[サービス終了] Amazon Pinpoint が 2026 年 10 月 30 日に終了するので移行先と対応方針をまとめてみた

[サービス終了] Amazon Pinpoint が 2026 年 10 月 30 日に終了するので移行先と対応方針をまとめてみた

2026.05.04

いわさです。

Amazon Pinpoint は、セグメント・キャンペーン・ジャーニー・分析といったエンゲージメント機能と、SMS・MMS・プッシュ通知・WhatsApp・テキスト読み上げなどのメッセージングチャネル API を提供するサービスです。
マルチチャネルでのメッセージ送信やセグメント管理、ジャーニーによるワークフロー自動化など、MA(マーケティングオートメーション)的な機能を備えたサービスでした。

https://dev.classmethod.jp/articles/pinpoint-campaign-distribution-automation/

Amazon Pinpoint のサポートは 2026 年 10 月 30 日をもって終了することが決まっています。
2025 年 5 月に AWS Product Lifecycle ページが公開され、複数のサービスの終了が一括でアナウンスされたのですが、Pinpoint もその中に含まれていました。
2025 年 5 月 20 日以降は新規顧客の受け入れも停止されています。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-announces-multiple-service-terminations-2025-05/

なお、2024 年 7 月に SMS やプッシュ通知の送信・管理機能は Amazon Pinpoint から分離され、AWS End User Messaging という独立したサービスになっています。
SMS やプッシュ通知だけを使っていた場合、今回のサポート終了の影響は受けません。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-end-user-messaging/

サポート終了についてはドキュメントにも明記されており、コンソールにもバナーが表示されるようになっているので、改めて移行ガイドの内容を確認し、影響範囲と移行先の選択肢を整理してみました。

https://docs.aws.amazon.com/pinpoint/latest/userguide/migrate.html

なお、新規顧客の受け入れは停止されているため、Pinpoint を利用したことのないアカウントでコンソールにアクセスすると、プロジェクトの作成はできずメッセージテンプレートと AWS End User Messaging へのリンクのみが表示される状態になっています。

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今回こちらを確認してみたので紹介します。

コンソールを確認してみる

実際に Amazon Pinpoint のコンソールにアクセスしてみると、画面上部に End of support notice のバナーが表示されていました。

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バナーには、2026 年 10 月 30 日以降は Pinpoint コンソールやリソース(エンドポイント、セグメント、キャンペーン、ジャーニー、分析)にアクセスできなくなること、SMS・音声・モバイルプッシュ・OTP・電話番号検証の API は影響を受けず AWS End User Messaging でサポートが継続されることが記載されています。

また、AWS Health ダッシュボードにも「Mobiletargeting planned lifecycle event」として通知が届いていました。

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カテゴリは「予定された変更」で、Pinpoint を過去に利用したことのあるアカウントに届いているようです。
「影響を受けるリソース」タブも確認してみたところ、私の環境では 87 件のリソースが表示されていました。

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リソース名を見る限り、セグメントやメールテンプレートあたりが影響を受けるリソースとして検出されているようですね。

サポート終了の対象と影響を受けない機能

Amazon Pinpoint のサポートは終了しますが、SMS やプッシュ通知などのメッセージング API は AWS End User Messaging としてすでに分離済みであり、こちらは影響を受けません。
公式ドキュメントでは以下のように整理されています。

APIs related to SMS, voice, mobile push, OTP, and phone number validate are not impacted by this change and are supported by AWS End User Messaging.

https://docs.aws.amazon.com/pinpoint/latest/userguide/migrate.html

サポート終了の対象となるのは以下の機能です。
2026 年 10 月 30 日以降はコンソールへのアクセスも含めて利用できなくなります。

  • エンドポイント(メッセージ送信先の管理)
  • セグメント
  • キャンペーン
  • ジャーニー
  • 分析(アナリティクス)
  • Pinpoint コンソール

一方、以下の機能は AWS End User Messaging として独立済みのため、引き続き利用可能です。

  • SMS / MMS の送受信 API
  • 音声(テキスト読み上げ)API
  • モバイルプッシュ通知 API
  • OTP(ワンタイムパスワード)API
  • 電話番号検証 API

