される信頼を推進しなければなりません。その上、私たちは(異なる地域で)一緒に仕事をしています。

  • ブラウザベースのインターフェース
  • 即断即決・臨機応変にプロトタイプを作成可能
  • リアルタイムのデータ検索と共同作業
  • クエリでのデータ変換

ここで重要なのは「ブラウザベースのインターフェース」が備わっていることです。すぐにプロトタイプを作成できます。世界中からたくさんのステークホルダーが集まっていました。 例えば、明日までに何らかのデータ分析を実施しなければいけないというとき、 Web上でプロトタイプを作成し、1時間後には何らかのビューを構築し、それをテスト環境、または場合によっては本番環境にプッシュして、エンドユーザーが皆さんのチームに協力してもらうようにすることで、データの探索や共同作業が可能になります。

繰り返しますが、私たちのチームは世界中に散らばっています。しかし、データ分析のあれこれを、簡単に共有できるようになりました。それも、時間帯に関係なく。

最後に、Google ColaboratoryやQuboleを使って、データサイエンス環境を構築しました。Snowflakeのデータと統合させて、データやデータモデリングを実際に活用したり、分析したりして、本番環境で活用できるようにしました。私たちが見ているシナリオでは、3~4つの異なるアプローチがあります。これらのモデルのどれを決定するかは、ブラックボックスとしてのモデルを構築した人を信用するのではなく、結果を見て、意思決定者が直接選ぶことができるようになっています。

 

data-centricityをサポートする組織構造

これらのデータ分析プラットフォームについて、私たち組織側がサポートしているという点も大きいポイントです。データ分析の民主化を実現し、誰でも確実にアクセスできるようにしたいのです。

いろいろありますが、主に3つの要素が組み合わさっていると思います。技術、それをサポートする組織構造、data-centricityと信頼の文化。

ビジネスインテリジェンス

1つ目は、従来のビジネス・インテリジェンスです。実際には組織内の現在のクライアント担当グループに対応するクライアントであり、導入契約を推進しているその他のクライアントが、これらを担当します。

  • 国際的なビジネスにおいて、データ分析のセルフサービス化への進化を支援する
  • さまざまな地域の関係者と協力して、設計から実稼働環境への導入に至るまで、オーディエンスダッシュボード、レポート、およびビジュアライズを構築する
  • 日常的なレポート作成、トラブルシューティング、コミュニケーションなど、既存のレポートポートフォリオをサポートするデータモデルを維持する

分析ツール

  • すべてのデジタルベースのデータ収集テクノロジーと運用のための「卓越した研究拠点」を用意
  • Analytics Data Capture Code Development(Web、モバイル、アプリケーション、デバイス、ビデオ)と、それらの品質保証
  • デスクトップ、モバイル、デバイスなど、複数のプラットフォームにデジタル分析(Adobeなど)標準またはカスタマイズされたソリューションを実装する

データプラットフォーム&アーキテクチャ

私たちはデータ収集と、データ分析を実際にどのように計測し、クラウドに持ってくるかについても見ています。

  • Tuner Internationalのデータ戦略の中核をなす、中央データリポジトリであるInternational Data Platfom(IDP)をスリム化するために、データプラットフォームを設計、構築し、適切なツールを利用する。
  • 多様かつ多数のデータソースをIDPに取り込み、このデータを利用可能にするために必要なETLプロセスを実行する
  • 新しいクラウドプラットフォーム、データアクセスツールを評価し、利用可能にする

データガバナンス&スタンダード(基準)

私たちには5つの異なる報告会社があります。私たちのチームには600人近くの人がいると思います。私たちは(組織に搭載された)グローバルスタンダードを作りました。この基準は私たちがビジネス側と協力して共同作業をするのを助けます。また、この基準は、データ分析を共有するためのベストプラクティスでもあります。

  • データ・ガバナンス(GDPRなど)をIDPの重要なビジネス推進要因に適用する。IDPではデータが重要な要素である
  • 新しいデータソース、ツール、およびプラットフォームが導入されたときに、Turner International全体でIDPデータガバナンスおよびプライバシープログラムを有効する
  • ISOおよび法務と定期的に連携し、規制およびセキュリティのコンプライアンスを確保する

ビジネスオペレーション

ビジネスオペレーションは、今まで話した要素を結びつける接着剤の役割を果たします。

私達は「アジャイル」でデータ分析を行っています。私たちは、「完了の定義は何か」という会話を持ちません。それがあるとすれば、私たちが何か(システムなど)を配達するときです。

また、このビジネスオペレーションは多様性をもたらします。 私は、人々のバックグラウンドの観点から見た多様性の重要性、そして明らかに私たちがより良い仕事を得られるようにするためのアプローチについて1時間話すことができます。それくらい重要なのです。多様性のある人々が、チームとして共同で働くことによって、彼らが「本物の自分」として、全てを持ち込んで会話できるような文化を作り上げました。

私のチームの面々が、この文化に関するサポートにおいて、私がマイクロマネジメントすることに同意するのは、「私たちが技術面に取り組むのと同じくらい従業員に投資しなければならないからだ」と考えてくれているからだと思います。私が言いたいのは、私たちのチームだけではなく、組織も大きいということです。

