製造ビジネステクノロジー部のUIデザイナーが1年間を振り返る
こんにちは!デザイナーのくぼです。
この記事はクラスメソッド発製造業 Advent Calendar 2024の20日目の記事です。
2024年も残すところわずかですね。
今年1月に新設された「産業支援グループ 製造ビジネステクノロジー部」に所属してから、早くも1年が経とうとしています。本当に早すぎる!
本記事では、製造ビジネステクノロジー部のUIデザイナーとしての1年を振り返ってみようと思います。
製造ビジネステクノロジー部とは
まず、今年1月に新設された「産業支援グループ 製造ビジネステクノロジー部」についての紹介をさせてください。
製造ビジネステクノロジー部は、『クラウドとリアルの融合により製造業の新しい可能性を切り開く』ことをミッションに掲げています。製造現場のリアルを把握し、テクノロジーとイノベーションがもたらす未曾有のチャンスをすべての製造現場へ提供することを目指しています。
製造業の経営から消費者までを仮想空間でつなげてデータを収集・有効活用できる環境を整え、社会に貢献し続けられる体制を築くことがクラスメソッドの理想です。
製造業向けのクラウド活用・ デジタル化支援の詳細については、以下ページをご覧ください!
製造部での経験
製造部に所属してから、様々な経験をさせていただいています。
製造部合宿に参加
今年の6月に製造ビジネステクノロジー部の合宿がありました。
味の素工場見学→来期方針説明→BBQからの懇親会、翌日は、電子工作体験や高尾山登ったりと、色々なアクティビティで親交を深め、とても有意義な時間を過ごしました。
味の素工場見学では、食品を扱うため人が常駐していなかったり、加圧されほこりが入らないようになっていたりと、様々な配慮がされていました。
最後にほんだしが入っていない味噌汁と、入った味噌汁の飲み比べをしましたが、やっぱり入っている方が断然美味しかったですね。我が家でも重宝してます。
なかなか工場見学に参加する機会はないので、貴重な経験でした。
また、日頃リモートで仕事しているためメンバーと顔を合わせる機会もなかなかありません。まして私は北海道なので…。
各地のメンバーと顔を合わせて挨拶ができ、とても楽しい時間でした。また集まりたい!
製造ブートキャンプの運営メンバーに参加
製造ブートキャンプとは、毎週金曜日に開催している、製造業に関する知識を共有する勉強会です。
私は製造業界についての知識が圧倒的に不足していたため、運営メンバーになることで情報を積極的にキャッチアップできると考えました。
過去開催したものを一部、簡単にご紹介します。
- 製造業界フック商材 PLC Data to Cloudについて
- 製造業界やIoTについて知るためのオススメ情報元の紹介祭り
- 製造業界、ホントのところとよもやま話
- 製造業の品質管理の話
- こんな感じでテレビ開発してたよ
基本的には部内のメンバーに登壇してもらっていますが、ときに外部の方を招くこともありました。
業界知識の獲得に向けたとてもありがたい勉強の場になっています。
製造業のお客様とのプロダクト開発
これまで小売業界のお客様とのアプリ開発に携わることが多かったため、製造業のお客様とのお仕事はとても新鮮でした。
2つの製造業のお客様とのプロジェクトへ、UIデザイナーとして参加しました。あらゆる機器や施設内の温湿度を遠隔監視し、トラブルの予防安全や環境改善に繋げるIoTサービス開発と、製品の出荷検査結果を登録・参照する社内システムの改善です。同じ製造業界でも分野は異なります。
感じた難しさや学びは次に書きます。
製造業のお客様とのプロダクト開発を通じての学び
製造業のお客様とのプロダクト開発を通じて、製造業特有の課題や要望がいくつか見えてきました。
製造業界のUIデザインのトレンドを掴むことの難しさ
製造業でのUIデザインは、一般的なWebサービスやアプリケーションとは異なる独自の課題があります。
デジタル技術の進展により、従来の「モノ作り」から「コト作り」へと価値創造の軸が移行する中、新たなデザインの方向性に頭を悩ませているデザイナーは多いのではないかと思います。
また、製造業と一言で言ってもとても広く、自動車、電機、機械、食品など、分野は多岐にわたります。それぞれの現場の要件も大きく異なり、求められるUIの形も様々です。
業界も広く分野も様々な製造業で、このUIデザインがトレンド!といったデザインガイドラインのようなものはありません。
それぞれのプロダクトに合わせ、最適と考えられるデザインのスタイルを見出す他ないのです。
かっこいいUIにすることが必ずしも正解ではない
製造業は今まさにデジタル化が活発に進んでいるため、まだまだ古いシステムを使用している現場が多く存在します。
一昔前のUIを日常業務で使っていることは珍しくないため、その使い慣れたUIをいきなり一新してしまったら、現場のユーザーは混乱しますよね。実際に使うユーザーが使いこなせないかっこいいUIに価値はありません。
ときにあえて、古い、かっこよくないデザイン選択することが価値に繋がることがあります。実際に使うユーザーのことを知り、どんなUIがマッチしているのか見極める力が求められていると感じます。
製造業特有の環境要因を把握する
UIデザインをする上で、ユーザーや取り巻く環境を知ることはとても重要です。
製造業でのUIデザインは、製造現場特有の環境要因にも考慮する必要があります。
照明条件、騒音、振動などの施設環境や、温度や特殊な操作環境を始め、手袋やゴーグルなど身に付けるものあるかなど、使いやすさを追求するために仕事の内容、ユーザーの状況、作業環境の理解が不可欠です。
例えば、薄暗い工場内で使用する場合は、はっきりと見えやすい色にしたり、手袋をして操作する場合は、押しやすい大きいボタンにする必要があるかもしれません。
そういった製造業特有の環境に配慮したUIを検討する必要があります。
様々な国の人が使えるUIを目指す
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年 10 月末時点)によると、外国人の労働者数は2,048,675人で前年比225,950人増加しています。
国籍別では、ベトナムが最も多く518,364人(外国人労働者数全体の25.3%)、次いで中国397,918人(同19.4%)、フィリピン226,846人(同11.1%)の順です。
また、外国人労働者数は、「製造業」が最も多く、全体の27.0%となっているのです。
そのため、開発したシステムを使用するのは日本人だけとは限りません。国や文化によって、好まれる色やデザインは異なり、与える印象も変わります。
また、多言語対応するケースが多いかもしれません。言語が変わったときに、文字数が短くなったらどう見えるのか?長くなったらUIが崩れないか?など、事前に頭に入れて考えながらデザインするとあとで楽になるのでおすすめです。
1年間の経験を通じての反省
製造部に所属するUIデザイナーとしての個人的な反省を、振り返りとして書き残しておこうと思います。
もっと情報を引き出せるヒアリング力が欲しい…!