Pinpoint の SMS API(v1)をそのまま使い続けている場合も、サポート終了アナウンス後の 2025 年 6 月に公開された公式ブログで、v1 API はサポート終了の影響を受けないことが明記されました。
電話番号や Sender ID などのリソースもすでに End User Messaging 側に格納されているため、すぐに何か対応が必要というわけではないようですね。
ただし、今後の新機能は v2 API(End User Messaging SMS and Voice API)でのみ提供されるため、タイミングを見て v2 API への移行を検討するのが良さそうです。

if you are an existing customer using Amazon Pinpoint for SMS, your current SMS operations are not impacted by the EOS, and you are not required to migrate to the v2 API at this time.

https://aws.amazon.com/blogs/messaging-and-targeting/aws-end-user-messaging-sms-and-voice-v2-api-a-migration-guide-from-v1/

気をつける必要があるのは、Pinpoint のエンゲージメント機能(エンドポイント・セグメント・キャンペーン・ジャーニー・分析)を利用しているケースと、Pinpoint 経由でメール送信を行っているケースです。

移行先の選択肢

公式ドキュメントでは、利用している機能に応じた移行先が案内されています。
機能ごとに整理してみます。

エンドポイント・セグメント → Amazon Connect Customer Profiles

Pinpoint におけるエンドポイントは、メッセージの送信先(モバイルデバイス、メールアドレス、電話番号など)を表すリソースです。
ユーザーごとに複数のエンドポイントを紐づけて管理する仕組みで、セグメントはこのエンドポイントをグルーピングする機能でした。

移行先として案内されている Amazon Connect Customer Profiles は、顧客情報を一元管理する機能です。
Pinpoint ではエンドポイントとして個別に管理していたメールアドレスや電話番号を、Customer Profiles では 1 つのプロファイルに統合して管理できるようです。
公式ドキュメントによると、1 つのプロファイルにメールアドレス 3 つ、電話番号 4 つまで紐づけられるとのこと。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-connect-customer-profiles-data-sources-update/

移行ガイドでは、Pinpoint のセグメントをフィルターなしでエクスポートし、Customer Profiles の S3 コネクターでインポートする手順が紹介されています。

実際に Connect の管理画面で確認してみると、「顧客プロファイル > 顧客セグメント」からセグメントの作成・管理ができるようになっていました。

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キャンペーン・ジャーニー → Amazon Connect outbound campaigns

Pinpoint のキャンペーンは、セグメントに対してメッセージを一括配信する機能でした。
例えばセール開始の告知を全会員に一斉送信したり、特定の属性を持つユーザーグループにプロモーションメールを送るといった、1 回きりまたはスケジュールベースの配信に使われていました。

ジャーニーは、より複雑なシナリオに対応する機能です。
例えば「新規登録から 3 日後にウェルカムメールを送り、開封しなかったユーザーには 5 日後にリマインドを送り、開封したユーザーにはおすすめ商品の案内を送る」といった、ユーザーの行動に応じて分岐するマルチステップのワークフローを組むことができました。

移行先の Amazon Connect outbound campaigns は、音声・SMS・メールなどのチャネルで顧客にプロアクティブにコミュニケーションを行う機能です。
予測ダイヤラーや ML ベースの留守番電話検出、エージェントレスでの大量配信にも対応しています。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-connect-agentless-outbound-campaigns/

https://dev.classmethod.jp/articles/step-functions-dynamodb-connect-outbound-emergency-attendance-ivr/

料金は従量課金で、有効化しただけでは発生しません。
全チャネル共通の処理手数料が 1 送信試行あたり $0.005、音声は $0.025/分、メールは $0.0001/通で、SMS は End User Messaging の料金が適用されます。
Customer Profiles を使ったセグメンテーションを行う場合は、利用したプロファイル数に応じた日次課金($0.005/プロファイル/日)も発生します。

実際に Connect の管理画面でアウトバウンドキャンペーンを有効化してみました。
AWS マネジメントコンソールの Amazon Connect > Outbound campaigns から有効化できます。

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有効化後、Connect インスタンスの管理画面にアクセスすると「アウトバウンドキャンペーン」メニューが表示されます。
「ジャーニー」と「キャンペーン」の 2 つのタブがあり、ジャーニーはビジュアルジャーニービルダーでドラッグアンドドロップのマルチチャネルフローをデザインできるようです。
キャンペーンはガイド付きキャンペーンビルダーでシングルチャネル通信を開始する、よりシンプルな構成になっています。

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なお、ジャーニーについては公式ドキュメントでは以下のように記載されています。

Journeys are not yet fully supported in Amazon Connect. We recommend you to evaluate your journey use cases if they can be solved using Amazon Connect Campaigns.

