自分の行動や思考を認識する力とそれを活用して修正する力

2024.04.26
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。

自分の振る舞いを改善するには、他者からのフィードバックが重要です。一方で、自分自身でできることもあります。自分の振る舞いを自分で認識し、補正をしていくことです。

この記事では、自己改善に関わる概念としてメタ認知についてまとめます。

メタ認知とは?

メタ認知とは、自分自身の思考や学習プロセスを認識し、管理する能力のことです。

具体的には、自分の認識、理解、記憶、感情、意思決定などのプロセスを認識し、その効果や効率性を評価し、必要に応じて修正する能力を指します。つまり、自分の思考や学習について客観的に考え、自己調整を行うことができる能力です。

図で表現するなら以下のような感じです。

例えば、他の人から自分の取り組みに関する提案を受けたとします。提案された内容を実施するとしたら、業務量が増大するリスクを感じ、相手の話を遮り、断る理由を説明し始めたとします。このとき、ふと「自分がリスクへの恐怖により、相手の提案内容の全体を聞く機会を逃していること」や「提案された内容は従わなければ行けないわけではなく取捨選択もできるし、時期の調整もできる」ということに気づき、改めて相手の提案の詳細を聞き取ることができたとします。これはメタ認知を活用できた例です。恐れという感情やそれによって相手の発言を遮っているという行動に気づき、自分の言動を補正することで他者からより質の高い提案を受け取る機会を作り出しています。

メタ認知の利点

メタ認知が優れていると、以下のような利点があります。
  • 学習能力の向上 - 自分の学習スタイルや効果的な学習戦略を理解し、適切な方法で学習することができます
  • 問題解決能力の向上 - 問題を分析し、解決策を考える際に、自分の思考プロセスを意識的に管理することができます
  • 認知的柔軟性の向上 - 自分の思考や行動を客観的に見ることができるため、新しい視点やアプローチを受け入れやすくなります
  • ストレス管理 - 自己認識と自己管理が強化されるため、ストレスや感情のコントロールがしやすくなります

メタ認知の強化方法

メタ認知を伸ばすためには、以下の方法が役立ちます。
  • 自己観察 - 自分の思考や行動を客観的に観察し、それらを理解することから始めます。自分自身の強みや成長の余地を見つけるために、日常的に自己評価を行いましょう
  • フィードバックの受け入れ - 周囲の人からのフィードバックを受け入れ、それを分析して自分の行動や思考を改善するための手がかりを見つけます。フィードバックを受け取る際には、感情的にならずに客観的に受け止めることが重要です
  • 目標設定と反省 - 自分の目標を設定し、定期的にそれらを振り返ります。目標達成のためのプロセスを分析し、成功や失敗から学び、次回の目標設定に役立てます
  • 問題解決と判断力の強化 - 問題解決や決定力を向上させるために、問題を細かく分析し、解決策を検討します。また、選択肢や結果に対する予測を行い、それに基づいて行動することで、自分の判断力を養います
  • メタ認知スキルのトレーニング - メタ認知スキルを直接的に訓練する方法もあります。例えば、自己認識や自己管理のスキルを向上させるためのマインドフルネスや認知行動療法の練習を行うことで、メタ認知を強化することができます
これらの方法を実践することで、メタ認知スキルを伸ばし、より効果的な学習や問題解決、意思決定が可能になります。特にふりかえりは上記の複数の要素を含む活動のため、有効です。

個人のふりかえりについては以下にまとめてあるので気になる方はご覧ください。

メタ認知の強化の個人的な経験

しばらく前から私は自己認識に優れている、と他の人から評価されることが増えてきました。他己評価の通りなら、自己認識ができているということになりそうですが、昔はそうでもありませんでした。

自己認識が弱かった頃と強くなってからについて対比したうえで、強化につながったと思われる個人的な取り組みをまとめます。

自己認識が弱かった頃

  • 自分の責任とは限らないことを自分の責任として捉えて不安になっていた
  • 漠然と、能力不足への不安があった
  • 環境や他者に関わる問題など、自分ではどうにもならないことに対して不安を抱えていた
  • 自分が何を得意とし、何を大切にしているのか整理できていなかった
  • 仕事に対して受動的だった

自己認識が強くなった後

  • 事象を詳細に認識し、自分の取り組みの影響によるものとそうではないものを切り分けることができるようになった
  • 自分の感情やその背景にある価値観に気づくことができるようになった
  • 自己の成長を実感できるようになった
  • 自己認識の考え方を通して他者の考えを以前よりも類推できるようになった
  • 自分が何を得意とし、何を大切にしているのか説明できるようになった
  • 仕事に対して能動的になった

自己認識の強化につながった取り組み

おそらく以下のような取り組みの積み重ねが自己認識の強化につながったのだと思います。

  • 個人日報 - 2015年1月からほぼ毎日欠かさず日報を書いています
  • 週次の個人ふりかえり - 2015年1月からほぼ毎週欠かさずふりかえりを実施しています
  • 月次の冒険記 - 2017年2月から冒険記と称して個人ブログで月次のふりかえり記事を公開しています
  • 年次のふりかえり - 2014年から年末に1年のふりかえり記事を公開しています
  • 認知療法 - 仕事で燃え尽きて休職している期間に認知療法を実施しました
  • マインドフルネス - ある時期に1年以上毎日実施していました
  • 人事領域のインプット - 人事にキャリアチェンジをするにあたって人事関連のインプットを大量にする中で自己認識・心理など、人間の思考に関わる知識を多く仕入れました

メタ認知とアンラーニング

メタ認知はアンラーニングの前提になります。自分自身の状態に関する適切な認識がなければ、変化へのきっかけや動機を作ることができません。

まとめ

自己改善に関わる概念としてメタ認知についてまとめました。

メタ認知は、慣れないうちはふりかえるタイミングを用意して認識するような形になりがちですが、慣れてくると出来事が発生している瞬間に認識できることも増えてきます。また、こういったメタな思考に慣れてくると具体的な思考とメタな思考を並行して走らせることができるようになる人もいます。例えば、会議に参加していて会議の中身に思考を巡らせる最中に、会議そのものの進行や、会議に参加している部下の成長に気づくなど、俯瞰した視点での気付きを得るようなケースです。

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