『 Looker User Meetup in Tokyo #4 』の発表内容まとめ #lookermeetup
Lookerでは定期的にLookerユーザーの集まりとして「Looker User Meetup」なるイベントが開催されています。
先日(2009年09月02日)も、最新イベントが開催されていました。
ですがこちらのイベント、タイトルにもありますように【Lookerユーザー限定】となっているため、私(というか弊社)は立場的には参加資格が無いのです...?
ちょっとした悲しみに暮れていたものの、イベントページを見てみると関連資料が既にアップロードされており、ハッシュタグ( #lookermeetup )からもイベントの内容を幾らか推し測る事も出来たため、『これでブログ書けるじゃん』と思い立ちました。
ということで、当エントリではイベント発表資料を読み解き、まとめた&学んだものを参加レポートの体(てい)でお届けしたいと思います。
合わせて作ったイベントツイートまとめはこちら:
目次
- User Talk 1 : Lookerを利用した医療ビッグデータのマーケティング分析ツールの開発
- User Talk 2 : DeNAゲームタイトルの共通分析におけるLooker活用事例
- User Talk 3 : トレタの分析環境とLookerへのこだわり
- User Talk 4 : 分析者でもプロダクト開発がしたい!と思ったら Looker
- Product Updates (BEACON Sneakpeak)
- まとめ
User Talk 1 : Lookerを利用した医療ビッグデータのマーケティング分析ツールの開発
概要
JMDCが保有している医療ビッグデータの製薬会社向け分析ツールの導入決定から開発、ユースケースまでの事例の紹介
プレゼンター
- 吉川 禎洋氏(株式会社JMDC)
- 岡 裕也氏(株式会社JMDC)
発表資料
発表内容まとめ
- 会社概要(JMDC)
- 保険者(≒健康組合)等から提供されたデータを匿名加工し、医療の質の向上に貢献。
- 社内で扱うデータの量が増え、現行のものよりもっと価値を持ったツールを作りたい! → 社内でLooker利用の話を聞き、試してみることに
- 医療データ分析の要件:
- JMDC保有データでは1患者の推移を時系列で確認可能
- だが一方で分析結果抽出には単純なフィルタやJOINでは実現出来ないといった課題があった
- Lookerだと相性が良いかも?
- インフラ構成
- オンプレ+AWSで加工したデータをBigQueryに転送、Lookerで分析
- Lookerを使ってやったこと
- ソースコードのコンポーネント化:複雑な医療データ分析の要件をLookerに落とし込む
- 分析要件毎にView(Derived Table)を分割し、Model内で組み合わせ
- 物理テーブルを参照しないようにViewファイルで制御:開発用、本番用のデータ切り替えをロジックで実現
- Looker APIを使ってModel評価を効率化した(初回評価、デグレ確認)
- 製薬の市場分析
- 従来型の一般的な薬剤市場調査はプライマリー調査、トップライン調査等を行っている
- JMDCのデータが生み出せる価値
- 健康保険組合や病院から収集した診療レセプト(RWD=Real World Data)があること(診療の実態を見ることが出来るのは画期的)
- このRWD(医療ビッグデータ)を使ってRWE(Real World Evidence、RWDを用いて導き出される事象)を創出したい。
- RWDの新たな提供・分析ツールにLookerを採用。
- Dashboardの活用:研究テーマに応える分析をダッシュボードに集約して納品
- Lookerダッシュボードのメリット
- 常に最新データを自動集計出来る
- 経営報告資料の工数が削減出来た
- 複数のDB・データソースを一括参照可能に
- 新たな分析の軸を提案出来た
- Lookerダッシュボードのメリット
- 今後の展望
- まとめ
- 医療データとLookerは相性が良かった
- コンポーネント化+評価を効率化することで開発速度と質を向上出来た
User Talk 2 : DeNAゲームタイトルの共通分析におけるLooker活用事例
概要
DeNAではこれまで内製BIツールが広く利活用されていましたが、この度Looker利用へと舵を切り、現在その移行途中です。今回は、内製BIツールが抱えていた課題、及びLookerへ移行する際に見えた課題を、技術的にどのように解決したかをお話します。
プレゼンター
- 出口 裕己氏(株式会社ディー・エヌ・エー)
- 鈴木 景治氏(株式会社ディー・エヌ・エー)
発表資料
発表内容まとめ
- 既存ゲームタイトルにおける共通分析環境の構成
- 分析要件:複数のゲームタイトルを横断で比較するために同一の定義をとして集計、可視化
- 共通基盤から分析用データをGCSに蓄積、BigQueryにてデータを加工
- 共通集計したテーブルは各タイトルで分析利用するBigQuery内に分割提供
- 内製BIツールはタイトル毎にProjectを分けて利用
- テンプレートProjectの定義を各タイトル毎に複製することで個々の分析を実現
- 内製BIツールの課題
- 共通定義ダッシュボードの複製や更新時のミス発生があり得る
- BigQueryテーブル変更に伴う反映作業などが必要となる
- Lookerを導入した解決策
- Lookerの『Projectインポート』による共通定義ダッシュボード案を採用
- Importing Files from Other Projects
- 「local_dependency」属性:LookerのProject自体をインポートする際の指定内容。統制が取れなくなるのでこちらは不採用に。
- 「remote_dependency」属性:LookerのProjectが紐付けられているgitリポジトリをインポートする際の指定内容。Project単位で固定の状況をインポート出来るため、統率が取りやすいと判断、採用。
- 共通ダッシュボードを配布するには?