Connect 側にビジュアルジャーニービルダーが用意されてはいるものの、Pinpoint のジャーニーと完全に互換性があるわけではないようなので、ユースケースごとに評価する必要がありそうですね。

テンプレート → Amazon Connect メッセージテンプレート

Pinpoint のメッセージテンプレートは、Amazon Connect のメッセージテンプレートに移行する形になります。
公式ドキュメントによると、どちらも Handlebars({{変数名}} 形式でデータを差し込むテンプレートエンジン)を使っているので、テンプレートの記法自体は同じです。

https://handlebarsjs.com/

ただし、参照する属性のパスが異なります。
Pinpoint ではエンドポイントの属性(User.UserAttributes.PurchaseHistory)を参照していましたが、Connect では Customer Profiles の属性(Attributes.Customer.Attributes.PurchaseHistory)に書き換える必要があるとのこと。

メッセージテンプレートは Connect インスタンスの管理画面で「コンテンツ管理 > メッセージテンプレート」から作成・管理できます。

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https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/adminguide/create-message-templates1.html

イベント収集・モバイル分析 → Amazon Kinesis

Pinpoint にはコンソール上で利用状況・収益・イベント・デモグラフィクス・キャンペーン分析などを確認できるダッシュボードが組み込まれていました。
アプリの DAU/MAU やセッション数、カスタムイベントの集計などをコンソールからすぐに確認できる仕組みです。
DevelopersIO でも Pinpoint のワークショップ記事で分析ダッシュボードの様子が紹介されています。

https://dev.classmethod.jp/articles/pinpoint-customer-experience-workshop/

ただし、Pinpoint の分析データは 90 日分しか保持されないため、長期間の分析が必要な場合は元々 Kinesis Data Streams や Kinesis Data Firehose 経由で S3 にエクスポートして分析する構成が使われていました。
今回のサポート終了で Pinpoint の組み込みダッシュボード(直近 90 日分の簡易分析)がなくなるので、分析についてはこの Kinesis 経由のパイプラインをベースに自前で構築する必要があります。
Kinesis でイベントを受け取った後、Amazon Data Firehose 経由で S3 に保存し、Athena でクエリしたり QuickSight で可視化したりする構成になりますね。
Pinpoint のように「コンソールを開けばすぐ分析結果が見える」という手軽さはなくなるので、分析基盤の構築コストは考慮しておく必要がありそうです。

イベント送信元の変更については、公式ドキュメントで 2 つのパターンが案内されています。

  • Amplify SDK を使って Pinpoint にイベントを送信していた場合: Kinesis に直接ストリーミングするよう変更し、そこから Customer Profiles の更新や Connect キャンペーンのトリガーにつなげる
  • put-events API でイベントを Kinesis ストリームに流していた場合: Amplify SDK を使って Kinesis に直接ストリーミングする形に変更

メール送信 → Amazon SES

Pinpoint 経由でメール送信を行っている場合は Amazon SES への移行が推奨されています。

Pinpoint にはメール配信の到達率やドメインレピュテーションを確認できる配信性能ダッシュボード(Deliverability dashboard)という機能があります。
ドメインレピュテーション、IP レピュテーション、バウンス率・苦情率、キャンペーン配信メトリクスに加えて、95 以上のメールプロバイダーに実際にテスト送信して受信箱到達率を測定する「受信トレイ配置テスト」機能が特徴的です。
なお、配信性能ダッシュボードは有料(月額サブスクリプション)で、テストは月 25 回まで含まれています。

https://docs.aws.amazon.com/pinpoint/latest/userguide/channels-email-deliverability-dashboard.html

一方、SES にはすでに Virtual Deliverability Manager(VDM)というダッシュボード機能があり、配信率・バウンス率・開封率・クリック率をアカウント/ISP/送信 ID/設定セット単位で確認できます。
また、SPF/DKIM/DMARC の設定問題を検出して改善提案を行うアドバイザー機能も備えています。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-ses-vdm/

Pinpoint の配信性能ダッシュボードにあった「受信トレイ配置テスト」に相当する機能は、現時点の SES VDM には見当たりませんでした。
公式ドキュメントによると、2026 年 10 月 30 日までに SES で同等の機能が提供される予定とされているので不足している機能があればそれまでに VDM あたりに追加されるのかも...?