私が参加するプロジェクトは、一緒に開発を進めている製造業のお客様のさらに先に、製造業のお客様がいます。
その方達がどんな機能があると嬉しいのか、どんな画面になっていると使いやすいのか、実際に使う人たちに直接調査できるのが理想ですが、なかなか難しいことも多いです。
そのため、開発パートナーであるお客様からの情報を頼りに設計を進めることになるため、より多くの情報を引き出し、より深く理解する動きが求められます。
例えば、製造業で使用するシステムのユーザーは、工場責任者や現場作業員、本社の情報管理者など様々で、膨大な情報や決まった手順が存在するケースも多いです。そのため作業者のニーズや作業フローに対する理解が欠如していると、要件にフィットしたデザイン提案を行うことはできません。
より多くの情報を引き出せるようなヒアリングができれば、より良い提案に繋がると頭ではわかっているものの、自分のヒアリング力不足を痛感する毎日でした。
現在はチームのPM兼エンジニアのリーダーがフォローしてくださり、率先して必要なヒアリングをガシガシ進めてくださっています。自分もそのような動きができるよう、観察して真似して実践するを繰り返し、ヒアリング力を鍛えていきたいです。
情報設計が難しい…!
今年特に苦心したのが、情報設計です。
製造現場で扱うデータは膨大で、複雑なことも多いです。それらのデータをどう見やすく、わかりやすくUIに落とし込むかがとても重要です。
情報の優先度を整理し、画面に表示するべき要素を整理していきます。その際、複雑化してしまわないよう、初めて使う人も使いやすいよう、ユーザー視点でデザインしなければなりません。
見た目を作ることよりも、その前段の要件に合わせた設計段階に多くの時間をかけて向き合いました。
もっと良い提案ができるのでは、と感じているので情報設計の勉強も積極的に進めていきたいです。
もっと言語化しなければ…!
エンジニアチームとの協働において、デザインの意図を十分に伝えきれなかった場面もありました。
また、技術的な制約と理想形の間で、より良い着地点を見つけるための対話・相談ももっと重ねるべきでした。
お客様との打ち合わせにおいても、デザインの選択理由やユーザビリティの観点からの提案をより分かりやすく説明する必要があったと感じています。
提案の意図や考慮した点など、必要な情報をもっと言語化して相手に伝わる伝え方を模索していきたいです。
あと、雑談含めてもっとメンバーと話したいです!
来年に向けて
来年は上記に書いた反省を生かし、より一層貢献できるUIデザイナーを目指していきたいと考えています。
まず、今後も製造現場への理解を深めるため業界知識を積極的に学びたいです。実際の使用環境や業務フローを把握することで、より実践的なデザインを提案できるはずです。
業界知識の獲得に社内でおすすめされていた書籍も読むぞー!
また、AIを活用してデザインの品質向上を目指します。
クラスメソッドが提供する生成AI環境構築サービス「AI-Starter」は、社内のメンバーであれば自由に使えます。感謝!
要件整理や情報設計など、様々な情報を整理する際の相談相手として最高です。AI Starterに手伝ってもらいながらデザイン時のチェックリストを作成して使ってみていますが、検討すべき箇所や、足りない点が事前に発見できるので、スムーズに作業できるようになりました。
さらに、製造部での知見の共有も積極的に行っていきたいと考えています。製造ブートキャンプでの学びを活かしながら、製造業界のUIデザインについての知見を、同じく製造部のデザイナーメンバーと共有し、より良い提案に生かしていきたいです。
おわりに
製造ビジネステクノロジー部での1年は、私にとって大きな学びの連続でした。
製造業のデジタル化は、まだ始まったばかりです。これからも新しい課題や発見が待っているはず!
現場の声に耳を傾け、使う人の立場に立った「使いやすい」を追求しながら、UIデザイナーとしてプロダクトがさらに良くなるよう貢献したいです。
この1年間で得た経験と気づきを糧に、来年もUIデザイナーとして精進します!
最後までお読みいただきありがとうございました!