クラスメソッドのブログの歴史を振り返る #1 『DevelopersIO前史』(2004年〜2010年) #クラスメソッド20th
このエントリはクラスメソッド設立20周年を祝して開設された記念サイト内の企画『クラスメソッドのブログの歴史を振り返る』のコンテンツの1つです。
2011年07月01日にクラスメソッドの会社ブログとして産声を上げた『DevelopersIO』。2023年07月時点で丸12年の歴史を積み重ねて来た形となりますが、当エントリはその歴史が始まる前、すなわち『DevelopersIO前史』に関する部分について、当時を知ることの出来る情報と"当時を知る人"から幾つかの話を伺う形で情報を整理し、振り返っていきたいと思います。
目次
「ブログの歴史」概略〜DevelopersIO前史〜
まずはクラスメソッド創業からDevelopersIOが開設される前までの歴史をザッと振り返ります。
...と言いつつも、私(しんや)自身がクラスメソッドに社員としてジョインしたのは2013年08月からになるので、それ以前の歴史や情報については「いち"クラスメソッドのブログの読者"」からの視点でしか把握しておらず、またその把握度合いもだいぶ解像度が粗い状態ではありました。
また「この頃」の歴史については過去「振り返り」エントリを書いていた著者の記録によるものや、インターネットを漁って見つける事のできる断片的なものばかり。あとは当時を知る社員の記憶頼みと行きたいところですが、なにせDevelopersIO開設当時まで遡ると12年前、クラスメソッド創設まで遡ると20年近く前の話になってしまうのでそもそも記憶が...という状況です。
そんな状況ではありますが、幾つか辿ることの出来る情報を連ねて記録を整理していきます。また、当エントリではクラスメソッド創業者である横田聡、DevelopersIO投稿第1号の著者であり、クラスメソッドの歴史を古くから知る福田寅成に実施したミニインタビューの内容を間に挟んでいきます。
日付 | 主な出来事 |
---|---|
2004年07月 | クラスメソッド創業(高田馬場) |
2000年代中盤〜 | 個人ブログブーム的なものがこの辺りから始まっていく |
2004年07月 | 横田聡、個人ブログを始める |
2005年03月 | 横田聡、当事会社で扱っていたFlex(Macromedia Flex)を個人ブログで採り上げ始めていく |
2008年頃〜 | 国内で勉強会がブームに。クラスメソッドメンバーも勉強会への開催・主催活動を展開していく |
2009年02月 | @ITにて横田聡を採り上げた記事が公開される |
2009年11月 | クラスメソッド、飯田橋にオフィス移転 |
クラスメソッド創業
まずは20周年のスタート地点となるクラスメソッドの創業から。創業は2004年07月07日でした。
当時の状況については、創業者である横田聡が折に触れて振り返っています。
クラスメソッドは、私が2004年に1人で始めた会社ですが、直後に誘った3人の友人は15年経った今でも社員として在籍しているという奇跡。営業、プログラマー、デザイナー、インフラという4人体制でスタート。
— Yokota, Satoshi / Classmethod (@sato_shi) June 30, 2019
2017年07月に投稿されたエントリ『クラスメソッドの創業期からいるワイがその13年間の軌跡を赤裸々に語っていく【採用/求人】』では、数少ない『創業期からのクラスメソッド』を知るメンバーの1人である山本 一郎が、当時の状況や感じていたことなどを振り返っています。とても貴重な情報であり歴史ですね。
クラスメソッドにDevelopersIOが無かった時代
クラスメソッドは2004年07月創業、そしてDevelopersIOは2011年07月開設・運営開始。創業から7年近くは企業ブログが存在していない時期が続いていました。
ちょうどこのあたりの時期、2000年代中頃から所謂『個人ブログ』ブーム的なものが盛り上がり始めます。
横田もこの時期に個人ブログを始め(2004年07月)、暫くした後に当時会社で扱っていたプロダクトである『Flex(Macromedia Flex、後にAdobe Flex)』を個人ブログ上でもテーマとして扱い始めました。(2005年07月)
[しくじり過ぎ]就職せずに自己資本でクラスメソッドを起業して16年掛けて年商200億円になった話でも、個人ブログを始めたことで状況が好転したことについて言及しています。
横田:
本当〜に『一番最初』のブログはプロバイダーのアカウントで作れるホームページ、それこそキリ番カウンターが使える、みたいな。そこにブログを作ってやっていました。ソネットでメールとホームページを使って。そこに勉強した履歴を乗っけてました。2000年頃でしたね。その後に別の個人ブログを始めてます。2005年くらいだったかな。
(個人)ブログをやろうと思った切っ掛け...まぁ最初はメモ書きですよね。Zennのスクラップ機能みたいなものです。ちょっと思ったところをメモって残しておこう...と思ったのが一番最初。勉強の履歴を残しておこうという感じですね。今でいうとTwitterやインスタグラムのような感覚で使っていました。