If you are using email deliverability dashboard in Amazon Pinpoint, we will offer similar functionality in SES by October 30, 2026.

なお、以前 VDM の記事を書いた際にも触れたのですが、Pinpoint の配信性能ダッシュボードは $1,200/月の有料オプションで、有効化は Pinpoint コンソールから行う仕組みでした。
VDM はこれとは別の機能として登場しましたが、配信率の分析やレピュテーション管理といった観点では機能的にかなり重なっています。
すでに VDM を活用している環境であれば、Pinpoint の配信性能ダッシュボードからの移行はスムーズに進められそうですね。

Amazon Connect で未対応の機能

公式の移行ガイドでは、以下の Pinpoint エンゲージメント機能は現時点で Amazon Connect では利用できないと記載されています。

As of now, the following Amazon Pinpoint engagement features are not available in Amazon Connect.

  • In-App Messaging
  • PUSH (GCM, APNS, BAIDU, etc.) notifications in Campaigns
  • Custom Channel
  • Imported Segments
  • Journeys

ただし、実際に Connect の管理画面を確認してみたところ、いくつかの機能については代替手段が用意されているように思えました。

例えば、ジャーニーについては前述紹介したとおりアウトバウンドキャンペーンの中にジャーニー作成機能が用意されていました。
ジャーニーの設定 → ジャーニーフロー → 配信ガードレール → スケジュール → レビューして公開、という 5 ステップのウィザード形式で作成します。
ステップ 2 の「ジャーニーフロー」では、Connect のフローデザイナーで作成したフローを指定する形になっています。

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Pinpoint のジャーニーと完全に同等かどうかは別途検証が必要ですが、少なくともジャーニー機能自体は提供されていました。

また、インポートセグメントについても、「顧客セグメント > セグメントをインポート」から CSV ファイルをアップロードしてセグメントを作成する機能が確認できました。
さらに顧客属性のマッピングを LLM で自動生成するオプションもあるので強化されています。

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移行ガイドのドキュメントの記述が実態と合っていない部分がありそうなので、実際に移行を検討する際はコンソールで最新の機能を確認してみるのが良さそうですね。

残りのアプリ内メッセージング、キャンペーンでのプッシュ通知、カスタムチャネルについては、現時点では Connect に対応する機能は見当たりませんでした。
これらの機能を利用している場合は、代替手段の検討が必要になりそうです。

データのエクスポート

サポート終了前にデータをエクスポートしておきたい場合の手順も公式ドキュメントに記載されています。

  • エンドポイント: フィルターなしのセグメントを作成して S3 またはローカルにエクスポート
  • セグメント・キャンペーン・ジャーニー: get-segmentget-campaignget-journey API で取得
  • テンプレート: list-templates API と各チャネル別の get-*-template API で取得
  • 分析データ(KPI): get-application-date-range-kpi などの API で過去 3 ヶ月分を取得

不要になったデータは delete-app API でアプリケーションごと削除できるとのことです。

さいごに

本日は Amazon Pinpoint のサポート終了について、影響範囲と移行先を整理してみました。

SMS やプッシュ通知などのメッセージング API は AWS End User Messaging として引き続き利用できるので、メッセージ送信のみに Pinpoint を使っている場合は影響が小さそうです。
一方で、エンゲージメント機能(セグメント・キャンペーン・ジャーニー・分析)を活用している場合は Amazon Connect への移行が必要になります。
ジャーニーやアプリ内メッセージングなど、まだ Amazon Connect で完全にはサポートされていない機能もあるので、早めに自分たちの利用状況を棚卸しして移行計画を立てておくのが良さそうです。

該当する方は公式の移行ガイドを確認してみてください。

https://docs.aws.amazon.com/pinpoint/latest/userguide/migrate.html

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