- LookML DashboardによるDashboardの共通化を行った
- LookML Dashboard化の際の注意点
- Lookの管理は出来ないので1パネルでもDashboardにする必要がある
- 固有項目はLookML Dashboardファイルに記載しないこと
- フォルダ階層の機能が無い → 独自Looker Viewerツールにより階層表現を実現することで対応
- データマート不在時のLookML開発
- 課題
- 複数Viewをまたぐ指標をどこに書けば良いのか分からない
- 万能View/Exploreが生まれてしまう
- 従来の方針だと運用に迷いや上記課題を誘発してしまうため、利用者から見たKPI(=役割)毎にViewやExploreを配置する方針に変更。
- 課題
User Talk 3 : トレタの分析環境とLookerへのこだわり
概要
トレタではエンジニアだけではなく、企画、セールス、マーケなどのメンバーにも直接データに触れてそれぞれの視点で自由に分析をできるように心掛けております。その中で使う専門用語もカルチャーも異なるメンバーが快適にインサイトを共有出来るような活用事例をご紹介させていただければと思います。
プレゼンター
- 鄧 皓亢氏(株式会社トレタ)
発表資料
発表内容まとめ
- 企業紹介
- 課題
- コミュニケーションコスト
- お互いのミッションのベクトルが同じ方向に向いていない事による不信感
- 野良SQLやレガシーコードのメンテナンス負荷による消耗
- フットワークが経営判断やプロダクトのスピード感についていけない悪循環
- このあたりの課題はもはや「社会共通」
- Lookerを導入してどうなったか
- サスティナブルな組織構造、及びユーザー体験が得られた
- 運用・工夫したポイントについて
- (1).サービス設計と運用ポリシーの整理
- 最大限イネーブルメント出来るように、Explore機能をベースに"体験を再設計"
- データマートの管理はLookMLとPDTに集約
- BigQueryやLookMLは基本ファクト(実績)のみを扱うようにする
- (2).DBパフォーマンスとコスト面の工夫
- BigQueryの定額プランを導入
- プロジェクトの細分化とコストの可視化を行った
- (3).共通言語の確立
- 全社共通の言語を洗い出し、LookMLによって定義を揃えた
- カスタム項目(Custom Dimension、Custom Measurements)を導入
- (4).優しい世界に向けて
- Label、Group Labelのローカライズ(専門用語から一般用語)
- Descriptionの強化
- Custom Dimensions、Custom Measures, Tablea Calculation事例
- ER図の整備
- オンボーディング教材
- (1).サービス設計と運用ポリシーの整理
User Talk 4 : 分析者でもプロダクト開発がしたい!と思ったら Looker
概要
LookML による柔軟なクエリビルダーと豊富なビジュアリゼーションを擁する Looker は、BI ツールにとどまらず様々な活用が可能です。その一例として YAMAP で行っている、プロダクトに新機能提案をする際に Looker を活用する事例をご紹介します。
プレゼンター
- 松本 英高氏(株式会社ヤマップ)
発表資料
発表内容まとめ
- 自己紹介&企業紹介
- YAMAPのLooker活用パターン
- 日々のKPIチェック(新規ユーザー登録、アクティブユーザー、売上など)
- アドホック分析(新型コロナでユーザーの登山はどう変化したか?有料会員訴求ポップアップがユーザーの離脱に繋がっているのでは?など)
- 「Lookerって便利だなぁ」と思う理由(日々のKPIチェック、アドホック分析の観点から)
- 分析のパーツの再利用性が高い
- データの民主化でみんなが仮説検証出来る
- Lookerを業務支援ツールとして活用
- セグメントのユーザーを抽出してプッシュ通知
- 公式サイトからSNSに投稿するピックアップ活動日記を選定
- 「Lookerって便利だなぁ」と思う理由(業務支援ツールの観点から)
- 動的クエリビルディングとFiltersの組み合わせで、大概のデータ抽出ツールの要件を満たせる
- Looker活用パターン(導入検証時に想定していなかったこと)
- リアルタイム紅葉モニタを作りたい
- 登山の活動メトリクスをアップデートしたい
- 機能提案時の課題
- 口頭や文章、絵を使ってみるが分かってもらえない
- 「思い出してください、俺たちにはLookerがあります」
- Lookerでデモ実践:リアルタイム紅葉モニター
こんなに風情のあるダッシュボード(Look)見たことない
— Tetsuo Yamabe (@beniyama) September 2, 2020
(このデモ部分はちょっと見てみたかった感がある...)
- 分析者でもプロダクト開発がしたい!と思ったら必要に応じてテーブルを設け、LookMLを開発、Dashboradでデモ作成。分析チーム内で完結するのでフットワーク軽く出来る
Product Updates (BEACON Sneakpeak)
プレゼンター
- 水野 智也氏(Looker)
発表内容まとめ
こちらのセッション、恐らく内容的には現在開催されている「BEACON Japan 2020」の9/3日発表内容を一足早くユーザー会の皆様にお届け!といった感じと推測されます。たぶん。
BEACON Japan 2020に関しては、弊社クラスメソッドでも可能な限り多くのセッションレポートをお届けする方向で進めております。なのでこの辺りの内容についても後日レポートが上がってくることを期待したいと思います。
まとめ
という訳で、『 Looker User Meetup in Tokyo #4 』の発表内容まとめの紹介でした。
いずれの発表内容も示唆に富むものが多く、私個人としてもとても参考になりました!色々と参考にしたいと思います。
また、このイベントと絡めて紹介されていた『BEACON Japan』についても、現在絶賛開催中です。1日目が2020/09/03(木)に開催され、2日目以降も09/10,9/17,9/24の毎週木曜日にテーマ毎の開催内容が控えております。参加未登録の方は是非登録の上、イベントご参加・セッション視聴頂けますと幸いです。