技術系のネタだと、当時はほとんど海外の情報しか無いんですけど、海外の掲示板って1から10まで手順を書いてないんですよ。めっちゃ『切り取り』の会話のように、しかもその最後が『ありがとう。出来ました』っていう。その出来た中身をくれよ!っていうのを見ていたのでモヤモヤしていました。
『解決した』っていうコメントは見たんだけどその具体的な手順が書いて無くて困るっていうのが良くあって、だったら自分向けの『備忘録』として『自分はこの手順でやったら上手くいった』っていうのを残しておこう、って思っていました。それで自分のブログを見てくれた人が問題を解決してくれたら嬉しいな、っていう。
ちなみに私(しんや)もこの時期に個人ブログを開設し、ブログを書き始めています。(2006年05月)
勉強会ブーム
2008年頃から徐々に盛り上がりを見せてきていた『勉強会ブーム』。
クラスメソッドとしてもFlexの勉強会やイベントを数多く展開していました。下記記事群は当時の状況を記録している、ある意味とても貴重な情報です。
- ASCII.jp:アドビ システムズ、開発者向け“Adobe PDF&Flashテクニカルセミナー”を開催
- 今のアドビを裏で支える!? Flex User Groupコミュニティ潜入レポート | TECH+(テックプラス)
- Flexはよくできた“具”、AIRはそれを生かす“皮” - @IT
時を同じくして、私もこの『勉強会ブーム』にガッツリ乗っておりました。私個人としては2010年〜2013年の期間でそれこそ狂ったように毎週の様に社外の勉強会に参加し、参加レポートを書きまくり、『参加レポートを書きまくる人だ』と勉強会に参加している面々に認知され、結果としてクラスメソッドにジョインするという展開になっています。その辺りの展開についてはまた別の(次の)エントリで。下記エントリは『勉強会参加に明け暮れていた時代』の記録を振り返って発表した際のブログエントリ&資料です。
横田:
会社作った前後くらいからSeasarやJavaのコミュニティ等に参加していて、その後の繋がりが広がっていくような仲間、友達と良く会っていました。その頃は会社をアピールするというよりも1いち技術者、いちユーザーとして参加していました。
2005年に参加し始めたFlexUGコミュニティでは、結果的に主催をし始めて、そこから勉強会は200回位開催、運営をしていました。毎月大崎とか、大阪にも行ったりとか、コミュニティ活動を経ていくことで結果的に社員も増えていったし、お客様とも繋がったし、っていう流れでした。
その後2008年頃にAWSを触り始めてます。その頃はまだインフラは普通にDellのサーバーとかオンプレのサーバを購入したり、PCサーバで検証したりだとか、それこそWebARENAとかを使って検証とかをしてましたね。そこからある程度大規模なシステムを会社で作らないと!ってなった時に、それこそ秋葉原の中古屋さんでSolarisのサーバを中古で買ったり、データセンターでRACを借りるなんてのもその当時の会社にとってはお金が掛かりすぎる、良い方法無いか?ってなった時にAWSを見つけて触り始めた...という感じです。
AWS自体は2006年にサービスが始まってるのでそれから2年後くらいに会社としても触り始めた形ですね。
福田:
記録的には、2008年の11月11日にアカウント作成のメールが送られて来てますね。これがクラスメソッドで一番始めに作成したアカウントになります。ちなみにそのアカウントは既にもう無いのですが...
横田:
自分の書いたブログを『見ました!』っていう声を、コミュニティの中で聞くことが多くなったというのがまずありました。そこから仕事の問い合わせも来るようになり、その仕事の中にはただ単に『リソースを貸してくれ』というものではなく、日本を代表するような企業から『セミナーを開いて欲しい』という問い合わせを頂き、実際開催したら沢山仕事の相談が来たりだとか、というのはありました。
『調べて情報発信する』っていう行動から、人の繋がりも生まれるし仕事も生まれる、しかもその仕事はこっちから売り込んでも絶対に上手く行かないような相手との仕事に巡り会える、っていう体験は今振り返ってみても良かったなぁ、と思います。
飯田橋オフィス移転
2009年11月、それまで高田馬場に構えていたオフィスから、本社と開発室を統合する形で飯田橋に移転を行います。
飯田橋時代のエピソードについては前述山本のエントリの他にも、下記のエントリでその当時の状況を窺い知ることが出来ます。
この後、業績状況に伴い初の大型リストラや事業縮小、佐久間町オフィスへの移転を経てDevelopersIOが立ち上がることになります。
ということでおおよそ2010年までを振り返る形となりました。
まとめ
という訳で、クラスメソッド20周年企画『クラスメソッドのブログの歴史を振り返る』第1弾『DevelopersIO前史』に関する内容のご紹介でした。
続いての第2弾は『DevelopersIO開設から2012年まで』を振り返ります。