  • プロジェクト管理を提供し、アジャイルを含むビジネスプロセスを確立する
  • サポート連絡先とベンダーの管理
  • ポートフォリオと戦略プログラムの管理

トレーニングの話

私たちはまた、チームにソフトスキルを与えるにはどうすればよいかについても考え始めます。特に私たちのような環境では、ビジネスはかなり大きく変化しています。

そこで私たちは、データの個別化によってストーリーを伝える方法や、特定の製品やプラットフォームとは実際に関係のないプレゼンテーションについて、没入型の素晴らしいワークショップを行いました。

もう1つ興味深かったのは、実際に経営陣とのセッションを行ったことです。その結果はおそらく私たちにとって最も興味深いものでした。私たちは常に「エンドユーザーがより積極的にデータを利用できるようにしましょう」と思っています。しかし、経営陣と話をしたとき、彼らは「まあ、それはいいけど、私が自分が持っているデータ(がわかる環境)が欲しい」と言いました。

私が注目している問題の1つは、入ってくるデータに関するフィードバックを受け取っているとき、経営者は、データに対する質問能力や基礎となるデータについて話すのを好まないという点です。データに対する解釈についてもっと話しましょう!…というのは、現在進行中の課題となっています。

倫理的フレームワークの話

私たちは、これらを展開していくうちに、組織の人々が私の静的なレポート (毎週、毎月) について何を知っているかを理解するようになり、ソースデータをさらに深く掘り下げる機会があることに気付きました。それは私たちがこれらの企画をしていた時には予期していなかったことでした。そこで私たちは、集中力の高い没入型訓練をもう1つ行っています。ケンブリッジ・アナリティカ社の台頭に伴いデータが急増しています。私たちは倫理的フレームワークを構築し始めました。組織内のリーダーにデータの扱い方を教えるための訓練トレーナーとして少し力を貸してもらいました。私たちはそれを構築し始めています。ここ3、4カ月の話です。

私が確信しているのは、従業員がレコメンドされたデータを使ったり見たりすることで、CEO等と本質的に同じようにデータを評価したりする自信を持てるようになることです。誰も良いアイデアを独占しません。ここでの私たちの仕事は、人々をより安心させ、自信を持たせ、力を与えられるようにすることです。

 

チャレンジ

実際にデータ分析に取り組んでみます。まず、YouTubeのパフォーマンス・レポートのパターンを見てみましょう。

  • アジア太平洋地域の子供たちは、デジタル・エンターテインメントの配信をYouTubeに大きく依存しています。
  • このチャンネルの重要性を考えると、私たちはこの地域で公開している28のYouTubeチャンネルの静的および手動のパフォーマンスレポートを超えて、行動するためのよりタイムリーなデータを従業員に提供する必要がありました。

ビジネス側はリアルタイムでこれを実現する方法を模索しています。

余談ですがPowerPointでExcelのスプレッドシートを使うのは初めてでした。

 

ソリューション

どうすれば、よりタイムリーなデータを提供できるようになるのでしょうか。

  • YouTube APIを組み込むプロセスをInternational Data Platformに組み込んだ
  • 役割に応じてコンテンツと収益パフォーマンスデータの両方にアクセスできるデータ・アクセス・コントロールを作成した
  • 研修を受けた従業員が、これらのデータの積極的な調査を促進するために、見解と調査の両方を行う

 

結果

結果はちょっとクレイジーと呼べる程度にインパクトのあるものでした。

  • 従来のプロセスでは6週間待たなければならなかったデータが、リアルタイムで利用できるようになった
  • APACの30人以上の社員がYouTubeチャンネルのパフォーマンスダッシュボードにアクセスしている
  • 従来は毎月2週間かけて手作業によるレポートを作成していましたが、現在では、より付加価値の高い分析作業に使用できるようになった

Lookerと提携して開発したプラットフォームのおかげで、メリットはまだあります。 私たちは20個のチャンネルに関するデータを持ってきて自動化しましたが、これを応用して、我々はすぐにでも約108個のYouTubeチャンネルに関するデータ分析を行うことができます。(4日間の旅行に行ける程度の時間で。)

 

まとめ

ここでフィル(の言葉)に戻ります。

  • 毎日積極的にlookerを使っていない人は、間違いなく損しています!
  • ダッシュボードには、YouTubeのパフォーマンスに関する正確で最新の概要が表示されるので、他の人がデータをダウンロードしてフォーマットして送ってくるのを待つ必要がありません。
  • これは、競合市場における迅速な分析と意思決定のためのリアルタイム監視を提供する優れたツールです。

私たちはデータの世界へと移行しつつあり、収益化のためのデータ分析セルフサービスは静的なものから動的なものへと移行しつつあります。私たちがここでやっていることは、データリーダーとしてのデータ分析の実践であり、私たちが静的なものから動的なもの、そしてビジネスのためのセルフサービスへと移行しつつあることです。私たちはビジネスのコンテキストを作っているのです。

 

セッションを聴講して

良かったところ

データ分析の文化の醸成について、非常に詳しい話が聞けました。弊社も参考にしたいところです。

気づいたこと

他のセッションもそうなのですが、事例系のセッションで出てくるデータウェアハウスは、ほぼすべてSnowflakeでした。Lookerと相性が良いDWHである、とよく言われていますが、本当に事例として多いので、Lookerにとっての鉄板DWHなのでしょうね。